水俣病患者への鎮魂の文学『苦海浄土』で知られ、〈近代文明の毒〉に対して
警鐘を鳴らし続けてきた、世界的な作家・詩人、石牟礼道子によるラストメッセージ!

未来はあるかどうかはわからないけれども、希望ならばある。
文明の解体と創世期が、いま生まれつつある瞬間ではないか。
 文明化する日本社会の中で起きた水俣水銀中毒事件をモチーフに、「近代とは何か」を現代人に突きつけた名著『苦海浄土』。本映像作品は、その作者として知られる石牟礼道子さんに、来るべき世について語っていただいた最後のメッセージである。この数年われわれは、不知火海の地に住む石牟礼さんを幾度も訪ねた。今パーキンソン病に苦悶しつつ日々を送っておられる石牟礼さんから、文学とは何か、詩とは何か、新作能の新たな構想、最後に文明社会のゆくえなどを語っていただいた。その中で石牟礼さんは「祈り」や「犠牲」という、われわれ現代人が失くしてきた言葉を強調された。映像は、水俣・天草・不知火海はいうまでもなく、60年代の水俣漁村の風景も用い、それに金大偉の独創的な音楽を加えた。2011.3.11の東日本大震災もこの作品の中で描かれている。水俣や福島で起きた事件について、石牟礼道子はわれわれにいかなる言葉を伝えようとするのか。

(2013年度作品/日本/113分/ハイビジョン/16:9)
出演:石牟礼道子(いしむれ・みちこ)
監督・構成・撮影・編集・音楽:金大偉(きん・たいい)
音楽ゲスト:大倉正之助/ナレーション:米山実/プロデューサー:藤原良雄/制作:藤原書店

公式HP→  http://fujiwara-shoten.co.jp/main/news/archives/2014/04/post_163.php
特報動画YOUTUBE→ http://www.youtube.com/watch?v=XWUYSix1hG4

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=52623

執筆者

Yasuhiro Togawa