さだまさし著書の文庫『解夏』収録作品「サクラサク」は、認知症の父親と、家族を顧みず仕事に没頭してきた息子とその家族の再生を描く、短編傑作である。
  
  会社では、順風満帆。一見平凡なサラリーマンの俊介だが、妻との関係は冷え切り、次第に息子、娘との関係も破綻していった。そんな生活の中、同居する父親が認知症を発症したことから、俊介は家族との絆を取り戻すべく、家族を連れ出し父親の故郷へ旅をする—。
  
  映画化への成り立ちとして、作品を手に取った福井県に住む読者が、地元を舞台にしていること。更に今の日本になくてはならない“家族の再生”をテーマを描いていることにとても感動し、この作品を是非映画化したい!と熱望したことから全てが始まった。そしてその有志たちの力が、美浜町、福井市、そして福井県までもを巻き込み、2年半という歳月をかけていよいよクランクインを迎えることとなった。
  
  今作は、原作者のさだ氏自身が、父親との思い出を下敷きに書いた作品ということで、作品に対する思い入れが強く、映画化を快諾。監督には、さだ氏の原作「精霊流し」を映画化して以来、信頼を寄せ合い、映画「利休にたずねよ」(2013)でモントリオール世界映画祭・最優秀芸術貢献賞を受賞した田中光敏監督が巻頭を務める。そして監督が希望する理想のキャストが揃ったことで、いよいよ10月初旬より撮影が開始される。
  
主演の俊介役に緒形直人、その妻・昭子役に南果歩、そして俊介の父親・俊太郎
役に藤竜也という実力派の役者がそろい踏みし、東京から福井までのオールロケーションを敢行。2014年春の公開時には、日本中に満開のサクラを咲かせる。

◆原作者 さだまさし コメント◆
  田中光敏監督とは拙作「精霊流し」の映画化の際にご縁を戴きました。 あれから十年。田中監督並びに福井県の皆さんの熱意で「サクラサク」が映画化されます。 家族の再構築を描いた大人のロードムービー・メルヘンですが、素晴らしい監督、キャストに恵まれて、温かい名作が生まれると信じています。

◆大崎俊介役 緒形直人 コメント◆
  この映画に関わる全ての人達と気持ちを一つにして、物語の主題である家族の再生を丁寧に演じて行きたいと思います。

◆大崎昭子役 南果歩 コメント◆
この物語では、俊太郎の病気を切っ掛けに旅を始め、家から離れて時間を重ねる中で、お互いを徐々に知っていき、「家族だからといってすべて知っている訳ではない」という部分が非常に上手く描かれています。
監督が疑問について真摯に受け答えをしてくれるので、安心して撮影に臨むことができるので、あとは家族キャスト5人で沢山の時間を共有して行く事で、いい作品にしたいです。

◆大崎俊太郎役 藤竜也 コメント◆
年をとった今、若い時とは“家族”に対する思いや大切さの分かり方が違ってくるので、家庭や家族の大切さを伝えてくれるこの物語を読んで、じんときました。
 父親が痴呆を発症したことで、氷結した家族が少しずつ溶けていく。人の優しさや生きていくことの素晴らしさが描かれているとてもいい話だと思いました。好きですね。

◆監督 田中光敏 コメント◆
役者陣みなさんの熱意と作品にかける思いをしっかりと受け止めました。
クランクインが非常に楽しみです。
クランクアップまでに、作品がどのように育っていくか、楽しみです。皆様にも楽しみにして頂ければと思います。きっと、温かい涙の流れる作品になることと思いますので、皆様も楽しみにしていてください。

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執筆者

Yasuhiro Togawa