8月10日より公開、第22回PFFスカラシップ作品『HOMESICK』で劇場デビューを飾る廣原 暁(ひろはら・さとる)監督。処女作『世界グッドモーニング!!』で、PFFアワード2010審査員特別賞やバンクーバー国際映画祭新人賞グランプリに輝き、ポン・ジュノ監督やジャ・ジャンクー監督から「真に有望な映画監督」と激賞された、日本映画界期待の新鋭。武蔵野美術大学造形学部映像学科卒業後、東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域修了。黒沢清、北野武に師事した経歴を持つ。

若くして世界から注目を受ける廣原監督の才能の秘密に迫るべく、最新作『HOMESICK』公開を記念して、【廣原 暁監督特集】を、東京・オーディトリウム渋谷にて開催する事が決定。これまでに発表した長編2作品と短編3作品を一挙に上映する。長編作品は、孤独な男子高校生の思いがけない旅を描いた『世界グッドモーニング!!』、20代前半の男女の同棲生活と逃避行を描いた『返事はいらない』に続いて、等身大の若者の成長を一寸のブレもなく精密に鮮やかに切り取った最新作『HOMESICK』となり、これらは、フランソワ・トリュフォー監督の“アントワーヌ・ドワネルもの”に通じる永遠の青春映画の系譜につらなりながらも、日本映画の新たな季節を予感させるものへと仕上がっている。
また、特集内では、廣原監督がセレクトした2作品『オルエットの方へ』『ニンゲン合格』を上映する。

『オルエットの方へ』について、廣原監督は「二度と撮れない、かけがえのない時間の連続に、ただただ胸を躍らせた。映画という奇跡を初めて知った。」と語るほど、監督が「最も愛する映画」として選んだ。『ニンゲン合格』については、「人間は誰しも、世界から取り残されて生きていくものではないか?そんな映画にこのタイトルを付けた黒沢監督が、僕は大好きだ。」と語り、東京藝術大学大学院時代の良き師で敬愛する映画監督・黒沢清の作品から一つ選んだ。廣原監督が『HOMESICK』で「ホームドラマ」に挑戦するにあたり、もっとも影響を受けた作品としても名を挙げている。

『HOMESICK』公開記念【廣原 暁監督特集】+セレクト作品 8月10日より、オーディトリウム渋谷にて 
『世界グッドモーニング!!』(09) 武蔵野美術大学卒業制作 バンクーバー国際映画祭新人賞グランプリ
出演:小泉陽一朗、新井美穂 
◆高校生のユウタは、母親と二人暮らし。あだ名ジャミラ。ほんの出来心で盗んだホームレスのバッグから、自分を変える旅が始まる…。内気な少年が、大きな「世界」と出会うロードムービー。撮影時23歳の長編処女作。

『返事はいらない』(11) 東京藝術大学大学院修了作品 第24回 東京国際映画祭 ある視点部門出品
(C)東京藝術大学大学院映像研究科 出演:佐藤貴広、太田順子
◆ミケとユウは一緒に暮らしている。ある日、ミケは音楽を作り始める。ある日、ユウは北海道旅行を計画す
る。そしてある日、ミケはユウにプロポーズするのだが…。20代男女の平凡な同棲生活と非凡な逃避行を描
いた青春映画。

【短編集】 
『あの星はいつ現はれるか』(オムニバス映画『紙風船』の第一話/11) 
(C)2011年「紙風船」製作委員会東京藝術大学大学院映像研究科5期オムニバス制作作品
出演:大後寿々花、森岡龍
◆劇作家・岸田國士の原作を基に、江ノ島を舞台に繰り広げられる、幼なじみ同士の淡いラブストーリー。
『遠くはなれて』(短編/10)
◆見知らぬ街に置き去りにされた喪服姿の男は、一匹のヤギと出会い…。男が口ずさむ歌が妙に心に響く。
『小さな思い出〜Un petit souvenir』(短編/13) 音楽ユニット「Teatro Raffinato」とのコラボレーション作品
◆どこか懐かしく愛らしい、女の子と男の子の物語。主題歌はTeatro Raffinatoの「白昼夢〜Daydreaming」。

廣原監督セレクト作品
『オルエットの方へ』(69〜70) 監督:ジャック・ロジェ監督 (C)A17
廣原監督コメント最も愛している映画は?と聞かれたら、迷わずこれを挙げる。三人の女性が過ごす、一夏のバカンス。二度と撮れない、かけがえのない時間の連続に、ただただ胸を躍らせた。映画という奇跡を、僕は初めて知ったのだ。

『ニンゲン合格』(99) 監督:黒沢清 (C)1999 角川映画
廣原監督コメント10年の眠りから覚めた西島秀俊の姿が、胸にぐっと来るのはなぜだろう?人間は誰しも、世
界から取り残されて生きていくものなんじゃないか?そんな映画にこんなタイトルを付けてくれた黒沢監督が、
僕は大好きだ。

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執筆者

Yasuhiro Togawa