「このミス」大賞の映画化!
ミステリー作家を志す新人の登竜門として注目される『このミステリーがすごい!』大賞の第9回大賞を受賞した(2010年)、乾緑郎の「完全なる首長竜の日」。選考委員満場一致の大賞決定は、10年の歴史の中で「チーム・バチスタの栄光」と本作だけである。昏睡患者と意思疎通ができる“センシング”により、現実と仮想の境界が曖昧になっていくストーリーは、意識下に入っていく『インセプション』を彷彿とさせる。

日本映画界のカリスマ・黒沢清監督 最新作
この原作を映画化・監督するのは、日本映画界のカリスマである、鬼才・黒沢清。『CUREキュア』をきっかけに、『回路』、『アカルイミライ』、『ドッペルゲンガー』、『叫』、『トウキョウソナタ』などが、カンヌ国際映画祭や釜山国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭などへ出品され、その映像美と独特の世界観で、国際的に最も注目を集めている映画監督の一人である。

若手実力派・佐藤健×綾瀬はるかの新境地!
待望の映画化にあたり、主役に抜擢されたのは、佐藤健と綾瀬はるか。ドラマ「ROOKIES ルーキーズ」、NHK大河ドラマ「龍馬伝」で頭角を現した佐藤は、この5、6月に初舞台にして主演の「ロミオ&ジュリエット」でロミオ役を演じ切り、8月には主演映画『るろうに剣心』が控えている。一方の綾瀬は、映画『ホタルノヒカリ』などの愛くるしい演技で、コメディエンヌとしての不動の地位を獲得しており、8月には映画『あなたへ』、9月には『映画 ひみつのアッコちゃん』が公開、来年のNHK大河ドラマ「八重の桜」の主演も決定している。乗りに乗っている若手実力派の二人が、現実と仮想の境界が崩れ混乱していく様をどのように演じるのか。いずれにせよ、本作が新境地となることは明らかである。

そして、目指すは、2013年カンヌ国際映画祭!
世界が認める日本のカリスマ監督・黒沢清が、若手実力派の二人を起用し描く、最愛の人の意識下へダイブする、壮大なラブストーリー! 2013年5月開催の第66回カンヌ国際映画祭を視野に入れ、絶賛撮影中。

佐藤健、綾瀬はるか コメント

—脚本を読んで
佐藤「面白すぎて震えました。最初から引き込まれて、後半で驚きの展開があり、お話が終わる最後の最後まで目が離せなかったです」
綾瀬「ワクワクして、ヒャーッ!となりました。意識下の世界は、現実離れした不思議な世界なので、『どういう感じになるんだろう』と思って読んでいました」

—お互いの印象
佐藤「『こういうところもあるんだ、こういう顔もするんだ』って、毎日新しい発見があって驚かされています」
綾瀬「すごくしっかりされていて、私の方が年上なんですけど『先輩!』って感じです」
佐藤「ほぼ毎日ケンカしながら、楽しくやっています(笑)」

—誰かの意識に入れるとしたら、誰に入りたい?
佐藤「綾瀬さんです。本当は何を考えているのか、意識の中に入ってみたいです」
綾瀬「監督です。優しい穏やかな方ですが、過去の作品や今回の演出でも過激なところがあるので、どういうことを頭で考えていらっしゃるのか探ってみたいです」

—黒沢監督について
綾瀬「ト書きの動きひとつにしても、『こういう動きをするんだ!』って、いつも想像外のことを仰るので、ワクワクします」
佐藤「最初は何も仰らずに、セリフのニュアンスなども任せて下さるので意外でした。その上で細かい指示を出して下さいます。監督、可能であるならば、僕たちをぜひカンヌに連れて行って下さい!」

黒沢清監督 コメント

「人の心の中をまるで旅でもするかのように探索してまわること、それは何とも魅惑的な行為だが、同時に耐えがたい恐怖の体験かもしれない。
何故なら、それは心の奥底に潜む絶対に見てはいけないものを見てしまうことでもあるからだ。
ましてや、探索の先が愛する人の心の中だったとしたら。私は今回初めてこのような物語を扱う。その理由は、不思議な原作に出会ったことと、映画で人の心の中を撮影することはできないという原則に挑戦してみたかったからである」

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執筆者

Yasuhiro Togawa