東京白金台に、半年先まで予約で一杯のレストランがある。その看板メニュー、「木村さんのりんごのスープ」は一人の男が起こした奇跡が生んだものでした。絶対不可能と言われていた「りんごの無農薬栽培」。この不可能への挑戦から足掛け11年。極貧に耐え、周囲の人々の圧力に屈せず、自殺に追い込まれながらも踏みとどまり・・・。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも取り上げられたこの波乱万丈な生き様を、そして涙なくしては語れない、人との絆、家族愛の大きさを映画化!

 この実話の強さは、この一冊に留まりませんでした。「リンゴが教えてくれたこと(日本経済新聞出版社刊)」、「すべては宇宙の采配(東邦出版刊)」「リンゴの絆(主婦と生活社刊)」「木村さんのリンゴ 奇跡のひみつ(学研パブリッシング刊)」など計8冊の関連本が2011年12月時点で発行され、各書累計で60万部超となっています。人生の教則本、現代農業への警鐘、家族愛について・・・様々な切り口を備え、1冊では語りきれないドラマを、この実話は備えています。映画は「奇跡のリンゴ(幻冬舎刊」を原作として制作。

映画の舞台、それは日本最大のりんご生産地・青森県。天高く聳え立つ岩木山が見下ろすその大地に、五月、広大なリンゴ畑一面は真っ白なりんごの花で埋め尽くされます。そして収穫の秋、たわわに実るリンゴがその大地を真っ赤に染めます。青森を舞台にしたメジャー映画として、東北随一の「美」をフィルムに焼きつけます。そして、木村さんの生きた人生のクライマックスを青森の大地が包み込みます。

■キャストコメント

阿部サダヲ(木村秋則役)

『世界で初めて』を成功させて、今現在もご活躍中の方を演じる!そんな経験ないです!そしてあの木村さんの雰囲気…そう簡単に出せるものではないと思っております。沢山研究して試して、共演者、スタッフの方々と大事に育てて、素敵な「秋則」を作りたいと思っています。よろしくお願いします!

菅野美穂(木村美栄子役)

世の中では、オーガニックが盛んですが、農薬なしに農業に挑むことが、こんなに大変だとは 思いませんでした。無農薬はヘルシーで楽しい事だと思っていたのです。とりわけ、りんごの果実を実らせるのがこのような困難を乗り越えての末のことだとは。
木村さんは、誰もやろうと考えなかったやり方を想像して、創造しました。
その艱難のはじまりは、農薬にアレルギーのある奥様をその苦しみから解放してあげたいという愛情だったというのが、なんと素直で優しいことでしょう。
私は、木村さんの妻、美栄子の役をやらせて頂くのですが、この、素直で優しく、猪突猛進の木村さんを受け止め、あたたかく見つめるのがつとめだとおもっています。
艱難辛苦汝を玉にす。りんごの実が丸くなったのは、ご夫婦の困難が実った結果に他なりません。    
私は両親が岩手県のりんごを作っているところの出身ということもあり、何か縁を頂いたようにも感じています。津軽魂ではありませんが、東北魂で頑張りたいと思います。

■中村義洋監督コメント

二年前にお話を頂き、喫茶店で原作本と脚本を読んで号泣、是非やらせてくださいと即答しました。
無農薬でリンゴを作るということがどれだけ奇跡的なことか、もあるのですが、あらゆる仕事においてチャレンジを続ける人々の、普遍的な物語であると感じました。

普通やめるでしょそんなの、というところを全くあきらめない男とその妻の物語です。今まさに何かをあきらめかけている方が観て、この家族に比べたら自分の方が恵まれてるな、もう少し頑張れるな、なんて思って頂けるような、そんな映画になるよう、阿部さん、菅野さんをひどい目に遭わせ、どん底まで追い込んでいこうかと思っています。

阿部さんは、初めてのお仕事なので素の部分はわかりませんが、実際に木村秋則さんがよく言う「バカになれ」という言葉や、劇中の「バカだからなーんもわかんねぇのよ!」というセリフにあるような「底抜けのリンゴバカ」を演じて頂くには、この人の持っているわけのわかならない力強さしかないと思い、オファーさせて頂きました。さらにそんなリンゴバカを根っから信じきる太陽のような妻ということで、強さと明るさを併せ持つ菅野さんにお願い致しました。そして、僕自身、若い頃にあまりに好き過ぎて一時期俳優を志した事があるほどの、あの山?努さんが出て頂けるということになって、正直ガチガチに緊張しております。
お芝居に見惚れてカットをかけるのを忘れないよう、注意したいと思います。

今回、一番の勝負相手は「自然」です。もうすぐクランクインなのに先日も爆弾低気圧で吹雪が吹き荒れ、雪解けや開花時期が心配ですが、これも木村さんの闘った十年間と比べたらなんぼのもんじゃい! ということで、大自然に真っ向勝負していきたいと思います。

■リンゴ農家 木村秋則メッセージ

自分の人生が映画になるなんて、びっくりしています。 ひとつのものに狂えば、いつか答えはみつかるという ことを信じてやってきました。 「とにかく、あきらめないで」というメッセージが、 映画を通じてたくさんの皆さんに伝わることを祈って ます。

全国東宝系にて、2013年公開予定

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執筆者

Yasuhiro Togawa