本年度5月19日に急逝した巨匠・芸術家の荒川修作を描いたドキュメンタリー映画『死なない子供、荒川修作』の公開が、下記の通り決定いたしましたのでご報告させていただきます。

タイトル:『死なない子供、荒川修作』
12月渋谷シアター・イメージフォーラムにて、
モーニング&レイトショー

[INTORODUCTION]
 「人間は死なない」と断言した男と、
 「死なない家」に住んだ人々の命のドキュメンタリー

 テーマパーク「養老天命反転地」など奇想天外な作品群で世界中に大きな波紋を投げかけてきた荒川修作が、今年5月19日、ニューヨークで急逝した。生前、自身の建てた「三鷹天命反転住宅」について荒川はこう語っている。「ここに住むと身体の潜在能力が引き出され、人間は死ななくなる」と。
 常識を軽々と超えた荒川独特の言葉の数々をはじめ、宇宙物理学者・佐治晴夫氏へのインタビュー、「死なない家」で生活する人々の身体的変化や、そこで生まれ育った子供の記録を織り交ぜながら、芸術・科学・哲学を統合した斬新な都市計画を構想するにまで至った荒川の全活動を振り返る本作は、全人類の誰もが想像すらできなかった世界の可能性を浮き彫りにするとともに、壮大な生命賛歌を高らかに歌い上げる。
 監督は自身が4年に及ぶ三鷹天命反転住宅の住人でもあり、特異な映像世界で海外映画祭の評価も高い山岡信貴。音楽は先鋭的な電子音響で音の概念そのものに変革を与え続ける渋谷慶一郎。本作のために、オリジナル楽曲を提供している。さらにナレーションには、日本を代表する俳優・浅野忠信を迎え、宇宙創生以来、死の運命から決して逃れられなかった人間の限界に、生涯を賭して挑み続けた人間・荒川修作を見事に描き出した作品となった。

[DIRECTOR’S COMMENT – 山岡信貴監督・コメント]

– 最初に荒川修作との出会いを教えて下さい。
元々知り合いの精神科医が荒川さんに会った際、「精神の無い時代に精神科医だと?!」と怒鳴られた話を聞いたことがあり、ニュースで観た「養老天命反転地」の印象と相まって荒川さんには以前から興味をもっていました。建築時から存在を知っていた三鷹天命反転住宅も荒川さんの作品であることを知り、入居者を募集していたことから、まずは見学会に参加してみました。
外観もさることながら生活空間の奇想天外さに衝撃を受け、見学会のあとも気持ちの高揚感が抜けず、家族共々入居を即決しました。実際にお会いしたのは入居者となってからです。

– 本作品を制作したきっかけはなんですか?
荒川さんからは日々の暮らしのレポートが欲しいと言われていましたが、文字を書いての報告が十分にできていませんでした。
住み始めて1年ほどしてから、これはただの芸術作品やいわゆる「住居」とは全然違うもので、荒川さんの言う”生命”についての実験室のようなものだとの実感が沸き、この住宅のことを真剣に記録に残す必要があると思い始めました。
私は映像関係の仕事をしていたので、自然とフォーマットは映像になり、撮影を開始しました。2009年になって荒川さんに見せるつもりで編集し始めたのですが、もっと多くの人に荒川さんを知ってもらう必要があるという思いが高まり、今回映画として発表する形になりました。

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執筆者

Yasuhiro Togawa