「私たちにとって、ネコってなに?」 と問いかけるドキュメンタリーが届いた。行方丌明の愛猫を追うのは、フランスの女性ドキュメンタリー作家ミリアム・
トネロット。旅は時空を超えて、いつしか人間の姿をあぶりだしていく。ボードレール、プッチーニ、ラヴェル、ルノワール——フランス革命を経て19世紀、ネコは“自由”の象徴とされ、多くの芸術家が愛を競い合った。そして夏目漱石の国、日本へ——。
映画には、首輪の[キャットカム]でネコの日常を撮影した[カメラねこ]ミス
ター・リーや、患者に天国への旅立ちを知らせる丌思議な才能がTVや本でも紹介された[おくりねこ]オスカーら世界の素敵なネコたちが多数出演。そして、ペット大国・日本では[駅長]たまを訪ねるほか、仏文学者・鹿島茂氏や獣医師・石野孝氏へのインタビューも実現。ネコと人間の新しい関係に迫る。
ネコを探して、見つかるものは自分自身なのかもしれない・・・。

今こそネコのように生きよう——。
そして、最期はそばにいてほしい。
このドキュメンタリーは、人間を観察します。“鏡”に自分を映すようにネコの目で見ることで、より客観的な視点から覗くという試みなのです。もっとも個人主義的な動物とされるネコを通して世の中を見たら、人間の姿が浮かび上がるかもしれない。150年前、ともに“覇者”となったネコと人間が築いてきた関係——優しくて、情熱的で、感動的で、ときに悲しくもあった関係を探れば、われわれが歩んできた歴史を辿れるかもしれない。
見えてきたのは、人間が変わってしまったということ。そして、ネコは今も変わらないということです。ノンシャランと屋根を渡り、上手に陽だまりを探し当て、恋の季節は高らかに歌う! そんな理想の動物が、私に人生の楽しみを思い出させてくれた・・・そんな旅でした。

ミリアム・トネロット

7月下旬より、シアター・イメージフォーラムにて公開!

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執筆者

Yasuhiro Togawa