永遠のアニキこと俳優・哀川翔が、「Vシネマの帝王」としてのコワモテなイメージや『ゼブラーマン』の白黒つけるヒーローから一転、「奥さん…!」のささやきもソフトな昆虫探偵に華麗なる転身!4月3日より劇場公開の『昆虫探偵ヨシダヨシミ』だ。
昆虫の声が聞こえるドリトル先生ばりのヨシダヨシミが手掛けるのは、不倫・妊娠・失踪といった昆虫達の赤裸々な悩みの調査。その優しい心遣いから昆虫に迫られることもあり、主婦の心をつかむエキスパートみのもんた超えは確実?

原作は、青空大地の『昆虫探偵 ヨシダヨシミ』。2003年にちばてつや賞(一般部門)佳作を受賞、講談社刊「週刊モーニング」「モーニング・ツー」に不定期掲載中のギャグ漫画だ。独特なタッチで、昆虫専門の探偵ヨシダヨシミと助手の毒舌インコ&反抗期コリー犬の日常と、昆虫達から持ち込まれる様々な事件を描いている。コミカルな中にも、時には人間と昆虫の関係にハードボイルドタッチの無常さまで感じさせる力作だ。
自宅でカブトムシを何十匹も育てるという無類の虫マニアの哀川が、送られてきた原作に惚れ込んで企画がスタート。映画化に当たっては原作の世界観を生かしてスケールアップし、スペクタクルシーンやガンアクションも盛り込み、幅広い層が楽しめる作品に仕上がっている。

また、なるべくCGを使わないというこだわりの元、見所となる昆虫達は本物が多数出演。哀川の「虫待ちには苦労した」というコメントが物語るように、昆虫達の独特の表情、交尾シーンなど貴重なショットが目白押しだ。
そんな昆虫たちのドラマと同時に人間ドラマも大展開。小山田サユリが演じる謎の美女とのほのかな恋に揺れる不器用な哀川の姿も大きな見所だ。
監督は、哀川主演の『極道恐怖大劇場 牛頭』(脚本)、『東京ゾンビ』(監督・脚本)の顔合わせで哀川からの信頼が厚い佐藤佐吉監督。暴走美少女との甘酸っぱい恋を描く手腕には定評があり、今回も哀川の初々しい魅力を引き出している。

公開に先駆けて、リリースされた主題歌『生きていることがいい』で哀川が15年ぶりにCDを出した事も話題。主題歌の作詞は佐藤監督が担当、昆虫の一生とオーバーラップするようなシンプルな人生観の暖かいバラードに仕上がっている。
また、挿入歌の『The Last Song』は哀川の虫のモノマネ「コロコロ…」のささやきも可笑しく哀愁あふれる名曲。
劇場で女ゴコロだけではなく男ゴコロをもくすぐるアニキのささやきにコロコロに転がされてみませんか?

【文/デューイ松田】

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=48111

執筆者

綿野かおり綿野かおり