水木しげるさん夫婦の半生映画化!!
ここには、日本の戦後を寄り添うように生きてきた夫婦の愛の姿があるのです。

★『ゲゲゲの鬼太郎』などで知られる漫画家水木しげるさんの半生を描く映画『ゲゲゲの女房』が映画化されることになりました。原作は水木さんの夫人・武良布枝さんの同名エッセー。2008年3月の実業之日本社からの刊行以来、夫と歩んだ自身の激動の人生への思いを率直に綴った感動の初エッセイとして、幅広い年齢の女性の支持を集め、4万部を越えるヒットとなりました。
★映画では、太平洋戦争で片腕を失った水木さんが、お見合いで出会い、5日後に結婚。夫婦となった後で、底なしの貧乏生活の中で、お互いに“恋”をし、そしていつか“恋”を“愛”へと育んでいく若き日の姿が描かれます。それは、いつか見た自分たちの父親や母親の後ろ姿であるのかもしれません。

『私は猫ストーカー』の鈴木卓爾監督、最新作。

★監督は、NHK「中学生日記」「時々迷々」の脚本家として、俳優としても活躍する『私へ猫ストーカー』(浅生ハルミン原作、星野真里主演、7/4よりシネマート新宿ほかにて公開)の鈴木卓爾。脚本は、『東南角部屋二階の女』の大石三知子。撮影は、2008年文化庁芸術選奨映画部門文部科学大臣賞を受賞した、たむらまさき。撮影は、2009年秋、2010年初夏公開を予定。来年2010年は、水木しげるさんの満88歳(米寿)、画業60周年のメモリアルイヤーにあたります。

また同エッセイは、来年3/29〜9/25に放送されるNHK平成22年度前期連続テレビ小説の原案としてドラマ化されることも決定しました。

■監督のコメント

水木しげる漫画について

「出会いは、子供の頃に見た『ゲゲゲの鬼太郎』の白黒アニメーションでした。そこから僕が感じたのは摩訶不思議さはもちろんですが、脅すような恐怖感よりは、なにか温かみとユーモアを感じる怪異でした。鬼太郎で、魂を天ぷらにして食べちゃう話だとか、僕にとってはそれはシュールな親しさのようなものでした。今、貸本マンガ時代の水木作品を読むと感じるのは、欲深な人間の傍らにある怪しさや、悲観的だけどどこかカラッとした転落だったりして、底の抜けてしまった人のやり場の先が、何かのきっかけで、妖怪の形をとっているんだなあと感じます」

『ゲゲゲの女房』を読んで

「妖怪や幻を表現のフィールドで展開する人って、わりと繊細ではないかという先入観があるんですが、水木さんは、どちらかといえばバイタリティと、たくましさがある人のように感じたんです。現在のぼくたちとは何か違う。それが何なのかを映画を作りながら探っていこうと思います。戦争のこともそうですが、餓死するほどの貧乏のリアリティを、ぼくたちは持っていない。布枝さんにしても、これだけ貧しい男の人とお見合い結婚したら、すぐ離婚しそうなものですが、たぶん今の人たちよりもたくましさがあるのでしょうね。懐かしさやノスタルジーよりは、水木さんと布枝さん、お二人のたくましさを描いてみたいのです」

『ゲゲゲの女房』を監督するにあたっての抱負

「水木しげる氏の、幻を視る力と、いくつもの時代を生きのびた強さ。それを、一番近くで見て来た、ゲゲゲの女房・布枝さんのまなざしの深さ。2人を追いかけてみることで、今の時間が失念してしまってるなんらかのヒントが、蜃気楼のように、温泉の泡のように、頭上から降って来る妖怪タンコロリンのように、映画を作る過程に現れるような気がしています。勇気凛々で制作にのぞみたいです」

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執筆者

Yasuhiro Togawa