——この物語は、1971年ヴァージニア州アレキサンドリアで起きた実話である。

このプロジェクトの推進役となったのは、脚本家のグレゴリー・アレン・ハワード。
ロサンゼルスで数年暮らした後に故郷のヴァージニアに戻った彼は、やがて不思議な
事に気づく。この片田舎のアレキサンドリアでは、大都会のロサンゼルスに比べても
著しく人種差別がないのである。住民に尋ねると、意外な答えが返ってきた。「タイ
タンズのおかげだよ。彼らはこの町を救ったんだ」。興味をひかれたハワードは、か
つてのタイタンズのコーチや選手たちに数ヶ月にわたってインタビューし、この町の
人々にとって、なぜ彼らが不滅の輝きを持つ記憶なのかを理解した。その感動は、3
年の歳月を経て一本の脚本にまとめられる。そして、誰よりもハワード自身が驚いた
のだが、『アルマゲドン』などで知られるハリウッドきってのヒットメイカー、プロ
デューサーのジェリー・ブラッカイマーの目に留まったのである。ブラッカイマーは
語る。「この物語は私たちが生きている社会で起こった真実であり、ここから”前に
進むこど’を学ぶべきなのです。タイタンズは素晴らしい可能性を証明してくれまし
た。彼らが達成した事は、30年たった今もアレキサンドリアで息づいているのです」
主演のヘッド・コーチ、ハーマン・ブーン役にアカデミー俳優のデンゼル・ワシント
ン。南北戦争の戦場であったゲティズバーグで、ブーンが選手たちに憎み合う事の愚
かさを語るシーンは、これまでのワシントンのキャリアの中でも最高の演技のひとつ
である。ブーンをサポートするコーチ、ビル・ヨースト役には、『アルマゲドン』
『60セカンズ』でも燻し銀の演技が印象的だったウィル・パットン。アレキサンドリ
アの町に新しい自由の風を運ぶロサンゼルスからの転校生、”サンシャイン”ことロニ
ー役には、ポスト”ブラッド・ピット”と評判の高いキップ・パルデュー。本作品をき
っかけに全米で大ブレイクしたキップをはじめ、新世紀のハリウッドを担うヤングブ
ラッドたちが結集し、そのフレッシュな魅力が話題を呼んでいる。

●1971年当時のアレキサンドリア
30年前のアレキサンドリアでは人種隔離政策が実施されており、白人の居住区はセミ
ナー・リッジ、黒人の居住区はウォーターフロント近くのバーグにあった。ブーン本
人によれば、黒人はリッジには近寄らなかった程に、両者の溝は深く、決定的なもの
だった。当時の殺伐とした雰囲気を象徴する事件が、1971年の夏に起こる。ティーン
エイジャーの黒人少年が白人のコンビニ経営者に殺されたのである。「ヤツが危険そ
うに見えたから」というだけの理由で。激しい抗議行動が巻き起こり、暴動が起こる
のも時間の問題と思われた。黒人であるブーンがタイタンズのヘッド・コーチに任命
されたのは、まさにそんな一触即発の時期だったのである。しかも、高校のフットボ
ール・チームのコーチは地域社会のリーダーでもあったため、これまで白人以外から
任命されたことはなかった。人種差別が完全に撤廃された現在のアレキサンドリアを
予測できた者など、果してあの頃いただろうか?だからこそ、タイタンズの存在と、
彼らが成し遂げた事は、町の人々の胸に今も輝かしい”奇蹟”として刻まれているので
ある。

●亡き娘との再会を願って…
実在のブーンやヨーストは、今も深い絆で結ばれている。彼らは脚本段階だけでなく
、撮影時も協力。俳優たちの役作りに貢献した。ブーン役のデンゼル・ワシントンは
素直に役に入りこめたという。「私たちは人生の大部分を子供たちのコーチをして過
ごしてきました。息子のコーチを始めたのは彼が5才の時で、それは今も続いていま
す」。また、ヨースト役のウィル・パットンも”本人”との出会いによって、大いに触
発されたという。「彼は優しく、愛情豊かな人間で、温かい雰囲気を作り出します。
彼がハーマンと組むと、強力な”いい警官”と”悪い警官”のコンビが誕生するのです」
。実は、ヨーストが映画化に協力したのには、大きな理由があった。心臓病のため、
98年に35才の若さで他界した娘のシェリルに、もう一度逢いたいと願ったのである。
「娘の子供たちに、映画の中の彼女を見せてやりたかったのです」。ヨーストに負け
ないくらいフットボールを愛し、彼の素晴らしいアドバイザーだったシェリルの思い
出は、スクリーンの中で永遠になったのである。

★ファンクラブ会長・岡本夏生もひと目惚れした、ポスト・ブラピはこんな人
            ———キップ・パルデュー(ロニー・バス=サンシャイン)
“サンシャイン”というニックネーム通り、タイタンズに爽やかな新風を運んでくるロ
ニー。カリフォルニアからの転校生で、人種への偏見もなく、試合では隠れた実力者
となる。美しい金髪と、タフで甘いマスクで、ロニー役のパルデューは21世紀の若手
スターとして早くも話題沸騰中だ。1976年9月23日、ジョージア州アトランタ生まれ。
エール大学でフットボールを学び、98年に卒業。今回のメンバーの中ではただ一人、
フットボールの実戦経験のあるアクター。アトランタ高校時代からエール大学時代ま
で、実際にクオーターバックをつとめていた。「僕の役はあちこちのチームを見てま
わる優秀なプレーヤーです。彼は別の高校に行く可能性もありましたが、人種統合が
決め手となり、彼も父親もT.C.ウィリアムズ高校を選ぶのです」とパルデューは語る。
俳優の仕事をめざして西海岸に行き、キャンペーン・モデルとして、アルマーニやポ
ロなどの広告で活躍。モリーリングウォルドのパブリストに発見され、TVショー
「Popular」のパイロット版やTVコメディ「7th Heaven」に出演。映画のデビュー作
は”But I’m a Cheerleader”(99)で、コメディ”Whatever It Takes”(2000)にも出演。
今回のロニー役で認められ、レニー・ハーリン監督の新作『ドリヴン』(2001)ではシ
ルベスター・スタローンと共演。元チャンピオンのスタローンの指導を受ける新進ド
ライバー役に抜擢され、大きな期待を集めている。他にもリリー・ソビエスキー共演
のスリラー”Glass House”やコメディ”Rat in the Can”(2001)など作品が目白押しで
ある。

★黒人のヘッド・コーチ———デンゼル・ワシントン(ハーマン・ブーン)
実在するタイタンズのヘッド・コーチ役に挑むのは、アカデミー俳優のデンゼル・ワ
シントンだ。1954年12月28日ニューヨークマウント・ヴァーノン生まれ。ブロンクス
のフォーダム大学でジャーナリズムを専攻。やがて、シアター・ワークショップ・グ
ループに参加し、「オセロ」など数々の舞台に立つ。映画デビューは81年で、89年の
『グローリー』では南北戦争の兵士を演じて、アカデミー助演男優賞に輝く。92年に
は『マルコムX』で実在の運動家マルコムを演じて、アカデミー主演男優賞賞候補と
なる。99年は『ハリケーン!』で投獄される実在のボクサーを演じ、再びアカデミー
主演男優賞候補。『クリムゾン・タイド』(95)等の大ヒット作にも主演し、ハリウッ
ドを代表するトップスターとなった。新作はイーサン・ホーク共演の刑事ドラマ
『トレーニング・デイ』。その他の主な作品に『ソルジャー・ストーリー』(82)
『遠い夜明け』(87)、『から騒ぎ』『ペリカン白書』『フィラデルフィア』(93)、
『戦火の勇気』『天使の贈りもの』(96)、『ゲーム』『悪魔を憐れむ歌』(97)、
『マーシャル・ロー』(98)、『ボーン・コレクター』(99)等がある。

★白人のアシスタント・コーチ———ウィル・パットン(ビル・ヨースト)
ブーンと共に生徒たちを指導するアシスタント・コーチ役。1954年6月14日サウス・
キャロライナ州チャールトン生まれ。ノース・キャロライナ・スクール・オブ・アー
ツで学んだ後、ニューヨークで数多くの舞台に立ち、『フール・フォア・ラブ』の
舞台ではオビー賞に輝いた。映画界では味のあるバイプレイヤーとして活動を続け、
最近では『アルマゲドン』(98)、『60セカンズ』(2000)などの大ヒット作にも出演し
ている。主な作品に『マドンナのスーザンを探して』(85)、『追いつめられて』(87)、
『蜘蛛女』(93)、『依頼人』(94)、『コピー・キャット』(95)、『ポストマン』(97)、
『エントラップメント』(99)等がある。新作は”Trixie”。

★チーム・リーダー———ライアン・ハースト(ゲリー・バーティア)
白人のチームリーダーとして活躍し、黒人のジュリアスと少しづつ温かい友情をはぐ
くむゲリー役で、タフで誠実な人物像を作り上げた。映画製作にも興味を持ち、劇中
登場する16ミリの映像は彼と脚本コーディネーターの共同作品である。1976年生まれ
。母は演技コーチ、父は俳優兼プ
ロデューサーという芸能一家に育つ。テレビ・シリーズ「ビバリーヒルズ青春白書」
、「キャンパス・コップス」などに出演。舞台でも活躍し、「シラノ・ド・ベルジュ
ラック」では演出・脚色・主演を担当。また、キャノン劇場の「ラスト・ナイト・
オブ・バリーフー」ではバックステージ・ウェスト賞の最優秀コメディ演技賞を受賞。
映画はスピルバーグの大作『プライベート・ライアン』(98)をはじめ、
『ポストマン』(97)、『パッチ・アダムス』(98)等に出演。新作に”Venus and Mars”、
“The Woman Every Man Wants”があり、自らの監督作も企画中。

『タイタンズを忘れない』は、2001年4月28日より全国東宝洋画系ロードショー

□『タイタンズを忘れない』作品紹介
http://cinema.fan.to/works/output2.php?oid=41472