アンドリューNDR114/Bicentennial M
愛することなど、プログラムされていないはずだった…。
『アンドリューNDR114/Bicentennial Man(200年生きた男)』
1999年/コロンビア映画・タッチストーン映画作品/ソニー・ピクチャーズ
エンタテインメント配給/ビスタ/全7巻/3,595m/SDDSドルビーSR SRD
字幕翻訳:戸田奈津子/上映時間:2時間11分
・2000年GWより、日劇プラザほか全国東宝洋画系にて公開
<INTRODUCTION>
感じたい、抱きしめたい、涙を流したい_。
もしも僕がただの機械なら、この思いはどこから来たんだろう?
割れてしまったガラスの馬は、少女の小さな宝物だった。
彼女のために、拾ってきた流木で木彫りの馬を作った日。その日から、彼は歩き始
めた。ほんとうの自分にたどり着くための、長い長い道のりを。彼の名は“アンド
リューNDR114”。鋼のボディの中に眠っていたのは、誰よりもやわらかな心だった…。
『ホーム・アローン』シリーズのクリス・コロンバス監督が、『ミセス・ダウト』に
続いてロビン・ウィリアムズと組んだ話題作『アンドリューNDR114』は、自分の中に
芽生えはじめた感情に気づき、人間になろうとするロポットを描く新世紀ヒューマン
ドラマです。
SF界の巨星、アイザック・アシモフの小説を原作とし、ジェームズ・ホーナーとセ
リーヌ・ディオンの『タイタニック』コンビが主題歌を担当しています。工場の製造
ラインから生まれ、愛する心などプログラムされていないはずなのに、誰かとともに
生きたいと願うロボット、アンドリュー。生まれたての子供のような無垢な心を持ち
つづけ、時にはかなわぬ想いに傷つきながら、人間へと“進化”していく彼の姿を通
して、愛とは何か、人間であるとはどういうことなのかを問いかけます。
ごく近い未来に始まり、200年にわたって展開するこの物語の中で、変わらないの
は、ただひとつ、ロビン・ウィリアムスが演じるアンドリュー役。最初に登場する時
はごく普通のロボットですが、アップグレードされるにしたがって表情が豊かになり
動きもスムースになっていく。そして最後には、人間と変わらない外見になります。
250以上のピースを組み合わせて作られた、16キロもある”ロボット・スーツ”を
着て演技をしたロビン・ウィリアムズは語ります。「ロボティック担当の人たちと僕
にとって最大の賛辞だったのは、スタジオの人たちが最初にラッシュフィルムを見た
時に、CGだと思ったと言ったことです。そして、あのスーツを僕が着ていると、単な
るアニマトロニックスとはまったく違って見える、生命がある、と言ってくれたこと
です」。
ロボット・スーツは顔にも装着するため、ロビンの生身の顔は隠れてしまう。当然な
がら、「この段階では、中に入るのはロビンでなくてもいいのでは?」という声が、
スタッフからあがったという。それでも彼は、この重たいスーツの中に入ることを選
んだ。その結果、ロビンならではのエッセンスが見る者に伝わり、スタジオの人々の
“生命がある”という賛辞を引き出したのです。
{ユーモラスでいてどこか切なく、ロボットでありながら人間よりもっと人間的}と
いう、映画史上類を見ない、ヒューマンなロボットが誕生しました。冷たくて硬いア
ンドリューの身体には、一滴の血も流れてはいません。けれど、彼は思います。
僕だって感じたい。涙を流したい。そして、誰かに愛されたい−−−。
その願いは、思いもしなかった結末を彼にもたらすことになる。それがハッピーエン
ドなのかアンバッピーエンドなのかは見る人自身が決めること。しかしアンドリュー
と映画館で出会う”最初から人間として生まれてきた”私たちは、不思議なあたたか
さを胸に感じながら映画館を後にすることになることでしょう。その切ない願いに涙
し、決して他人を傷つけることのない無垢な生き方に癒され、意外な結末に胸をしめ
つけられた後に…。
<STORY>
そう遠くない未来のある日。郊外に住むマーティン家に、ノース・アム・ロボティッ
クス社から大きな荷物が届く。中に入っていたのは、父親のリチャード・マーティン
(サム・ニール)が家族のために購入した最新型のNDR114ロボットだった。料理、掃除、
簡単な修繕、子供の遊び相手あるいは見張り役など、家事全般の仕事をこなすために
作られたこのロボットは、アンドリュー(ロビン・ウィリアムズ)と名付けられた。
マーティン家には4人のメンバーがいた。アンドリューが尊敬を込めて”サー”と呼
ふリチャード・マーティン、“マム”と呼ふリチャードの妻(ウェンディ・クルーゾ
ン)、“ミス”と呼ふ長女グレース(リンジー・リザーマン)、そして“リトル・ミ
ス”である次女のアマンダ(ハリー・ケイト・アイゼンバーグ)。
ロポットという新しいメンバーが家にやってきたことに少し興奮気味のサー。どう接
したらいいか戸惑い気味のマム。一方ミスは、家事ロボットなんてどうせつまらない
家電製品だとバカにしていた。「ロボットは人間の命令に服従しなければならない」
という原則を、アンドリュー自身から聞いて知ったミスは、彼を2階の自分の部屋に
呼び、窓から飛び降りるように命じる。アンドリューは命令に従って飛び降り、身体
(部品)に大きなダメージを負う。この事件をきっかけに、サーは「これからはアンド
リューを人間と同様に扱う」と宣言したのだった。
最初からアンドリューを友達か家族のように感じていたのは、幼いリトル・ミスだっ
た。浜辺でピクニックをしている時、彼女は宝物にしている小さなガラスの馬をアン
ドリューに見せる。しかし馬は、アンドリューの金属の指から滑り落ち、岩に当たっ
て割れてしまった。「アンドリューなんか大嫌い!」というリトル・ミスの言葉を聞
いたアンドリューは、その夜、流木を使って木彫りの馬の人形を作り、リトル・ミス
にプレゼントする。彼女の喜ぶ顔を見た時から、アンドリューはたくさんの優美な木
彫りの動物たちを生み出すようになる。それを見たサーは、アンドリューがただの機
械ではなく創造性や個性を梼った存在だと確信する。たとえ、ノース・アム・ロボ
ティックス社の重役が「人間の形をした家電装品が機械故障の兆候を示していて、そ
れが変わっていると解釈されているだけ」と断言しようとも…。
時は流れ、アンドリューはその創造性にさらに磨きをかけていく。大人になったリト
ル・ミス(エンベス・デイビッツ)とアンドリューの心の交流は相変わらず続き、それ
は彼女が結婚し、子供を産み、年老いても変わることはなかった。成長し、変わって
いくマーティン家の人々に対し、ずっと変わらない自分。アンドリューは、彼らとは
決定的に違うがゆえに、これからも自分がずっと孤独であることを思い知る。
人間とのギャップを狭めるためには人間のような姿になれぱいいのかもしれない、と
彼は思う。しかし、そのための機械的なアップグレードをしてもまだ何かが欠けてい
る。それは自分が住む場所を決めたり、自分の気の向くままにどこかへ行ったり、物
事を選択する権利、つまり“自由”だった。それを得るために彼は大きな犠牲を払う。
生涯の友人であり師であるサーが、アンドリューの望みを理解できなかったのだ。
やがて旅に出た彼は、発明家でロボットエキスパートのルパート(オリバー・プラッ
ト)と友人になり、ロボットがより人間に近くなれる可能性があることを知る。アン
ドリューには今や、かけがえのない友人であり理解者がいた。リトル・ミスの孫娘の
ポーシャ(エンベス・デイビッツ/2役)だ。彼女に触れたい。彼女と同じように涙
を流したい…。
切ない想いを抱えたアンドリューは、部品をすべて人工臓器にし、さらに人問に近づ
く決心をする。
監督:クリス・コロンバス
脚本:ニコラス・カザン
原作:『バイセンテニアル・マン』アイザーツク・アシモフ『聖者の行進』
創元SF文庫内所収短編小説『アンドリューNDR114』
アイザック・アシモフ&ロバート・シルヴァーバーク
製作:ウォルフガング・ぺターゼン、ゲイル・カッツ、ローレンス・マーク
ニール・ミラー、クリス・コロンバス、マーク・ラドクリフ
マイケル・バーナサン
製作総指揮:ダン・コルスラッド
撮影:フィル・メヒュー.B.S.C.
美術:ノーマン・レイノルズ
編集:ニール・トラビス,A.C.E
衣裳:ジョゼフ・G・アウリシ
音楽:ジェームス・ホーナー
主題歌
「ゼン・ユー・ルック・アット・ミー」
作曲:ジェームス・ホーナー
ヴォーカル:セリーヌ・ディオン
サントラ盤:ソニー・クラシカル
シングル:Epic Records
<CAST>
アンドリュー:ロビン・ウィリアムス
リトル・ミス/ポーシャ:エンベス・ディビッツ
サー:サム・ニール
ルパート・バーンズ:オリバー・プラット
ガラテア・ロボティック/人間:キルステイン・ウォーレン
マム:ウェンディ・クルーゾン
リトル・ミス7歳:ハリー・ケイト・アイゼンバーグ
ミス9歳:リンジー・リザーマン
ミス:アンジェラ・ランディス
ビル・ファインゴールド:ジョン・マイケル・ヒギンズ
ロイド:ブラッドリー・ウィットフォード
ロイド10歳:イゴー・ヒラ