ジョン・ジョン・イン・ザ・スカイ
過去をひらくと、大人になれる。
『ジョン・ジョン・イン・ザ・スカイ/john john in the sky』
1999年/アメリカ映画/カラー/ヴィスタサイズ/105分/ドルビーSR
・6月感動のロードショー 銀座テアトルシネマ
<INTRODUCTION>
人気の映画情報番組「シネマ通信」(テレビ東京系)でレポーターとして活躍中の
ジェファソン・デイビスが故郷ミシシッピーを舞台に、自分の過ごした少年時代を
振り返り、アメリカ南部で暮らす人々の自然な姿を描いた感動作です。
ミシシッピーの片田舎で両親と暮らす10歳の少年ジョン・ジョンが夢見ること。そ
れは自分の手で飛行機を作り、この小さな町から飛び立っていくことだった。今の
自分から抜け出し、新しい未来へと向かう旅立ちに憧れるジョン・ジョン。そんな
彼の夢を笑わず、実現させようと手助けするのは、唯一の友達ゼオラ。太っちょで
知的障害をもつ彼女は、親友ジョン・ジョンのことを誰よりも想っていた。2人は
喧嘩をしながらも飛行機を作り上げていくのだが……。
家庭の崩壊が社会問題化している現代人にとって、一番大切でありながら見失いが
ちである”家族”の存在を、懐かしくも新しい視点から描いている。人には誰にも
心に傷があり、立ち直れる場合もあれば、そうでないこともある。主人公のジョン
は分岐点にいた。彼は過去と決別することから、新たな未来を切り開くきっかけを
見つけ出したポジティブに生きるにはどうすればよいか?生き方の指針を与えてく
れる味わい深い作品です。
“人間を愛してやまない”ジェファソン監督のもとには、多彩なスタッフが集まっ
た。作品コンセプトを気に入り、監督と共同脚本を執筆したのはカリ・スコグラン
ド。監督作品『WHlTE LlES』が昨年のロッテルダム映画祭に出品されるなど、その
才能が注目されている。また、アメリカン・フィルム・インスティチュートで学ん
だ映像派ジョエル・ダビードが撮影監督として参加、本作では、最新の話題作『クッ
キー・フォーチュン』(監督ロバート・アルトマン)と同じ舞台となるミシシッピー
州の豊かな田園風景を、独自のこだわりでカメラに美しくおさめた。
主人公ジョン・ジョンには、ハリウッドで“レオナルド・ディカプリオの再来”と
言われ、プロデューサーからのオファーが殺到しているクリスチャン・クラフト少
年。自由のためにジョン・ジョンと一緒に飛行機作りをする知的障害のゼオラに「
シネマ通信」の辛口コメントでお馴染みのラスティ・シュイマー。新作に人気俳優
ジョージ・クルー二一との共演作があり、彼女もハリウッドで注目されている。厳
格なジョン・ジョンの父役にカントリー歌手で、『レインメーカー』のランディー
トラウイス。成人したジョン・ジョンに『マスク・オブ・ソロ』のマット・レッ
シャー、82歳の伝説のブギ・ウギ歌手ハッダ・カレックス(本作でもハッダの名曲
が3曲流れる!)やブロードウェイの名女優アーマー・P・ホール、そして「シネ
マ通信」の相方ロミー・ローズモントが脇を固めている。1999年度カンヌ映画祭出
品で話題を呼んだ『孔雀』(監督クリストファー・ドイル)の製作者時盛裕行が、ア
メリカ作品として初プロデュースしました。
<STORY>
朽ち果てた南部テキサスの小さな飛行場、修理工ジョン・クレイボーンは今日も苛
立っていた。仕事がはかどらない上、職場に押しかけてきた妻と口論になったから
だ。息子のハンターは日常となった両親の喧嘩を横で眺めている。そこへ一本の電
話。車で去る妻に怒号を浴びせ、熱が治まらぬまま受話器をとったジョンに、意外
な用件が伝えられた。−−故郷での、父の死−−。冷静になった彼の頭に、あのと
きの記憶が甦る。
ジョンは30年ぶりに故郷を目指した、ハンターを無理に連れてきたが、自分を軽蔑
する息子をどう扱えばよいか分からない。衝突を繰り返しながら、草を東へと走ら
せる。やがて見えてきた風景に、ジョンは少年時代を懐かしく思い出す。
1968年の夏、ミシシッピーの田舎町で両親と暮らすジョンは、まわりからジョン・
ジョンと呼ばれていた。32歳で外見が太っちょのゼオラは、知的障害のため言動が
トロい、しかし同世代の子供がいないこの町では、彼女がジョン・ジョンの唯一の
友達である、冷たく接することもあるが、ゼオラは必要な遊び仲間なのだ、二人は
今日も丘に登り、農薬を散布する飛行機がおこす風を感じるという危険なゲームに
興じている。
ジョン・ジョンの家庭では父ビリー・ジョーが絶対的な権力者。母サンドラも黒人
メイドのアーリーンも保守的な南部の瞳格さを体現したような彼には逆らえない。
しつけとしてジョン・ジョンを皮ベルトで鞭打ちするビリー・ジョー、ヒッピー文
化に憧れる自分だけではなく、可愛いはずめ息子にも辛く当たる夫のそんな態度に
サンドラは我慢の限界にきていた。
将来パイロノトになりたいジョン・ジョンの飛行初挑戦。それはワゴンで丘を滑り
降りながら腕に付けた翼で飛び立とうとする試みだ。ゼオラも協力してくれたが途
中で転倒して失敗。悔しいジョン・ジョンは、プラモデルを参考に本物の飛行機作
りを決意する。そこには横暴な父の下から母を連れて自由の象徴サンブランシスコ
ヘ逃げたい想いが込められていた。手伝いを命じられたゼオラは、親友の夢の実現
を助けられることが嬉しくてたまらない。
ゼオラの得意なアイロンのおかげで町の変わり者ミスター・シーから芝刈り機のエ
ンジンを、孤児を育てるマザー・シューからは翼に便う布を手に入れることができ
た。秘密の納屋で始まった飛行機作りだが、ジョン・ジョンの心は、夏休みで祖父
の家に来ている都会の少年ヴィンスに移ってしまう。仕方なく一人で作業を続けた
ゼオラだが、大切な布を間違って寸断してしまい、それを見つけたジョン・ジョン
に冷たく突き放される。納屋を追い出され、泣くゼオラ。
そんなガラクタ、飛ぶわけがない、そう言い放つウインスの手前、ジョン・ジョン
は未練を残しつつも、作りかけの飛行機を見捨ててしまう。その代わり、風船ガム
の景品で本物の飛行機が当たるというウインスの話を信じた。自分よりも同年代の
友達を大切にするジョン・ジョンの態度に傷ついていたゼオラだが、彼が誕生パー
ティーに来てくれたことで二人は仲直りする、それはゼオラの養母ミセスーケンド
リックスとフランシスの老姉妹の計らいだった。ときには反発しなかちも、心の中
ではお互いを大切にする二人を、サンドラやまわりの大人達は暖かい目で見守る、
ヴィンスの話が嘘だと分かったジョン・ジョンは、飛行機作りを途中で投げ出した
ことを後悔する。
譲り受けた飛行機を、ゼオラは一人で作り続けていた。ジョン・ジョンがいつかサ
ンフランシスコヘ飛び立つために、一生懸命なゼオラを陰から支えるのはミスター
シー。毎晩、彼女に内緒で少しずつ飛行機を組み立てていた。彼の助けもあり人飛
行機は遂に完成の日を迎える、ビリー・ジョーの出張を機に、サンドラはジョン・
ジョンを連れて家出を決意する。もちろん行き先はヒッピーの都、サンフランシス
コ、大急ぎで草に荷物を詰め込むだがまさに出発直前、嫌な予感がして戻ってきた
ビリー・ジョーに見つかってしまう。強引に車外へ引きずり出され、問い詰められ
るサントラ母に対する暴力を見兼ねたジョン・ジョンは、父に向けてライフル銃を
構えた。
同じ頃、丘の上に勇敢な姿でゼオラが現れた。横には彼女の好きなアイドルダニー
オズモンドに因んで「ダニー」名付けられた飛行機。エンジンをかけプロペラが回
り始める。蠣爽と乗り込み、機体はついに坂の上を走り始めた。徐々に速度が上が
り、大声を出すゼオラ次の瞬間、飛行機は宙に浮かび上がる…。
<STAFF>
製作総指揮/エグゼクティブ・プロデューサー:時盛裕行
ブロテューサー:宮国訪香子
監督:ジェファソン・デイビス
脚本:ジェファソン・ディビス、カリ・スコグランド
撮影監督:ジョエル・ダビード
キャスティング:ダン・シェイナー、マイケル・テスタ
音楽:クリストファー・ワード
衣裳:ヘザー・ベイン
傷集:ブライアン・アプバーグ
美術:C・J・パイル
<CAST>
ビリー・ジョー(ジョン・ジョンの父):ランディー・ドラヴィス
ジョン(成人したジョン・ジョン):マット・レッシャー
セオラ(ジョン・ジョンの親友):ラスティ・シュイマー
サンドラ(ジョン・ジョンの母):ロミー・ローズモント
アーリーン(クレイボーン家のメイド):アシジェヌー・エリス
ウインス(ジョンージョンの悪友):ベンジャミン・オーランスキー
トット(ガソリンスタンドの店主):レズリー・ジョーダン
ハンター(ジョンの子):ジェミニ・バーネット
ミセス・ケントリックス(セオラの養母):ハッダ・ブルックス
ミスター・シー(ガラクタ屋):ジョン・ビーズリー
フランシス(ケンドリックスの妹):アーマ・P・ホール
ジョン・ジョン:クリスチャン・クラフ