『東海道四谷怪談』
1959年/76min/新東宝/新東宝スコープ/カラー

<INTRODUCTION>
監督自らも自認する、中川監督の筆頭に挙がる代表作。冒頭の長回しで情況を一
気に見せる手法、室内に幽霊とともに沼地が出現するセット、また闇と色彩のコン
トラストを生かした西本正の撮影など、美と実験とが満載された、中川信夫入魂の
『四谷怪談』決定版。

<STORY>
備前岡山。浪人民谷伊右衛門(天知茂)は、お岩(若杉嘉津子)との仲を裂かれ、
その父四左衛門を斬ってしまう。仲間の直助(江見俊太郎)の提案で、他人の仕業
にでっち上げるため、お岩、妹のお袖(北沢典子)を連れて敵討ちに江戸へ出る。
お袖に心を寄せる直助は、一緒に出て来ていたお袖の婚約者与茂七(中村竜三郎)
を、伊右衛門と共謀して滝に突き落とす。伊右衛門は、無頼の徒から偶然助けたお
梅(池内淳子)に慕われ、金と出世欲に目が眩んで、邪魔になったお岩に直助の悪
知恵で顔の腫れる薬を飲ませ、あんまの宅悦との密通を仕組んで斬り殺した。
しかし、お岩の亡霊に悩まされた伊右衛門は、錯乱してお梅とその両親、更には
直助も斬り殺した。お岩の霊は、生きていた与茂七をお袖と引き合わせ、二人に伊
右衛門を討たせると、菩薩のような美しい姿で昇天していった。

<STAFF>
脚本:大貫正義、石川義寛
撮影:西本正
美術:黒沢治安
音楽:渡部宙明

<CAST>
天知茂
若杉嘉津子
江見俊太郎
北沢典子
池内淳子
大友純
花岡菊子
林寛
中村竜三郎