映画『禁じられた歌声』各界から絶賛コメントが届きました

2012年に西アフリカ・マリで実際に起きたイスラム過激派による占領支配を元に描かれフランスにて100万人を動員した『禁じられた歌声』(原題:TIMBUKTU)を12月26日よりユーロスペースほか全国順次公開する運びとなりました。
本作は、世界遺産にも登録されている古都ティンブクトゥの美しい砂の街を舞台に、愛と憎しみを通して、人間の「赦し」とは何かを描いた壮大な叙事詩。
フランスでISによるテロ事件が勃発し、恐怖が蔓延し混迷を極めるイスラム過激派の問題。
本作は、イスラム過激派が街を支配していく様、そして難民問題のニュースの裏側がリアルに感じられる作品です。
映画の舞台となった西アフリカ・マリ北部は、2012年から2013年にイスラム過激派に占領されました。
2012年7月、若い事実婚のカップルが子をもうけた罪で投石公開処刑された事件に触発されたアブデラマン・シサコ監督は、本作の製作を決意。
マリで育ったシサコ監督がこの問題をどう描くかにも注目が集まり、カンヌ国際映画祭のコンペに出品された際の2014年の記者会見で過激派支配地域の現実について問われたシサコ監督は、「この映画を勇気ある作品だと言って下さる方がいます。でも、本当に勇敢なのは、あの過酷な状況で暮らす人々です。終わりの見えない不条理の下で静かな闘いを続けている人々がいることを忘れないで下さい」と語った。
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砂漠の中のオアシス。人々の貧しい営みが美しい。弦の響きや歌がとってもいい。なのにそれを潰そうと力を振るう者達。その非条理さ、稚拙さ、無秩序さが滑稽で、、、あまりにも悲しい!
加藤登紀子(歌手)
牧歌的な音楽と篤い祈り、深い家族愛に包まれた砂漠の平和な生活が、溶岩のごとく忍び込んできた「聖戦戦士」たちの「法」によって悲劇と化していく過程は、戦慄なしには見られない。
蓮池薫(新潟産業大学 准教授)
日本の中にいると、日常の有り難さを忘れがちになってしまう。
この繊細で慈愛に満ちた映画はまさに「今」おこっている事を伝えている。
自由とは?人権とは?全て砂漠の蜃気楼
サヘル・ローズ(女優・タレント)
世界を悲劇たらしめるのは人間の“悪意”であり、イスラームは決して暴力的ではないというシサコ監督のメッセージが胸に響く。世界が今こそ冷静になるために、最も必要な作品。
藤本高之(イスラーム映画祭実行委員会代表)
イスラム過激派による支配で自由を奪われていく人々の葛藤、人間としての面を隠しきれずにいるイスラム過激派の心中がリアルに描かれている。
内との葛藤を表現した美しい映画。
鈴木美優(ジャーナリスト)
イスラム過激派が観たとしても、イスラム嫌悪の欧米人が観たとしても、それぞれ「真実」と感じるであろう、深くリアルな作品。
自分がどう感じるかに、自分自身が問われる。
常岡浩介(フリー記者)
テロはエルサレム、ベイルート等だけでなくパリでも起き日常化していく可能性さえ秘めている。それは突然出て来るものではない。この映画は静かに忍び寄ってくる暴力を予言していた。
澤田正道(パリ在住プロデューサー)
日常と非日常、相反する世界が混在する渇望と絶望の中で、禁じられた歌声に胸を抉られた。見過ごしてはいけない世界。
Azumi(シンガーソングライター、DJ、デザイナー)
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執筆者
Yasuhiro Togawa