今冬一番の衝撃作『ジュリアン』が、2019年1月25日より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開いたします。
家族の関係を描いた繊細な人間ドラマでありながら、張り詰めた緊張感が観る者を襲う傑作サスペンス『ジュリアン』。

離婚した父親アントワーヌと母親ミリアムの間で振り回される11歳の息子ジュリアンの葛藤を描いた本作は、『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)が金獅子賞を受賞した《第74回ヴェネチア国際映画祭》にて最優秀監督賞にあたる銀獅子賞を受賞。本国フランスでは40万人動員のロングランヒットを記録し、アメリカの映画批評サイトRotten Tomatoesでは94点の高評価を得ている今冬一番の注目作だ。

監督を務めたのは新鋭グザヴィエ・ルグラン。彼は、フィリップ・ガレルやブリジット・シーなどの作品に出演し、様々な演出家のもとでチェーホフやシェイクスピア、ピンターなどの舞台に立つなど役者としても活躍している。狂気的な父親の嫉妬が描かれる場面でも「彼は怒っているのではなく苦しんでいるんだ」と演出し、父親役のドゥニ・メノーシェ(『イングロリアス・バスターズ』(09))から絶妙な表情を引き出すなど、その俳優としての経験を活かした演出力の高さが評価され、《ヴェネチア国際映画祭》のほか《サンセバスチャン国際映画祭》や《トロント国際映画祭》など、数々の映画祭で喝采を受けている。また、俳優への演出だけでなく、構図や効果音、暗闇のシーンなど映像へのこだわりも強く、感性の豊かさも称賛されているポイントだ。一聴するとグザヴィエ・ドランと間違われそうな名前だが、センスあふれる美しき俳優兼監督という点でドラン監督とルグラン監督は共通している。俳優兼監督が手がけた作品は近年多く誕生しており、グザヴィエ・ドランのほかにも、『アリー スター誕生』(18)のブラッドリー・クーパー、『レディ・バード』(18)のグレタ・ガーウィグなどの若手から、『15時17分、パリ行き』(18)のクリント・イーストウッドや『サバービコン 仮面を被った街』(18)のジョージ・クルーニーなどベテランまで名前を挙げればきりがないが、その作品の多くが監督の思い入れが非常に深い秀作であることに注目したい。『ジュリアン』は、アカデミー賞短編部門にもノミネートされた短編『すべてを失う前に』(12)を自ら同キャストで長編化した渾身の一作。その思い入れの深さ、こだわりを感じ、グザヴィエ・ルグラン監督にご注目いただきたい。昨今の日本でも問題視されている親子の在り方を問う『ジュリアン』は2019年1月25日より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。


監督・脚本:グザヴィエ・ルグラン 製作:アレクサンドル・ガヴラス 撮影:ナタリー・デュラン
出演:レア・ドリュッケール ドゥニ・メノーシェ トーマス・ジオリア マティルド・オネヴ
2017年/フランス/93分/原題:Jusqu’a la garde/カラー/5.1ch/2.39:1/日本語字幕:小路真由子 
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本 配給:アンプラグド  © 2016 – KG Productions – France 3 Cinéma     Julien-movie.com