この度、介護、躁うつ病など、返還後の香港社会の問題を色濃く反映した映画『誰がための日々』より、ポスタービジュアルと予告編の解禁が決定致しました。
ポスターは主人公トン役のショーン・ユーが、2 段ベッドの上で泣き続ける姿を、父親ホイ役のエリック・ツァンがどうしていいかわからず、でも見捨てられずという様子で見守る姿を使用しています。この写真は香港特有の劏房(トンフォン)という部屋の様子です。比較的古いビルに多く見られ、ワンフロアをいくつかの部屋に仕切って貸し出しています。
彼らの部屋は、共同のトイレとシャワーで、通りに面した窓があります。隣の住人とは、壁を通しても話が出来ます。広さは、歩いて 2 歩(本作のエリックのセリフの中にある表現です)。この部屋を物語は展開しますが、俯瞰で撮影したこのスチールは、空間がなく、登場人物たちの心情を表すような写真で、映画の物語を象徴するようなポスターに仕上がりました。
また、予告編は香港版を基調に製作。父子の関係が、母親役のエレイン・ジンの登場で更に明確にされ、父子の現状、そして未来が暗示されるような仕上がりになっています。

新人発掘を目的とした政府の企画に民間団体が賛同し、設立された基金「首都劇情電影計画」の第 1 本目の作品である本作は、ウォン・ジョン監督に香港金像奨、台湾金馬奨で最優秀新人監督賞をもたらし、大阪アジアン映画祭ではグランプリをもたらしました。撮影日数 16 日、製作費 200 万香港ドル(日本円で約 3000 万円)で撮影され、香港での興行収入は 220 万 US ドル(日本円で 2 億 5 千万円)という大ヒットを記録しています。内容的にも興行的にも素晴らしい結果を残す、新人をベテランが惜しみなくバックアップして製作される作品が、この基金から少しずつ生まれてきています。
つまり本作は、新香港ニューシネマが起こりつつあるのではないか、と言われている、昨今多く見られる香港で作られる香港のための映画、の中の代表作であり、このムーブメントは本作から始まっているのです。

【STORY】
病室で父ホイ(エリック・ツァン)が息子とン(ショーン・ユー)の病状について話を聞いている。
薬を飲んでいれば安定しているので、退院し社会復帰の時期だという説明だった。1 年前トンは婚約者ジェニー(シャーメイン・フォン)と家を買い、将来を夢見ていた。しかし母(エレイン・ジン)がひどい火傷を負い、介護が必要となってから、会社を辞め一人で母の介護をしていた。
父は大陸と香港をトラックで往復していて家には寄り付かない。弟はアメリカに留学したまま、現地で就職・結婚し戻ってこない。母は思うようにならない苛立ちをトンにぶつけ、優秀だった弟ばかりを気に掛けている。ある日、介護の極限状態の中、トンはある事故を起こし、最愛の母を亡くす。裁判では無罪、しかし躁鬱病の診断で、措置入院となった。迎えに来た父を、トンは全く家を顧みなかったと恨み、父もまた病気の息子をどうしていいかわからず悩む…。

タイトル: 『誰がための日々』
公開表記:2019 年2月 2 日(土)新宿K’s cinema 他順次公開
配給:スノーフレイク
コピーライト:©Mad World Limited
監督:ウォン・ジョン 脚本:フローレンス・チャン
出演:ショーン・ユー、エリック・ツァン、エレイン・ジン、シャーメイン・フォン
公式HP:www.tagatameno-hibi.com