2011年7月22日。実際に起こったノルウェー連続テロ事件。ウトヤ島での無差別銃乱射事件を72分間ワンカットで映像化した『ウトヤ島、7月22日』(原題 Utoya 22.juli)が、2019年3月8日(金)より全国公開されることが決定しました。監督は『ヒトラーに屈しなかった国王』で、アカデミー賞外国語映画賞ノルウェー代表作品に選出されたエリック・ポッペ。本作は2018年第68回ベルリン国際映画祭にて、エキュメニカル審査員賞スペシャルメンションを受賞しております。合わせて、ティザービジュアルと特報も解禁いたします。

ウトヤ島での無差別銃乱射事件を、72分間ワンカットで映像化した衝撃の意欲作。
 <ウトヤ島での無差別銃乱射事件とは>
2011年7月22日。治安が安定した北欧の福祉国家ノルウェーが、悪夢のような惨劇に襲われた。午後3時17分、首都オスロ政府庁舎爆破事件により8人が死亡。さらに午後5時過ぎ、オスロから40キロ離れたウトヤ島で銃乱射事件が発生。ノルウェー労働党青年部のサマーキャンプに参加していた十代の若者たちなど69人が殺害された。犯人はたった一人。当時32歳のノルウェー人、アンネシュ・ベーリング・ブレイビク。
ノルウェーでは各政党ごとに青年部があり、夏になると若者たちを集めてサマーキャンプを開催する習慣がある。犯人のブレイビクはウトヤ島で労働党青年部のキャンプが行われる7月22日に狙いを定め、オスロで爆破を実行したのちに車で移動し、警官に成りすましてボートで島へ上陸。何の罪もない少年少女を、ライフルと小銃で手当たり次第に撃ちまくった。現地からの度重なる救助要請の通報にもかかわらず、警察の初動ミスに通信トラブルが重なったため、ブレイビクの冷酷な凶行は実に72分間にも及んだ。
単独犯の事件としては史上最多となる77人もの命が奪われたこのテロは、ノルウェーにおける戦後最悪の大惨事となったが、日本での報道は限定的なものにとどまり、事件の全容を知る者は極めて少ない。(同年3月11日、日本では東日本大震災が発生。この震災の報道が長く続いたことも影響したと思われる。)

事件から7年が経過した2018年、奇しくもこの連続テロ事件を題材にした2本の映画が製作され、世界的な関心が再び高まっている。1本は『ユナイテッド93』や“ジェイソン・ボーン”シリーズのポール・グリーングラス監督が手がけたNetflixオリジナルの配信映画『7月22日』。テロによって傷ついた少年がそのトラウマと向き合っていく過程を中心に、ブレイビクの犯行と裁判での言動、国の安全保障の見直しを迫られる首相らの姿を捉え、テロ事件だけでなく事件後何がノルウェーで起きたかを描いた作品。
もう1本がアカデミー賞外国語映画賞ノルウェー代表作品に選ばれた『ヒトラーに屈しなかった国王』のエリック・ポッペ監督が撮り上げた本作、『ウトヤ島、7月22日』である。このうえなく大胆な視点とダイナミックな演出スタイルに貫かれた衝撃作として完成した。ウトヤ島でのテロに焦点を絞り、事件発生から終息に要した時間と同じ尺、つまりリアルタイムの72分間ワンカットで無差別銃乱射事件を映像化する手法に挑戦。全編にわたってカメラが追いかけるのは、突然降りかかった銃撃パニックに激しく取り乱しながらも、愛する妹を必死に捜し続けるカヤという少女である。カヤと友人たち、キャンプで初めて出会った若者たちが極限の恐怖の中でいかに行動していったかを、実際の生存者の証言に基づいて描き出す。センチメンタルなドラマや音楽などの装飾を一切排除した本作は、登場人物の心の葛藤と身体的な反応を生々しいほどダイレクトに伝えてくる。映画と観客の間の垣根をすべて取り払い、想像を絶する緊迫感と臨場感でこのテロ事件を体感させる衝撃作である。

【ティザービジュアル】
この度、解禁されたティザービジュアルは、主人公のカヤの表情が半分以上隠され、彼女の不安と作品の不穏な世界観が伝わってくるビジュアルとなっている。また顔を隠した紙には、ウトヤ島の地図と事件の概要を伝えるコピーが載せられている。まるでこの惨劇の様子をメモ書きしたかのようで緊迫感も伝わってくる。

【特報】
特報映像もかなりインパクトのある映像になっている。犯人に襲われた後と思われる、テントが激しく荒らされ潰された、誰もいないキャンプ場を、カメラがゆっくりと動きながら捉えていく。音楽も無く、聞こえてくるのは、雨の音と、携帯電話など、人々が居た時の生活音のみ。<2011年 7月22日><ノルウェー ウトヤ島><サマーキャンプを襲った><72分間の銃乱射事件><77人が死亡><犯人はたった一人の男>と事件の内容を伝えるコピーが順々に表示され、ここで起きた惨劇を想像させられる。最後には、銃声の中、逃げまどう若者たちをとらえた映像が映し出され、72分間ワンカットのコピーとともに衝撃的な内容を想像できる仕上がりになっている。 

▼東京テアトル 公式YouTube

監督:エリック・ポッペ 『ヒトラーに屈しなかった国王』
配給:東京テアトル 提供:カルチュア・エンタテインメント、東京テアトル