日本人の2人に1人が「がん」になると言われている時代に、
「がん」をおそれるのではなく、知ることから始めたい。
がんのこと、自分のこと、治療のこと、これからの人生のこと。

本作のプロデューサーを務める上原拓治は、4年前に義妹をがんで亡くしました。彼女の死後、「がんと向き合おう」との思いから、本作の製作を決意。ナビゲーターに自身も検診で「乳がんの疑いあり」と判定された経験をもつ若手女優、鳴神綾香を迎え、がんについての基本的な知識を一から学び始めます。

がんについての正しい情報はどこで得られるのか。がんの治療法にはどのようなものがあり、どう選べばいいのか。身体や心の痛みはどうしたら軽減できるのか。そして、がんになった時、人は何を感じ、想い、どのように生きていけるのか…。

がん治療を専門としている腫瘍内科医、外科医、放射線腫瘍医をはじめとした医療従事者や、がん経験者など15人の方々との対話を通して見えてきたのは、「がん」という病気は同じでも、患者さん一人ひとりの人生が違うように、がんとの向き合い方は一人ひとり異なるということ。そして、がんになった時、一緒に悩み、考え、支えてくれる人たちがいるということ。

誰もが、いつがんになってもおかしくない時代に「後悔のない選択をして、自分らしく生きて欲しい」。そんな願いから生まれたドキュメンタリーです。

本作の公開決定にあたり、プロデューサーの上原拓治と監督の三宅流、ナビゲーターの鳴神彩香が発表したコメントは以下の通りです。

■企画・プロデューサー 上原拓治
義妹は4年前に「がん」が発覚し、その翌年に亡くなりました。その時、初めて自分が「がん」について何も知らないことに気づきました。
がんに関する情報を求めて書店へ行き、TVやインターネットでもがんに関する番組を探して見るようになりました。しかし、いずれも私の知りたいことには答えてくれませんでした。「がんについて一から教えてくれるような映画」の必要性を感じ、自らプロデューサーとなり本作の製作を決意しました。
思いもかけなかったことに、がんの話を聞くことは全く恐ろしいことではありませんでした。むしろ、先生たちの話や、体験者さんの話を聞けば聞くほど、がんに対する恐怖は薄れていきました。完成が危ぶまれることもありましたが、その度に不思議と誰かが助けてくれるということが幾度もありました。それはまるで誰かに「絶対に映画を完成させなさい」と言われているようにも感じられました。
本当に個人的な思いから始まったこの映画が、出演者、スタッフをはじめとした多くの方々のご協力のおかげで完成したことを喜ぶと同時に、上映を通して多くの人に届き、自分と同じような後悔や喪失をする人が一人でも減らせたら嬉しく思います。

■監督 三宅流
私自身はがん体験者ではありません。親族にもがん体験者はいなかったので、がんというものが遠い存在でした。怖い病気だというイメージはあるけれど、どこか自分はがんにならないと漠然と思っていました。しかし二人に一人ががんになると知り驚きました。
取材するなかで沢山の医療関係者やがん体験者にお話を聞いて、後悔しない選択をするために最も重要なことは、自分が人生の中で何を一番大切にしているのか、自分がどう生きていきたいのか、ということだと気づきました。「がんになる前に知っておくこと」を知り、自分ががんになったらどうするのかを考えることは、自分自身がどう生きていくのか、を考えることなのだと思います。

■ナビゲーター 鳴神彩香
この映画に関われたことでがんのイメージががらっと変わりました。
最初は漠然と「がん=怖い」というイメージでしたが、実際に医師や患者さんのお話を聞いていくと、医師の方たちはみなさん病気だけでなく、一生懸命に患者さんに向き合おうとされていて、患者の方たちも、本当に自分のやりたいこと、幸せと感じるものを見つけて、強く生きていらした。もちろん大変なこともあるけど、「がんになったら終わり」じゃない。
がんは2人に1人が発症すると言われていて、若い人たちにとっても決して他人事ではありません。たくさんの方に映画を見て欲しいですし、見ていただければ心強く感じてもらえると思います。

<『がんになる前に知っておくこと』に関する情報>

■公開情報
2019年2月2日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開

■公式サイト
http://ganninarumaeni.com/

■作品クレジット
ドキュメンタリー/108分/DCP/2018年/日本

対話者(出演者)
若尾文彦(国立がん研究センター がん対策情報センター長)
勝俣範之(日本医科大学武蔵小杉病院 腫瘍内科教授)
山内英子(聖路加国際病院副院長 ブレストセンター長・乳腺外科部長)
唐澤久美子(東京女子医科大学 放射線腫瘍科教授)
有賀悦子(帝京大学 医学部緩和医療学講座教授)
大野智(島根大学医学部附属病院臨床研究センター長・教授)
近藤まゆみ(北里大学病院 がん看護専門看護師)
橋本久美子(聖路加国際病院 相談支援センター・がん相談支援室)
山口ひとみ(湘南記念病院 ピアサポーター)
土井卓子(湘南記念病院 乳がんセンター長)
秋山正子(認定NPO法人マギーズ東京 共同代表理事 センター長)
岩城典子(認定NPO法人マギーズ東京 常勤看護師 )
塩崎良子(がん経験者/株式会社TOKIMEKU JAPAN 代表取締役社長)
岸田徹(がん経験者/NPO法人がんノート 代表理事) 
鈴木美穂(がん経験者/認定NPO法人マギーズ東京 共同代表理事)

ナビゲーター
鳴神綾香

監督・撮影・編集:三宅流
企画・プロデューサー:上原拓治
整音:吉方淳二
ピアノ演奏:鳴神綾香
制作:究竟フィルム
宣伝美術:成瀬慧
スチール:豊田佳弘
製作・配給:株式会社上原商店
配給協力・宣伝:リガード