この度『エセルとアーネスト（原題）』（チャイルド・フィルム／ムヴィオラ配給）の公開が決定しました。

「スノーマン」「風が吹くとき」などの名作で知られるイギリスの絵本作家レイモンド・ブリッグズが、自身の両親について描いたグラフィック・ノベル「エセルとアーネスト」を原作とした映画『エセルとアーネスト（原題）』が２０１９年秋、岩波ホールにて公開されることが決定しました。

主人公の声を演じるのは、イギリスを代表する名優たち、ブレンダ・ブレッシン（『秘密と嘘』）とジム・ブロードベント（『アイリス』）です。カンヌ映画祭やアカデミー賞の受賞も知られる二人が演じるエセルとアーネストに、原作者のブリッグズは「彼らの声が聞こえてくると、母と父が部屋にいるようでした」と語っています。

ブリッグズの温かみのある絵がそのまま動き出したかのようなアニメーションは、９年という歳月を費やし手描きで制作。監督であるロジャー・メインウッドは、残念ながら本年９月２０日に６５歳で癌のため亡くなりましたが、アニメーターとして映画『風が吹くとき』に参加した他、『スノーマンとスノードック』を監督するなど、レイモンド・ブリッグズと関係が深く、「エセルとアーネスト」の映画化を長年望んでいたといいます。原作への愛情と尊敬に溢れた本作はメインウッドの代表作になることは間違いありません。

そして、本作のエンディング曲「Blink of An Eye」を提供したのは、来日公演中のポール・マッカートニー。ポールはもともとブリッグズの大ファンで、アルバム『McCartneyⅡ』に収録された「Bogey Music」はブリッグズの『いたずらボギーのファンガスくん（原題：Fungus the Bogeyman）』に影響された楽曲であることはファンによく知られていました。監督のメインウッドはこのエピソードを知り、ブリッグズの許可を得て、ポールに「曲を書くことに興味がないか？」という手紙を出し、ポールがこれを了承し、貴重なオリジナル曲が映画に使われることになりました。プロデューサーによると、メインウッドの死に際しては、ポールからもお悔みが寄せられたといいます。

ものがたり）激動の２０世紀を生きた一組の平凡な夫婦の、４０年にわたる心暖まる本当の物語。

１９２８年ロンドン。牛乳配達のアーネストとメイドだったエセルは恋に落ち、結婚し、ウィンブルドンに小さな家を構える。最愛の息子レイモンドの誕生と成長、第2次世界大戦中の苦難の日々にも、二人は寄り添い、笑いあうことを忘れない。戦後の経済発展が進む中、静かに忍び寄る老い・・・しかしいつもエセルの横にはアーネストがいた。激動の20世紀を生きた庶民の歴史を、暖かなまなざしで描いた感動の物語。

2016年/94分/カラー/ドルビー・デジタル/ヴィスタサイズ/イギリス・ルクセンブルグ

監督：ロジャー・メインウッド　原作：レイモンド・ブリッグズ　声の出演：ブレンダ・ブレッシン、ジム・ブロードベント

コピーライト：© Ethel & Ernest Productions Limited, Melusine Productions S.A.,

The British Film Institute and Ffilm Cymru Wales CBC 2016

配給：チャイルド・フィルム／ムヴィオラ

２０１９年秋、岩波ホールほか全国順次公開