『半世界』 第31回東京国際映画祭コンペティション正式出品 観客賞受賞
この度、第31回東京国際映画祭コンペティション部門に出品しワールドプレミアとして上映され各国メディアで最も注目を集めていた阪本順治監督最新作の『半世界』が、観客賞を受賞いたしました。日本映画では、松岡茉優主演の『勝手にふるえてろ』(18)、宮沢りえ主演の『紙の月』(14)、伊勢谷友介主演の『雪に願うこと』(05)と歴代の話題作が受賞しております。
人生半ばに差し掛かった時、残りの人生をどう生きるか―。これまで数々の名作を生み出してきた阪本順治監督と日本のみならず海外でも人気のある稲垣吾郎がこれまで自身のイメージを払拭するかのような体当たりの演技と繊細でかつ観る人に希望を導いてくれるヒューマンドラマを見事に演じきっています。
Q.審査員が選んだ賞ではなく、観客が選んだ賞だということに関しての感想をお聞かせください
A.コンペティションに出た限りはグランプリというのもチラッと脳裏に浮かぶんですけど、これまでいろんな国際映画祭に出品させてもらって観客賞というのもすごい憧れがあったんですよ。プロの方が選ぶというのも光栄ですし、チケットを買っていつも通り観た映画に投票していただいて。今日観客賞というのが有ること知らなかったのですけど、思えばいろんな海外の国際映画祭の時に観客賞というのがあってすごいうらやましいと思った自分がいたんでほんとにうれしかったです。
肩の荷が下りましたね、稲垣くんに僕でよければと言った以上、とてもいい面白い作品に高めていかなきゃいけないという責任や思いがありました。国際映画祭に出品するとは思わないまま撮影していましたけど、観客賞ももらい、肩の荷をおろしつつ。長谷川くん、渋川くん、千鶴ちゃん、みなさん初めての俳優さんで、僕にとっては若手の俳優さんたちということで彼らといろんな気持ちを共有しながら映画を撮る中で彼らに「阪本って本数多いけどどうなの」っていう感じで現場にいたような感じもあって、それで、まあいえば観客賞をいただいて、彼らを交えて大丈夫だったでしょ、ここまで来れたでしょとも言いたいし、今日は彼らと喜びを分かち合うとか、スタッフと分かち合うのかではなくて、僕は僕のために乾杯します(笑
Q.いろんな国内外の映画祭に参加されていると思うのですが東京国際映画祭の印象をお聞かせください
A.荷造りしない国際映画祭大好きです。それと英語ができないので海外の国際映画祭に行ったときに交流できないんです。パーティ行っても壁の花というか、壁のすみっこで「頼むから誰も話しかけてくれるなよ」って思ってしまうので、今回2回上映して、終わった後に外でお客さんと会話がたくさんできたし、感想もいただいたし、そういう意味では自国でやる国際映画祭ならではの過ごし方ができました
Q.男臭い作品がこれまで多いですが今回は万人への応援歌というところが評価されたのだと思います。
今後もこういったテーマが多くなっていくのか女性にクローズアップした作品を作るのかお聞かせください
A.以前から極力自分を模倣しないということで、自分が苦手なジャンルを探そうと思ってきました。それをどこまで受け入れるかは別にして、特にこの5,6年海外に行くことが多かったり、2年前の「団地」っていう、庶民的な話かなと思ったら結果宇宙に行くという、前作はキューバに行って、常にどこか越境するということを続けてきたというこの数年の結果を経て、自分の地元に戻る感覚で小さな話をやってみたい。といっても続けてきた作品の延長線上にありますし、名もなき人たちの小さな生活みたいなのは、また手を付けると思うんですけど、きっとまたどこかに越境します。それはまた男臭い映画なのか、女性を主演に迎えてかというのはわからないけど、自分の生理がその時求めるものだったり、過去の自分をなぞってないということが自分にとって大事なのであり、その中身みたいなものは出会いです。
Q.江波杏子さんの思い出をお聞かせ下さい
A.授賞式が終わって携帯を確認し、知ったので。江波さんとご一緒して思い出すのは、僕より年上の人ですけど、現場の合間にお互いの恋愛観みたいな話をして、「監督結婚していないのになんでわかるの」って言われたり、新聞何を取ってるの?とか新聞にこういう欄があってねとか、演出している途中より、ちょっとした時間に、正直社会的な話をした覚えもあるし、新聞に絡めてね、男と女の話をした記憶があります。とてもなまめかしくて、なんていうかとても凛とされて、度胸のあるかたでした。
<受賞後の舞台挨拶>
舞台挨拶に登壇した監督は紫のハッピ姿で登場!!
観客賞になるとこれがフォーマルになるそうです(笑)
港区の方に頂いたハッピを着ました。
港区の方は、普通にお掃除されてるそうです。まぁ、炭焼き職人の話なのでこれはいいかなと思ってますけど・・・。自分の着たハッピを見ながらこれがフォーマルでいいかと思いました。(水色の軍手と紫のハッピ)
みなさんの投票によって取れた賞なので本当にありがとうございます。
この作品を見て心に届いた人、そうでない人、まずは見て頂いた事がとても有難いです。
強烈なインパクトのあるタイトルだと思いますが。。。
テーマの一つだと思いますが、ずっと海外でロケをしていてどこかで世界というのをモチーフ入れたいと思ってました。世界で起きている出来事と自分たちが生活している小さな日々の出来事は実は地続きで繋がっていると思っている。
僕が説明してしまうとそれが正解のようになってしまうのでそこはみなさんの中でそれぞれの物語を作っていって欲しいと思います。
稲垣さんは、見た事のない自分がそこにいたー。
彼もこのハッピを着たらきっと似合うと思う(笑)
僕よりももっとエレガントに着こなすと思いますけど(笑)
映画は稲垣さん以外にも素晴らし役者が集ってくれて、最初は、稲垣さんありきのところからスタートして、僕で良かったらと言った以上、すごく責任を感じていて、今、トロフィーを頂き肩の荷がおりました。
賞を頂いた時に僕は、みなさんにありがとうと言うのは失礼だと思っていて、みんなそれぞれ色々な思いで働いてきていると思うので、 スタッフやキャストにおめでとうと言いたいです。
感謝の気持ちを伝え舞台挨拶を終えた。
本日、11月2日(金)15時から行われた授賞式で、登壇した阪本順治監督の受賞の喜びの声および登壇の模様を以下にてレポートさせていただきます。さらに、主演の稲垣吾郎からもコメントが届きました。
★11月2日(金)15時~の授賞式レポート(「半世界」阪本順治監督登壇)
受賞の模様と監督のコメント
「観客賞は「半世界」と発表され不意打ちでした」、と驚いたような表情で登場した監督は「父の遺言でスピーチは短めにといわれております」と笑わせながら
「たくさんの方が投票してくださったおかげです。みんなでお祝いします。ありがとうございます」と述べました。
★稲垣吾郎 受賞を受けてのコメント
「この映画をご覧になった皆さんが気に入ってくださり大変うれしく思います。
公開に向けて大きな励みになります。ありがとうございました」
★主な過去の観客賞受賞作
『勝手にふるえてろ』(18/大九明子)、宮沢りえ主演の『紙の月』(14/吉田大八)、『フラッシュバックメモリーズ』(13/松江哲明)、『リトルミスサンシャイン』(06/ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファレス)、『雪に願うこと』(05/根岸吉太郎)など。
脚本・監督:阪本順治 稲垣吾郎 長谷川博己 池脇千鶴 渋川清彦
配給:キノフィルムズ ©2018「半世界」FILM PARTNERS
2019年2月全国ロードショー