フィルムアート社の創立50周年記念企画として、蓮實重彦の映画評論二冊が同時復刊
フィルムアート社が会社創立50周年を記念して、蓮實重彦の『シネマの記憶装置』と『映画はいかにして死ぬか』を新装版として二冊同時復刊する。
出版社フィルムアート社は1968年10月25日に雑誌『季刊フィルム』を創刊をしたことを契機に出版活動をスタートした。発起人は、粟津潔・黒川紀章・今野勉・田之倉稔・勅使河原宏・寺山修司・中原佑介・奈良義巳・松本俊夫ら15名。
以後、映像・アートを中心に、文化へのクリティカルな視点をもった書籍を発行し続けている。
今回復刊されるのは、蓮實重彦著の『シネマの記憶装置』と『映画はいかにして死ぬか 横断的映画史の試み』の二冊。
『シネマの記憶装置』(1979年初版)は創世記の映画から現代の映画までの、その膨大な<フィルム断片>を思考の経験として享受し、その一片一片を記憶の彼方から呼び寄せながら、幾多の作家、スター、そして夢のリールを回る幾多のシークエンスを、豊かな批評言語のなかに鮮やかに甦らせる映画論集となっている。第1章「シネマの記憶装置」は、改行も句読点もない独特の文体で評論が展開されていることでも有名。菊池成孔のコメントが帯に掲載される。
「79年。来るべき80年代に向けて悠々と蜂起された一個人による五月革命。あらゆるメディアが、最悪の記憶喪失装置と化した現在からパースペクティヴされる、一文字残らず金言だけで編まれた、まるで非現実のような最良の記憶喪失装置。」 菊地成孔(音楽家 / 文筆家)
『映画はいかにして死ぬか 横断的映画史の試み』(1985年初版)は、わかりやすい言葉と魅力あふれる語り口で展開する「映画講義」となっている。レイ、ロージー、フラー、サーク、小津、トリュフォーなど、輝かしき饗宴を担った幾多の映画人たちへ深い追憶を捧げながら、大胆な省略と繊細な手さばきで、映画史の風土を滑走する鮮やかな一書。こちらのコメントは、映画監督の濱口竜介。
「未だ現在進行形の「映画の死」。あなたは間に合ってしまった。とすれば、本書を読む以外の選択肢はない。」濱口竜介(映画監督)
この二冊は、フィルムアート社の最初の発行物となった雑誌『季刊フィルム』の創刊号と同じ10月25日に刊行される。装丁は名久井直子。
『シネマの記憶装置 新装版』
フィルムアート社 2018年10月25日(木)
本体:2,200+税
http://filmart.co.jp/books/review/kioku/
『映画はいかにして死ぬか 横断的映画史の試み 新装版』
フィルムアート社 2018年10月25日(木)
本体:2,200+税