今年15年目を迎えるスペイン&ラテンアメリカ映画の祭典「ラテンビート映画祭(LATIN BEAT FILM FESTIVAL2018)」を、11月1日より新宿、大阪、横浜で順次開催いたします。本映画祭は、ラテン各国の最新作を含む選りすぐりの14作品を映画館で見ることのできる貴重な映画祭です。

今年のラインナップは、ロマのコミュニティーで生きる10代の女性同士のピュアな恋愛を描いたスペイン映画『カルメン&ロラ』、スペイン出身の新鋭グスタボ・サンチェス監督がニューヨークで生きるLGBTQの人々を10年間取材したドキュメンタリー『I Hate New York』、パラグアイ映画史上初のベルリン国際映画祭アルフレド・バウアー賞と女優賞をダブル受賞した心理ドラマ『相続人』や、日本にも多くのファンがいるヴィム・ヴェンダースがアルゼンチン出身のフランシスコ法王の本音に迫った新作ドキュメンタリー『ローマ法王フランシスコ』、ゴヤ賞受賞監督パブロ・ベルヘルの新作のヒューマンドラマ『アブラカダブラ』、コロンビアの先住民族の生活に密着した社会派ドラマ『夏の鳥』、昨年話題になった日本・キューバ合作、オダギリジョー主演の『エルネスト』、社会派アニメーション『アナザー・デイ・オブ・ライフ』、イーストLAの音楽を愛する宮田信の奮闘と執念を描いた短編ドキュメンタリー『アワ・マン・イン・トーキョー ~ザ・バラッド・オブ・シン・ミヤタ』など、バラエティに富んでおります。

また、今年はブラジルをフィーチャーし、バイオレンスやサッカー、サンバだけではない、ブラジルで生きる市井の人々の“今”にスポットを当てた5作品『ベンジーニョ』『夢のフロリアノポリス』『ハード・ペイント』『サビ』『激情の時』を上映します。毎年恒例の来日ゲストによる舞台挨拶ティーチインも予定しております。

【開催場所&日程】

新宿バルト9 : 11月1日(木)~4日(日)、9日(金)~11日(日)
梅田ブルク7 : 11月17日(土)、18日(日)
横浜ブルク13 : 11月23日(金・祝)~25日(日)

【来日/登壇予定ゲスト情報】
アランチャ・エチェバリア  『カルメン&ロラ』監督
パブロ・ベルヘル    『アブラカダブラ』監督
グスタボ・サンチェス  『I Hate New York』監督
オダギリジョー    『エルネスト』出演
阪本順治       『エルネスト』監督
*変更の可能性もございます。

オフィシャルサイト: http://www.lbff.jp
オフィシャルFacebook:facebook.com/LatinBeatFilmFestival
オフィシャルTwitter:@LBFF_2018

主催:LBFF実行委員会  プロデューサー・プログラミングディレクター:アルベルト・カレロ・ルゴ  会場運営:(株)ティ・ジョイ 

【上映作品情報】

『カルメン&ロラ』 Carmen y Lola

監督:アランチャ・エチェバリア/出演:ロシー・ロドリゲス、サイラ・ロメロ、カロリナ・ジュステ/2018年/スペイン/ドラマ/103分

マドリード郊外にあるロマのコミュニティーで暮らすカルメンは、他の多くの女性たちと同じように、適齢期になったら結婚して母になる人生を歩もうとしている。一方、ロラは同じロマ出身でありながら、大学進学の希望を捨てず、鳥の絵を描きながら自立した女性になることを願っている。ロラは町で出会ったカルメンに強く惹かれるが、カルメンはロラの従兄の婚約者だった…。古い慣習に縛られる閉鎖的なロマのコミュニティーで生きる若い女性の禁断の恋をストレートに描いている。ロマのリアルな生活や音楽・ダンスも見どころのピュアなラブ・ストーリー。

予告編 https://www.youtube.com/watch?v=beAhL6YQypg

『I Hate New York』

監督:グスタボ・サンチェス/出演:アマンダ・ルポール、クロエ・ズビロ、ソフィア・ラマール、T・ デ・ロング/2018年/スペイン/ドキュメンタリー/75分 (※『アワ・マン・イン・トーキョー ~ザ・バラッド・オブ・シン・ミヤタ』と同時上映)

鏡に囲まれた部屋で暮らす妖艶なドラァグクイーン、男装の前衛アーティスト、生き辛いキューバを脱出しニューヨークにやって来たトランスジェンダー、HIVと闘う元パンクバンドのボーカリスト…。ニューヨークのアンダーグラウンドシーンで生きるLGBTQの人々を2007年から2017年までの10年間取材し、舞台上で見せる華やかな世界とは違う裏の素顔、彼らが経験した差別や病気への恐怖、苦悩に迫ったドキュメンタリー。スペイン出身のグスタボ・サンチェス監督のデビュー作で『ジュラシック・ワールド/炎の王国』のJ.A.バヨナ監督が製作総指揮を務めている。

予告編 https://www.youtube.com/watch?time_continue=2&v=vyUy6jlqfNM

『アワ・マン・イン・トーキョー ~ザ・バラッド・オブ・シン・ミヤタ』 

OUR MAN IN TOKYO (THE BALLAD OF SHIN MIYATA) 

監督:アキラ・ボック/制作:全米日系人博物館(ロサンゼルス、カリフォルニア)/出演:テックス・ナカムラ、ルベン・ゲバーラ、ケッツァル、ルイス・J・ロドリゲス、デイヴィッド・W・ゴメス、エル・ハル・クロイ、チカーノ・バットマン、ジョー・バターン、ヘクター・ゴンザレス、宮田信/2018年/米国/ドキュメンタリー/18分(※『I Hate New York』と同時上映)

人口の約半分がラティーノを占めるロサンゼルスのなかで、文化・社会的拠点であるイーストLAの音楽を日本に20年以上に渡って紹介してきた東京のレコードレーベルのオーナー、宮田信の奮闘と執念について描いた短編ドキュメンタリー。イーストLAとの個人的なつながり、多様かつ本物のチカーノ文化を日本に紹介するにあたっての喜びと困難、太平洋の両サイドにおいて既成概念を打ち壊そうとする宮田の意識的な努力について探っている。グラミー受賞者であるケッツァル、大人気のチカーノ・バットマンやエル・ハル・クロイ、ローライダーを魅了してきたジョー・バターンなど多数のアーティストたちが登場する。

『アブラカダブラ』 ABRACADABRA

監督:パブロ・ベルヘル/出演:マリベル・ベルドゥ、アントニオ・デ・ラ・トレ、ホセ・モタ/2017年/スペイン/ドラマ/96分

カルメンは夫のカルロスを連れ甥の結婚式に出席。カルメンの従兄ペペの余興の催眠術ショーを茶化してやろうとカルロスは被験者を買って出る。一度はインチキだと笑い飛ばしたものの、まもなくカルロスの性格が一変。サッカーにしか興味のないダメ夫から家事に勤しむ優しい夫へと変貌する。妻カルメンは夫の身に何が起こったのか突き止めようと奔走する。『天国の口、終りの楽園。』で知られる女優マリベル・ベルドゥと個性派俳優アントニオ・デ・ラ・トレの演技が光るサスペンスタッチのヒューマンコメディ。監督は『ブランカニエベス』のパブロ・ベルヘルが務めている。

予告編 https://www.youtube.com/watch?v=v7LM0T-cIyA

『相続人』 Las herederas

監督:マルセロ・マルティネッシ/出演:アナ・ブルン、マルガリタ・イルン、アナ・イバノバ/2018年/パラグアイ・ウルグアイ・独・ノルウェー・ブラジル・フランス/ドラマ/97分

外交的なチキータと部屋で絵を描いて過ごすのが好きなプライドの高いチェラは、長い間生活を共にしてきた熟年のレズビアンカップル。二人は生活のため、チェラが親から相続した高価な調度品を売りながらなんとか生計を立てている。ところがチキータが逮捕されたことでチェラの生活は一変。一人で生きることを余儀なくされたチェラは、近所の裕福な老婦人のための運転手を始める。悩み多き中年女性の心の揺らぎを繊細に描いた心理ドラマ。パラグアイの新鋭マルティネッシ監督は長編初監督作となる本作で2018年ベルリン国際映画祭アルフレド・バウアー賞と女優賞を受賞した。2019年開催の米国アカデミー賞外国語映画部門パラグアイ代表作。

予告編 https://vimeo.com/275240511

『夏の鳥』 Pajaros de verano

監督:クリスティナ・ガジェゴ、シーロ・ゲーラ/出演:カルミニャ・マルティネス、ホセ・アコスタ、ナタリア・レイエス/2018年/コロンビア・メキシコ・フランス・デンマーク/ドラマ/125分

マリファナの栽培・密輸産業が暗躍していた70年代後半のコロンビア。北部ラ・グアヒラの砂漠で暮らす先住民族ワユーの一族は、マリファナの密輸で冨を得ようとする者と、昔ながらの伝統的な暮らしを続けようとする者たちとで激しく対立する。コロンビアの荒野を舞台に、麻薬取引によって先住民族の文化・伝統が壊されていく様を描いた社会派ドラマ。前作『彷徨える河』が世界各国で絶賛され、コロンビア史上初の米国アカデミー賞外国語映画賞候補となったシーロ・ゲーラ監督と、プロデューサーのクリスティナ・ガジェゴ夫妻が共同で監督している。2019年開催の米国アカデミー賞外国語映画部門コロンビア代表作。

予告編 https://www.youtube.com/watch?v=5oT6gCpc1r0

『ローマ法王フランシスコ』 El Papa Francisco, un hombre de palabra

監督:ヴィム・ヴェンダース/出演:フランシスコ法王/2018年/スイス・バチカン市国・イタリア・ドイツ・フランス/ドキュメンタリー/96分

『ベルリン・天使の詩』『セバスチャン・サルガド/地球へのラブレター』『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』など、数々のフィクションやドキュメンタリーの名作を手掛けてきた巨匠ヴィム・ヴェンダース監督が、バチカン市国の協力のもと、フランシスコ法王とのインタビューを敢行。アルゼンチン人として初めて法王となったフランシスコ法王が、世界が直面している貧困、環境問題、社会問題など、さまざまな質問に対して真摯に応えている。フランシスコ法王に対するヴェンダース監督の尊敬と愛情が詰まったドキュメンタリー。

予告編 https://www.facebook.com/ThePopeMovie/videos/10156824120260730/

『アナザー・デイ・オブ・ライフ』 Another Day of Life

監督:ラウル・デ・ラ・フエンテ、ダミアン・ネノウ/声の出演:ミロスワフ・ハニシェフスキ/2018年/ポーランド・スペイン・ドイツ・ベネルクス・ハンガリー/アニメーション/86分

1975年のワルシャワ。ベテランのジャーナリスト、カプシチンスキは、ポルトガルから独立して間もないアンゴラの首都ルアンダへ取材のために赴任。そこでカプシチンスキは、混乱を極めるアンゴラの実情を目の当たりにする。原作は、現代のジャーナリズムの巨人とも評されるリシャルト・カプシチンスキが、アンゴラ内戦の3カ月間を記したノンフィクション「Another Day of Life」。監督のラウル・デ・ラ・フエンテは『Minerita』で2014年のゴヤ賞短編ドキュメンタリー最優秀賞を受賞している。

予告編 https://vimeo.com/266690790

『エルネスト』

監督:阪本順治/出演:オダギリジョー、永山絢斗、ホワン・ミゲル・バレロ・アコスタ/2017年/日本・キューバ/ドラマ/124分/配給:キノフィルムズ (C)2017“ERNESTO”FILM PARTNERS

日本とキューバの合作映画『エルネスト』は激動の時代を駆け抜け、祖国ボリビアでの抵抗運動に身を投じた“日系二世の若い戦士”の鮮烈な知られざる生涯を描いた作品である。ゲバラからファーストネーム「エルネスト」を授けられ、戦士名〈エルネスト・メディコ〉と呼ばれ、ボリビアの山中にて25歳で散った青年、フレディ前村。短くも決然と濃厚な命を全うした彼は1941年、鹿児島県出身の父とボリビア人の母のもと生を受けた。フレディは医師を志しキューバの国立ハバナ大学へ留学。そこでキューバ危機のさなか、自分の運命を変えるチェ・ゲバラと出会い、人間的な深い魅力に心酔した彼は、やがて軍事クーデターから祖国を解放すべくゲバラの組織する部隊に参加、社会の不平等是正と貧困の根絶を胸にボリビア軍事政権へと立ち向かっていく。

予告編 https://www.youtube.com/watch?time_continue=8&v=BFJ8HGRD5xI

CINEMA do Brasil -ブラジル映画特集-

『夢のフロリアノポリス』 Sueno Florianopolis

監督:アナ・カッツ/出演:メルセデス・モラーン、グスタボ・ガルソン、マルコ・ヒッカ/2018年/アルゼンチン・ブラジル・フランス/ドラマ/106分

1992年の夏。精神分析医のペドロとルクレシア夫婦は10代の子供たちと共に、ボロ車でブエノスアイレスからブラジルのビーチリゾート、フロリアノポリスへ向かう。旅の途中、ガス欠で立ち往生した彼らにガソリンを譲ってくれたブラジル人マルコは、ルクレシアに連絡先を渡し、自分の別荘に来るよう誘う。のどかなリゾート地を舞台に、離婚の危機にある中年夫婦の心の機微をリアルに描いたヒューマン・ドラマ。『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』(LBFF2017)で詩人ネルーダの妻役を熱演した女優メルセデス・モラーン主演。監督は女優としても活躍するアナ・カッツ。2018年のカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭では審査員特別賞と女優賞を受賞している。

予告編 https://www.youtube.com/watch?time_continue=3&v=9eU8nFnQ43E

『ベンジーニョ』 Benzinho

監督:グスタボ・ピッツィ/出演:カリネ・テレス、オッターヴィオ・ミュラー、アドリアナ・エステヴェス/2018年/ブラジル・ウルグアイ・ドイツ/ドラマ/95分

リオ郊外に住むイレーニとクラウスの夫婦は4人の子供を育てながら、家を買うために仕事と育児に追われる日々を送っている。生活は楽ではなかったが、イレーニは家族で一緒に過ごすことに幸せを感じていた。そんな中16歳の長男フェルナンドがハンドボールのプロ選手としてドイツに招待されることになった。イレーニは愛する我が子の旅立ちを素直に喜ぶことができない。修復不能なボロボロの我が家、夫の仕事の問題、さらには姉家族のトラブル等々、問題山積みで心が折れそうになりながらも、家族のために立ち上がる母親の奮闘を描いたファミリー・ドラマ。主演のカリネ・テレスは共同脚本も務めており、2018年のグラマード映画祭ブラジル映画部門で女優賞を受賞している。

予告編 https://www.youtube.com/watch?v=uOjeD6K469Y

『ハード・ペイント』 Tinta bruta

監督:フィリペ・マッツェンバシェル、マルシオ・ヘオロン/出演:シコ・メネガチ、ブルーノ・フェルナンデス、ゲガ・ペイショット/2018年/ブラジル/ドラマ/118分

内気な青年ペドロは、狭い部屋の中で、体中を派手な蛍光塗料でペインティングして踊るパフォーマンス動画を撮影することを日常にしている。時には金のためにユーザーからの要求に応じた行為に及ぶこともある。ペドロの唯一の家族である姉のルイザが家を出ていった後、彼と似たような動画を流すライバルの存在を知ったペドロは、部屋を出てそのライバルに会いに行く。閉塞感の漂うブラジル南部の中都市ポルトアレグレを舞台に、デジタルな世界でしか自己表現できない孤独な青年の日常を個性的な視点で描いたアート作品。2018年のベルリン国際映画祭テディ賞受賞。

予告編 https://www.youtube.com/watch?v=CCr9vHOu19I

『サビ』 Ferrugem

監督:アリ・ムリチバ/出演:ティファニー・ドプケ、エンリケ・ディアス、クラリッサ・キスチ/2017年/ブラジル/ドラマ/100分

タチは、スマホで映像を友達と共有し、SNSを使ってコミュニケーションをとることが好きな16歳の女子高生。ある週末、学校の友人たちと旅行に出かけたタチは、どこか影のある口数の少ない同級生ヘネと親しくなる。だが、スマホを失くし、タチのプライベートな映像が流出したことをきっかけに、彼女の平穏だった日常が狂い始める…。スマートフォンやSNSを使ったコミュニケーションによって生じる人間関係のひずみやプライバシーの流出、10代の若者が陥りがちな孤独感等、世界共通の社会問題に鋭く迫ったシリアスドラマ。2018年のグラマード映画祭では最優秀ブラジル映画賞を受賞している。

予告編 https://vimeo.com/251212900

『激情の時』 No Intenso Agora

監督:ジョアン・モレイラ・サレス/2017年/ブラジル/ドキュメンタリー/127分

1966年文化大革命初期の中国、1968年五月革命時のパリ、プラハ、そしてリオデジャネイロ。学生運動の高まりや東西の対立といった歴史だけでなく、その時代を生きた人々の高揚感や怒り、失望といった感情にも迫ったアーカイブ映像の数々。また当時の中国を訪問した監督の母親の映像記録や、残されたドキュメント等を、監督独自の視点でまとめ上げ、歴史の意味についても切り込んでいる。ジョアン・モレイラ・サレス監督は、日本で大ヒットした『セントラル・ステーション』で知られるウォルター・サレス監督の弟で、『Santiago』(2007)、『Nelson Freire』(2003)等のドキュメンタリー作品で数々の賞を受賞。本作では2017年の山形ドキュメンタリー映画祭で審査員特別賞を受賞している。

予告編 https://vimeo.com/240841267