海外ドラマ専門チャンネル『スーパー!ドラマTV』は、地下鉄で起きた人質テロ事件の息詰まる攻防と事件に関わる人々の心理を緻密に描いたデンマーク発のアクションドラマ「BELOW THE SURFACE 深層の8日間」を10月4日(木)22:00より独占日本初放送します。

「BELOW THE SURFACE 深層の8日間」は、近年、ヨーロッパで頻発しているテロ事件を題材にしており、テロリスト VS 対テロ特殊部隊の攻防を縦糸に、事件に絡む人々の心理や人間関係を横糸にして、
ダイナミックなサスペンス・アクションに仕立てたドラマである。

全8話からなる本作は、同じデンマーク発の大ヒットドラマ「THE KILLING/キリング」と同様に、1つの事件が解決するまでの8日間を1日1話で描き、さらに1話の中で登場人物のうちの1人の過去が回想の形で語られるというスタイルをとっており、サスペンス・アクションとしてもドラマとしても見ごたえのある内容に仕上がっている。
「THE KILLING/キリング」「THE BRIDGE/ブリッジ」などアメリカでもリメイクされている良作を世に送り続けているデンマーク。
派手さはないものの、静かな語り口と繊細な心理描写、そして歴史ある美しい街並みなど、アメリカのドラマにはない独特の雰囲気がある。
アメリカやイギリスのドラマとは違った魅力で、視聴者を魅了する独特の面白さの理由とは?そしてデンマーク・コペンハーゲンの魅力は?


ここ10年ぐらいの北欧ドラマの充実ぶりは、世界的な注目を集めている。「ミレニアム」3部作はハリウッドで『ドラゴン・タトゥーの女』として映画化され、
日本でも北欧ミステリーブームの火付け役となった「THE KILLING/キリング」、「THE BRIDGE/ブリッジ」はアメリカほか各国でリメイクされる大ヒットとなった。今年は Netflix でデンマーク発のオリジナルドラマ「ザ・レイン」が配信され、来年は『ドラゴン・タトゥーの女』の続編『蜘蛛の巣を払う女』の劇場公開が予定されている。同様に、北欧出身のスターも映画にドラマに大活躍。「HANNIBAL/ハンニバル」のマッツ・ミケルセンを筆頭に、「ゲーム・オブ・スローンズ」のニコライ・コスター=ワルドーや「ビッグ・リトル・ライズ」のアレクサンダー・スカルスガルド(とその一家)、映画『ミッション:インポッシブル』シリーズで存在感を見せているレベッカ・ファーガソンなど、次々とハリウッドのメインストリームに名乗りを上げている。北欧の映像業界は、まだまだ知られざる才能や新たな人材が眠る宝庫なのだ。

そんな中、デンマークから新たな話題作「BELOW THE SURFACE 深層の 8 日間」が、いよいよ日本でも放送となる。首都コペンハーゲンで、地下鉄の乗客 15 人を人質にとったテロ事件が発生。多額の金を要求する3人の犯人たちと、対テロ特殊部隊の攻防戦が幕を開ける。
現場の陣頭指揮にあたるのは、中東で軍務中に捕虜になって拷問を受けた経験のあるフィリップ。
どこか鬱屈したものを抱えながら、強いリーダーシップを発揮すると同時に怒りをあらわにすることもあるフィリップは、タフで有能、仏頂面でクセのあるキャラクターがいかにも北欧ドラマらしい味付けで渋い魅力。このフィリップや人質、犯人、関係者の過去を含めた人間描写には、背景にあるデンマーク社会が抱える問題も見え隠れする。

アメリカやイギリスのドラマで見慣れているような中東や移民をめぐるテーマはデンマークも同じなんだなと納得したり、そういう事情がデンマークにはあるの
かといった驚きや発見も。異文化を知るという意味でも海外ドラマを観る本来の楽しみがあるのと同時に、優秀な北欧ミステリーらしくきっちりと張り巡らされた伏線と、それらを回収していく終盤は社会派のテイストもあって見ごたえがある。

一方で、北欧ドラマといえば、重厚で密な映像世界に独特の味わいが、ともすれば地味な印象(そこが良さでもある)にもなりがち。だが、本作は対テロ特殊部隊の活躍を描くとあって、爆破や銃撃戦、肉弾戦などアクションも派手でハリウッド的な華やかさがあり、北欧ドラマの幅の広さ、進化を感じさせる一作でもある。主演のヨハネス・ラッセンは、デンマークやスウェーデンの映像作品で活躍する実力派。次なるスター候補として今から注目しておきたい。
(執筆:今 祥枝)


■デンマーク文化に精通した大学教授が語るデンマークの魅力
大晦日の晩にマルグレーテ女王がテレビを通じて国民に直接語りかける。これは、国民の中心に王室が存在することを強く感じさせる恒例の行事である。
その時必ず国外のデンマーク人に思いを馳せるのだが、昨年末も平和を守るためイラクやアフガニスタンに派遣され任務を遂行しているデンマーク兵士たちに心からの感謝と新年の挨拶が送られた。
デンマーク王室は古い歴史を誇り、1448 年からの約 400 年間はオレンボー朝の時代と呼ばれている。1750 年頃そのオレンボー朝の 300 周年を記念して、フレゼリク 5世がコペンハーゲンの一角に優雅な街並を計画した。それが現在アマリエンボー宮殿、フレゼリク教会のある一帯である。
円屋根が印象的なフレゼリク教会はマーモア(大理石)教会と通称されており、完成は 1894 年。円屋根の内側には十二使徒が描かれている。
教会からアマリエンボーへ、さらに海を隔てて 2005 年竣工のオペラハウスへ視線を移すと、見事に軸が一直線に伸びているのがわかる。
また、海辺には 2008 年建設の新王立劇場があり、従来の王立劇場とともに多彩な文化空間が展開している。
コペンハーゲンはこぢんまりとした街である。2002 年に開業した地下鉄は徐々に整備されており、来年には市庁舎前広場やマーモア教会なども駅名として並ぶ環状線が完成する。

市内には都市計画と無縁のユニークな場所がある。クリスチャニアと呼ばれる一画で、1971 年に若者たちが廃棄された軍施設を占拠し、一種の「自由都市」を宣言したことに始まる。そのまま半世紀近くも生き残り、現在も約 1000 人が居住し、今では観光スポットにもなっている。
こうした例からも伺えるように、デンマーク人は元来多様な価値観に対して非常に寛容な国民である。しかし 578 万人という人口の国にとって近年の移民・難民の急激な流入は深刻な問題となった。
移民たちにデンマークの価値観に従うよう求めざるを得なくなったのである。

人々の暮らしぶりを見ると、誕生日に対し特別な思い入れを持っていることがわかる。特に 50 歳など十年毎の区切りの誕生日の祝い方は、あまりに大がかりで驚かされる。歌を歌い、ケーキに国旗を飾る。素朴な喜びを愛する一方で、女王のスピーチにならって、誕生日には誰もが所感を述べ丁寧に感謝の心を伝える。気さくであると同時に形式を重んじるその姿に、王国としての長い歴史の反映が見られるように思う。
歴史ある教会やモダンな建物を舞台に人質たちの人生も描かれており、ドラマを通して現代のデンマークをリアルに感じることができた。
(執筆:東海大学文化社会学部北欧学科教授 福井信子)


■「BELOW THE SURFACE 深層の 8 日間」作品DATA■
原題:BELOW THE SURFACE/Gidseltagningen
2017 年/デンマーク/二カ国語(日本語・デンマーク語)
60 分/HD 作品/全 8 話
<スタッフ> 企画:カスパ・バーフォード
製作総指揮:アダム・プライス、ソーレン・スヴァイストゥルップ
<キャスト>フィリップ・ノアゴー…ヨハネス・ラッセン(神谷浩史)
ルイーセ・ファルク…サーラ・ヨート・ディトレセン(安藤瞳)
ナヤ・トフト…パプリカ・スティン(松熊つる松)

「BELOW THE SURFACE 深層の 8 日間」番組ホームページ www.superdramatv.com/ lineup/SN0000000782.html