この度の樹木希林さんのご逝去の知らせを受けまして、「あん」関係者一同、驚きとともに悲しみにたえません。
この映画における樹木希林さんは、撮影から宣伝、公開後のトークイベントまで、全身全霊を以って作品そしてそのテーマを広く今のこの世に知らしめようと精力的に動いてくださいました。深い感謝とともに心からご冥福をお祈りいたします。

「あん」関係者一同

樹木さんを偲び、追悼上映会をしたいと興行関係者から声があがりました。
19日(水)までに約90スクリーンでの上映が決まりましたので御報告申し上げます。
これに合わせて、添付の様に新ビジュアルを展開いたします。

【追悼上映について】
10月や11月、イベント上映などを含めると90スクリーン近くになります。
※2015年5月30日公開時は77スクリーンでした。同時スタートではない事、上映回数は少ないので比較は出来ませんが、この実質2日間でこれだけの劇場から手が挙がる事は、樹木希林さんに対して追悼の意を映画館として、映画人として表したいという表れだと感じています。

<イオンシネマ> 9/21(金)~ 29スクリーン / 9/28(金)~ 33スクリーン
<その他 劇場> 9/22(土)以降順次 約30スクリーン(5月19日現在)
※時期調整中、エリアバッティングでHPには載せられない劇場も含めます。
http://zounoie.com/theater/?id=an (☜公式HP劇場欄)

◆ドリアン助川コメント(公開時)
「重い運命と闘いながら、人間の可能性をどこまでも追求しようとした人たちがいる。ハンセン病の元患者のみなさんの文学や芸術、言葉や笑顔に触れるのは、「人間とはなにか」という古くからの命題に、ひとつの答えをいただくことです。栄光や喝采のない場所にこそ、本当のヒーローやヒロインがいる。私が小説「あん」を書き上げたのは、元患者のみなさんから教わることがあまりにも多かったからです。ただ感謝の念があるのみです。ドリアン助川」

◆樹木希林コメント(公開時)
ドリアン助川さんの原作を読んで深く感銘を受けました。自分が全く知らない世界-閉じ込められた人生-を知るという機会に巡り会い、実際の元患者さん達にはすぐに会いにいきました。彼等から日々の生活のこと等を聞き、過去には隔離されて生活していた方々のことを全く知らないで今に至る自分を恥じました。厳しい時代だったであろう過去を持ち、今は当たり前に生きている彼等から、“生きている”という人間のたくましさを感じます。そういった事実をただ河瀨監督が悲劇的に描くのではないということ、わかっているので、安心して演じております。

◆ドリアン助川コメント(公開時)
「重い運命と闘いながら、人間の可能性をどこまでも追求しようとした人たちがいる。ハンセン病の元患者のみなさんの文学や芸術、言葉や笑顔に触れるのは、「人間とはなにか」という古くからの命題に、ひとつの答えをいただくことです。栄光や喝采のない場所にこそ、本当のヒーローやヒロインがいる。私が小説「あん」を書き上げたのは、元患者のみなさんから教わることがあまりにも多かったからです。ただ感謝の念があるのみです。ドリアン助川」

◆樹木希林コメント(公開時)
ドリアン助川さんの原作を読んで深く感銘を受けました。自分が全く知らない世界-閉じ込められた人生-を知るという機会に巡り会い、実際の元患者さん達にはすぐに会いにいきました。彼等から日々の生活のこと等を聞き、過去には隔離されて生活していた方々のことを全く知らないで今に至る自分を恥じました。厳しい時代だったであろう過去を持ち、今は当たり前に生きている彼等から、“生きている”という人間のたくましさを感じます。そういった事実をただ河瀨監督が悲劇的に描くのではないということ、わかっているので、安心して演じております。

物語
あることがキッカケで刑務所暮しを経験し、縁あってどら焼き屋「どら春」の雇われ店長として単調な日々をこなしていた千太郎。ある日、その店の求人募集の張貼り紙をみて、千太郎にその店で働くことを懇願する一人の老女、徳江が現れる。彼女の勢いに押されるように、半信半疑のままに、翌日からどら焼きの粒あん作りを任せた千太郎だが、彼女が作る粒あんがあまりに美味しく、次第に来客数も増え、店がみるみるうちに繁盛していく。いつも、潰れたどら焼きだけをもらいに通っていた近所の女子中学生・ワカナも次第に徳江と心を通わせていく。ある日、徳江が昔ハンセン病を患っていたことが近所の噂になる。一気に客足が遠のき、千太郎も徳江を辞めさせなければならないこと状況になる。この状況を察した徳江は、潔くその店を去り、それ以来徳江は千太郎やワカナの前に姿を見せることはなかった。徳江は、今どうしているのだろう…。それぞれの想いを抱えて、徳江の足跡を探す千太郎とワカナ。そして、二人が対面したものは…。

監督・脚本:河瀨直美 出演:樹木希林(主演) 永瀬正敏 内田伽羅(実孫) 市原悦子 水野美紀 太賀 兼松若人 浅田美代子
 原作:ドリアン助川 「あん」 (ポプラ社刊) 主題歌:秦基博 「水彩の月」 (AUGUSTA RECORDS / Ariola Japan)
日・仏・独合作 企画・制作:組画 Comme des Cinemas 配給:エレファントハウス 
©2015映画『あん』製作委員会/COMME DES CINEMAS/TWENTY TWENTY VISION/ZDF-ARTE

「あん」河瀨直美監督、原作者ドリアン助川さん、共演者 永瀬正敏さんからのコメント

希林さん

あなたと過ごした様々な光景を思い返しています。
今年に入って希林さんの事を想う時間が増えて、何度か電話をして直接お話をしました。
具合が良くないことがニュースで知らされても、
どこまでも元気で毒舌で、変わらない希林さんがそこにいました。
希林さんはそうして私たちの前から弱ってゆく自分の肉体を想像できなくさせ、
いつまでもあの元気な笑顔のままで私たちの中に永遠を創り上げたかったのだと、悟りました。
あなたは、最期まで女優でした。

 昨日、ふと、希林さんを想いました。
連絡しようとしたけれど、映画「あん」の徳江さんのように、
希林さんは、わたしの心に直接訴えかけるように、そこでただ微笑んでいました。
ああ、永遠だ。この笑顔はわたしの中で永遠に生き続けるのだ。

 この時代を、その類いまれなる才能と、そして多くの努力により、
日本を代表する女優として君臨し続けた樹木希林さんが、最後に求めたものは、なんだったのか・・それを今考えています。
「そんなに難しいこと考えてないわよ」と背中をたたいて一喝されそうですが、
彼女が夢見た世界には、日本の才能ある俳優がボーダーラインを軽々と越え、
独自の意志による表現をまっとうする姿があったのではないでしょうか?

それを証拠に、そのような姿勢で表現をまっとうしようとしている俳優さんを紹介してくださることもありました。
また、「日本の俳優さんは河瀨組を体験するべきだ」と発言してくださる機会もありました。
そうして、認めていただける現場をご一緒したことは、間違いなくわたしの財産です。

樹木希林さんは、監督の伝えたいことを瞬時に理解し、具現化できる真の俳優でした。
最後まで女優を演じ続ける姿勢。その潔さと儚さを、今、かみしめています。
耳元に響く「河瀬さーん、あなた、がんばってるわね〜」と、いつも背中を押してくれたその声を思い返しています。
そして、電話の最後にはいつもわたしの家族のことを気遣ってくれました。
だから、今日は、最後にわたしも希林さんのご家族のことをおこがましくはありますが、労いたいと思います。

ややこさん、最期には希林さんをおかあさんとして看取ってくださってありがとうございました。
希林さん「ややこが居てくれて心強い」と、わたしには静かに語っておられました。本当にそのとおりだと思います。
立派な女優樹木希林から解き放ち、ひとりの優しいお母さんのご逝去に際し、心よりご冥福をお祈りいたします。

希林さんが扮した「あん」の徳江さんの最期の言葉を送ります。

「私たちはこの世を見るために、聞くために、生まれて来た。
 だから、何かになれなくても、私たちには、生きる意味があるのよ」

映画監督 河瀨直美

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覚悟していたこととはいえ
現実にこうなってみると、こんなに涙がでるのかと思うほどあふれました。

「あん」の徳江役を全身全霊で生きてくださり世界の様々な場所へ一緒に旅をしてくださったことは生涯、忘れません。
希林さんが また演技をしたいと思ってくださるような作品を書き続けたいです。

ドリアン助川

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こんな事、信じたくありません。
希林さん、ずっとずっと愛してます。

永瀬正敏
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