この度、1980 年代サブカルチャーを代表する伝説のカルト・ムービー「星くず兄弟の伝説」(提供:キネマ旬報 DD)が、2018 年 10 月 5 日よりスペインにて開催される第 51 回シッチェス・カタロニア国際映画祭で正式上映されることが決定しました。シッチェス映画祭は、ベルギー・ブリュッセル、ポルトガル・ポルトと並ぶ世界三大ファンタスティック映画祭の一つに数えられており、ホラー、SF、スリラー、ファンタジーなどを中心に例年 300 本近い作品が上映されます。シッチェス映画祭に続き、イギリス、ドイツでの公開も決定、さらに複数の海外映画祭での上映が予定されています。

【映画「星くず兄弟の伝説」とは?】
1980 年代、音楽界で縦横無尽の活躍をしていた鬼才・近田春夫が 1980 年に発表したオリジナルアルバム『星くず兄弟の伝説』を原案に、萌芽期の自主映画をけん引していた若干 23 歳の天才映像作家・手塚眞が映画化
したロック・ミュージカル・ムービー(1985 年 6 月 15 日劇場公開)。
スターを夢見て「スターダスト・ブラザーズ」としてコンビを組む、シンゴ(久保田慎吾)とカン(高木完)、二人を応援するヒロイン・マリモ(戸川京子)、そして芸能界を牛耳るカリスマ・アトミック南(尾崎紀世彦)。
この四人を中心に、ミュージシャン、タレント、俳優、漫画家、小説家、映画監督など多くの豪華カメオ・キャストが、80 年代のユニークで多彩なファッションを身にまとい、軽快なロックサウンドに乗って、スクリーン狭しと暴れ回る。手塚眞監督が得意とする特撮、アニメなど多彩な映像技法も駆使、インディペンデントの限界を軽々と超えたエンタテインメント・ムービー。

【デジタルリマスター版】
この伝説のカルト・ムービーを復活させ、33 年越しのワールドプレミアのために、手塚眞監督自らの監修の元、現存するフィルムをデジタル化、画面のキズを修復するなどのレストア作業を行い、デジタルリマスター版を完成。
このデジタルリマスター版「星くず兄弟の伝説」は、当時の貴重なメイキング映像ほか、豊富な特典を加えて、続編の「星くず兄弟の新たな伝説」(2018 年 1 月 20 日劇場公開)と共に 2019 年春、パッケージリリースを予定しています。

【コメント】
近田春夫(原案・製作総指揮)
33 年前にこの映画の製作総指揮を執り行った人間として、今回の評価はまさに無類の喜び以外のなにものでもない。これだけの時間を経ていようと、未だ色褪せることのない、手塚眞監督の力強い芸術表現は、映画史のなかにひとつの大きな意味として、決して風化することなく永遠に語り継がれてゆくことになるだろう。
そして、原案と音楽を担当したことを、わたしは大変に誇りに思っている。

手塚眞(監督・脚本)
何十年もの歳月が経って映画祭に招かれたり、海外に紹介されるとは夢にも思いませんでした。家を離れて久しい子供が立派になって帰って来たような心境です。しかもダメな子供だと思っていました。監督にとってこんなに嬉しい驚きをもたらしてくれる作品はありません。尾崎紀世彦さん、戸川京子さんにも伝えてあげたいです。

久保田慎吾(出演:シンゴ役)
驚きです。素直に嬉しい。奇跡が訪れたような気持ちです。
若い頃の僕が海を越えた遠い国の映画館のスクリーンに映されるなんて想像しただけで興奮します。
どうもありがとうございます。大きな感謝と大きな愛を捧げます。

高木一裕〈高木完〉(出演:カン役)
完成当時は未熟な自分の演技を見返す勇気がなかったのですが、30 年以上経って見直すと、根底にあるテーマが今なお有効であることに気づかされ、シリアスな監督のメッセージを痛感しました。
映画が完成した頃、一度だけ監督のお父様にお会いする機会がありましたが、その際のお父様の笑顔と監督の姿が僕の中では一体化していて、一瞬自分が手塚プロダクションの 1 キャラクターになったかのような錯覚を覚えましたが、それは今年公開された続編で結実しているように思いました。
この映画は 1980 年代半ばの東京を舞台にした架空の話ではありますが、今はなくなってしまったクラブやディスコを撮影場所に使っていたりしたこともあって、ある意味貴重な東京の記録にもなっています。
どうぞお楽しみください!

『星くず兄弟の伝説』(2018 年デジタルリマスター版)
製作年:1985 年
劇場初公開:1985 年 6 月 15 日
製作:シネセゾン
製作総指揮・原案・音楽:近田春夫
監督・脚本:手塚眞
出演:久保田慎吾、高木完、戸川京子、ISSAY、
サンプラザ中野くん、渡辺和博、尾崎紀世彦ほか
100 分/カラー/スタンダード
(c)キネマ旬報DD