夢にやぶれた男の再挑戦、将棋界で史上初の偉業を成し遂げた実話を基にした豊田利晃監督の最新作『泣き虫しょったんの奇跡』(9月7日ロードショー)のオリジナル・サウンドトラックの発売が決定した。音楽を担当したのは照井利幸。言わずと知れた元Blankey Jet Cityのベーシストで、近年はソロ名義やSignalsとして活動している。豊田作品で音楽を担当するのは『モンスターズクラブ』(2012年)以来2作目となる今作は、劇中の臨場感ある音声やキャストのダイアローグも巧みに配置された渾身の“トータル・アルバム”として出色の映画音楽作品となっている。本編中で紡がれる人間物語の様々な場面で実に印象的に響き、その絶望や感動のシーンに観る者をさらに深く引きずり込むような感情のスイッチを押す照井による楽曲の数々に加え、『青い春』以来16年ぶりに豊田作品で単独主演を務めた松田龍平の他、永山絢斗、松たか子、イッセー尾形らの台詞が効果的に挿入されており、まさに映画のようなアルバムに仕上がっている。マスタリング・スタジオでは、照井と本作のプロデューサー兼エンジニアの加納尚樹(GO-GO KING RECORDERS)、そして監督の豊田も参加して、音の最終仕上げと曲間の静寂へのメッセージ注入、そしてダイアローグを交えた着地点を緻密に探っていったという。“THE サウンドトラック”とも言えそうな本作は、是非アルバムを通して聴いてほしい「映画×音楽」作品である。映画を観てから音楽を聴くもよし、音楽を聴いてから映画を観るもよし、一人でも多くの音楽ファン/映画ファンの耳と心に届いてほしいアルバムだ。

【サントラCD情報】
タイトル:泣き虫しょったんの奇跡 Original Soundtracks by Toshiyuki Terui
音楽:照井利幸
発売日:2018年9月5日(水)
定価:¥2,500+税
品番:VPCD-86210
収録曲:
01. shame「イントロ」
02. green apple
03. 工藤さんの夢(ダイアローグ)
04. blue mile「芽生え」
05. shame「ライバル」
06. 投了(ダイアローグ)
07. mad hunter
08. hatsukoi
09. howl
10. big mouth
11. 湖の二人(ダイアローグ)
12. delusion
13. dry
14. shame「プレッシャー」
15. blue mile「実り」
16. 先生の言葉(ダイアローグ)
17. shame「涙」
18. blank

発売元:バップ


【照井利幸 プロフィール】
1990年、“Blankey Jet City”のベーシストとしてメジャーデビュー。10年間の活動を終え、2000年バンド解散。2002年、“THEE MICHELLE GUN ELEPHANT”のチバユウスケと共に“ROSSO”を結成し1st album「BIRD」を発表。2004年、ソロプロジェクト“RAVEN”でアルバム「限り無く赤に近い黒」を発表後、新メンバーで“ROSSO”を始動するも2作品を発表後、活動休止。2008年、楽器をベースからアコースティックギターに持ち替え、椎野恭一(Drums)、勝井祐二(Violin)と共にインストゥルメンタルバンド“Signals”を結成。同年、レーベル“WELD”を設立し1st album「Lapis Sky」を発表。翌年の2009年、2nd album「光と影と人工衛星 “the light, the shadow, and the satellite.”」を発表。カフェなどを中心に小規模なライブツアーを行う。2010年、初の個人名義によるソロアルバム「FLOAT」を発表。翌2011年、Signalsのメンバーを一新し、アコースティックギターに加え、もともとメインパートであったベーシストとしての表現に立ち返り3rd album「NAKED FOOL」を制作、発表する。2014年、ソロアルバム制作の拠点を広島県尾道に移し1年の制作期間を経て完成させたsolo 2nd album「What I think about the World」を発表。2017年、メンバーを改めSignalsの活動を再開する。都内を中心としたライブ、映画音楽制作など表現の可能性を広げている。

【映画情報】
Introduction
将棋界に本当に起きた、感動の逆転サクセスストーリー!

史上初!奨励会退会からのプロ編入という偉業を成し遂げた男の物語
26歳。それはプロ棋士へのタイムリミット。小学生のころから将棋一筋で生きてきたしょったんこと瀬川晶司は、プロ棋士になるための登竜門である奨励会の年齢制限の壁にぶつかり、夢を断たれてしまう。その後、将棋と縁を切りサラリーマンとして暮らしていたしょったんだったが、アマ名人になっていた親友の悠野ら周囲の人々に支えられ、将棋を再開することに。プロを目指すという重圧から解放され、その面白さ、楽しさを改めて痛感する。「やっぱり、プロになりたい――」。35歳、しょったんの人生を賭けた二度目の挑戦が始まる――。

Cast
松田龍平
野田洋次郎/永山絢斗 染谷将太 渋川清彦 駒木根隆介 新井浩文 早乙女太一/妻夫木聡
松たか子 美保 純 イッセー尾形 小林 薫/國村 隼

Staff
原作:瀬川晶司「泣き虫しょったんの奇跡」(講談社文庫刊)
監督・脚本:豊田利晃
音楽:照井利幸
製作幹事:WOWOW/VAP
制作プロダクション:ホリプロ/エフ・プロジェクト
特別協力:公益社団法人日本将棋連盟
配給・宣伝:東京テアトル
©2018 「泣き虫しょったんの奇跡」製作委員会 ©瀬川晶司/講談社


【豊田利晃プロフィール】
1969年大阪府生まれ。
将棋奨励会に9歳から17歳まで所属する。その時の体験を基に1991年、阪本順治監督『王手』の脚本家として映画界に登場。その後、阪本順治監督『ビリケン』(96)の脚本を手掛けたほか、演劇舞台や劇画の原作なども手掛ける。1998年、千原浩史(千原ジュニア)を主演に迎えた『ポルノスター』で監督デビュー。その年の日本映画監督協会新人賞、みちのく国際ミステリー映画祭’99年新人監督奨励賞を受賞する。2001年、様々なリングで闘う4人のボクサーを現役、引退から現在までの5年間という長期に渡り追いかけた『アンチェイン』を監督する。2002年には人気漫画家・松本大洋の原作『青い春』(主演:松田龍平)を映画化し、大ヒットを記録した。2003年、『ナイン・ソウルズ』を監督。2005年、直木賞作家角田光代の原作『空中庭園』(主演:小泉今日子)を監督。2006年には、アテネ国際映画祭で全作品レトロスペクティブ上映されるなど、国内のみならず世界各国から高い評価を受けている。また、中村達也、勝井祐二、照井利幸と音楽ユニット『TWINTAIL』を結成し、即興演奏にその場で映像を併せていく表現方法を追求しはじめる。2009年に中村達也を主演に迎え『蘇りの血』を監督。2011年には、瑛太を主演に迎え、爆弾魔“ユナボマー”に基づいた映画『モンスターズクラブ』、2012年には藤原竜也、松田龍平が主演する『I’M FLASH!』、2014年には東出昌大主演の『クローズ EXPLODE』を監督。2015〜16年舞台『怪獣の教え』を演出。監督・脚本を手掛ける。