第55回ニューヨーク映画祭 クロージングナイト作品

この度、数々の名作を生み出し、アカデミー賞©で作品賞1回、監督賞1回、脚本賞3回を受賞している巨匠ウディ・アレン監督の、ロマンティックでちょっとビターな人生ドラマ「女と男の観覧車」(6月23日(土))公開から、脚本家を夢見ながらライフガードのアルバイトをしているミッキーを演じたウディ・アレン作品初出演のジャスティン・ティンバーレイクと、元夫に命を狙われ実の父を頼り、コニーアイランドに戻ってきたキャロライナを演じた、ジュノー・テンプルの二人のインタビューを公開いたします。

●おふたりのキャラクターを理解するカギは何ですか?
ジュノー・テンプル(以下ジュノー)「台本を読んでいて何が起こるか知っていても知らないフリをしている。彼女はそんな風ですごく刹那的な感じの、楽観的にその瞬間を生きている。未来は分からないし、過去にはこだわらない、そんな生き方の人よ。作品に明るさをもたらすけど、ナイーブなところもあってそこが危ういのよ。あることを知ってしまったから。そういう性格だと知る事も大事だけど、でも全部忘れちゃって映画の一瞬ごとを楽しんでほしいわ。キャストが素晴らしいから目が離せないと思うわ。」

●ミッキーのキャラクターについてはどうですか?
ジャスティン・ティンバーレイク(以下ジャスティン)「ミッキーは二重性がカギになると思う。僕がナレーションをしていて何が起きるかを観客に話すけど、話が進むとミッキーの欠点に気づかされる。他の登場人物と同様に欠点があるとね。彼のキャラクターは希望に満ちたロマンチストだ。自分の人間性を犠牲にしようとするんだ、他の人たちの人生を豊かにするためにね。」

●ミッキーを演じるにあたり、何かの影響を受けましたか?
ジャスティン「影響と言うなら…受けたと言えるのは、『欲望という名の電車』かな。でもどうかな。わからないよ。(演じるにあたり)別に何かの影響を受けたというわけじゃないんだ、僕はただ、あの時代と役柄に没頭しただけだ。彼どうやってジュノー演じるキャロライナに夢中になるか、とかね。どう、すべてを台無しにするのかとか。彼はジニーにのぼせ上がってしまうんだ。そうやって演じたんだ。

●独特なヴィジュアルや衣装などは演技の助けになりましたか?
ジャスティン「ものすごくね。」

ジュノー「実際にコニーアイランドで撮影されたしね。今とは違う光景が生き生きと蘇ったの、全盛期の姿よ。衣装も当時に引き戻すのに役立ったわ。握手の仕方とかあいさつの仕方も全然違った。衣装や髪型、メイクで当時を再現したの。私はウエストニッパーみたいなコルセットを付けてた。ウエストニッパーみたいなの。それを着ると座り方も変わって役柄を作りやすくなる。衣装やヘアメイクのスタッフは最高だったわ。(撮影の)ヴィットリオもね、まるで遊園地に足を踏み入れたみたいな場を作ってくれた。」

ジャスティン「本当にそのとおりだ。僕は1人でカメラに向かって話すシーンがあった、(そのシーンで海辺の)監視台に座るとすごく孤独な感じだ。ヴィットリオとウディは70~80メートル離れたところにいる、そして徐々に離れていくんだ。それから“アクション”の声が聞こえ周囲を見ると、当時の衣装を着たエキストラが目に入る、それであの時代に入り込むんだ。
僕たちはとても、どのスタッフも気を配った。衣装や美術、ウディやヴィットリオもだ。彼女も最高の女優だ。

ジュノー「恥ずかしいわ」

ジャスティン「本当のことだ。それに全員がとても楽しみながら参加できた。」

●ライフガードの水着はどうでしたか?
ジャスティン「取ってある。二度と着ないけど思い出としてね。この前 違う番組の収録で司会に言われたんだ、“ベルト付きロンパース”とね。“なぜベルトを?”と聞かれて”“腰の位置が分かるように”と答えたよ。」
ジュノー「最高ね。」

●ウディ・アレンとの撮影いかがでしたか?楽しかった思い出はありますか?
ジャスティン「それは たくさんあるよ」

ジュノー「一生忘れられない思い出だわ。俳優にとってまたとない機会よ。充実して挑戦的で緊張して、まさに作品そのもの。キャストの仲間意識も強くて助け合い、信頼し合った。一緒にセリフを覚えたり。ケイト・ウィンスレットは特にすばらしい俳優でみんなを引っ張ってくれた。ウディもリハーサルをしないとか、指示をしないとか聞いてたけれど、リハーサルはしたわ、ダンスの振り付け並みに細かいリハーサルもあった。舞台演劇みたいだったわ。」

ジャスティン「すごかったよ、最高の体験だった。」

「女と男の観覧車」STORY                                   
時は1950年代、主人公のジニー(ケイト・ウィンスレット)は、元女優で、今はコニーアイランドの遊園地にあるレストランで、ウェイトレスとして働いている。再婚同士で結ばれた、回転木馬の操縦係を務める夫のハンプティ(ジム・ベルーシ)、そして自身の連れ子と観覧車の見える部屋で暮らしている。実は彼女は夫に隠れて、海岸で監視員のアルバイトをしているミッキー(ジャスティン・ティンバーレイク)と付き合っていた。平凡な毎日に失望していたジニーは、脚本家を目指すミッキーとの未来に夢を見ていた。だが、ギャングと駆け落ちして音信不通になっていたハンプティの娘キャロライナ(ジュノー・テンプル)が現れたことから、すべてが狂い始める──。

監督/脚本:ウディ・アレン『カフェ・ソサエティ』『ミッドナイト・イン・パリ』
出演: ケイト・ウィンスレット『愛を読むひと』『タイタニック』
ジャスティン・ティンバーレイク『ステイ・フレンズ』『TIME/タイム』
ジュノー・テンプル『リトル・バード164マイルの恋』『トランストリップ』
ジム・ベルーシ『K-9/友情に輝く星』『ゴーストライター』
2017年/アメリカ/英語/カラー/101分/アメリカンビスタ/原題:WONDER WHEEL
Photo by Jessica Miglio  © 2017 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.