朴壽南(パク・スナム)監督作品 映画『沈黙-立ち上がる慰安婦』公開
ハルモニたちは半世紀の沈黙を破って、立ち上がった―私たちは15,16,17歳の花のような年頃に、日本軍によって強制的に連行され、数年にわたり将兵らの恐るべき性暴力に蹂躙された被害者たちです。
私たちは日本政府が要求に応えない限り、生きて国には帰りません―
1994年5月韓国「従軍慰安婦」被害者の会
李玉先(イ・オクソン)さん(90歳)は、韓国政府に登録されている日本軍「慰安婦」生存者35名(8/30現在)の一人。李さんは半世紀の沈黙を破り、1994年14人の仲間と日本政府に公式謝罪と個人補償を求めて来日した。彼女たちは、韓国内の支援団体から独立し自ら運営する「被害者の会」を結成したメンバーだ。
要求が実現するまで「生きて帰らない」と自決用の短刀を全員が胸に忍ばせていた。羽田首相(当時)との直接交渉を求め国会前に座り込み、50年の恨(ハン)を全身で訴えた。ハルモニたちは96年にかけ<女性のためのアジア平和国民基金>の事業に反対し政府に対し要請を重ねた。各地集会や高校に招かれ多くの市民に日本軍の犯罪を証言し尊厳の回復を訴えた。
1989年から沖縄戦に連行された朝鮮人「慰安婦」と軍属の実相を追い、『アリランのうたーオキナワからの証言』(91年)で「慰安婦」問題を提起した在日朝鮮人2世の朴壽南は、90年代、立ち上がった被害者たちのその闘いに寄りそい、半世紀の恨を記録した。密着した貴重な記録には、「謝罪・賠償・解決」と一括りにされ繰り返される大義やイメージを突き抜ける、生き生きとした当事者たちの姿が刻まれている。2015年の日韓両政府の「解決」は果たして当事者たちの問いに答えているのか-。日本軍による性奴隷の生き地獄から、奇跡的に帰った生き証人たちの尊厳を描き、未来に伝える渾身のドキュメンタリー。
(C)2017朴壽南