『ボビーに首ったけ』© KADOKAWA 1985

故・平田敏夫監督が遺した『ボビーに首った
け』と『グリム童話 金の鳥』は「珠玉」という言葉が相応しい、アニメーションの魅力が詰め込まれた傑作だ。池袋の新文芸坐で、この2本を上映するレイトショーが開催される。
『ボビーに首ったけ』(1985年)は、片岡義男の同名小説を原作とした中編の劇場アニメーションで、写真のコラージュ、線画による背景動画など、様々な手法を駆使した尖鋭的な作品である。1980年代の空気が濃厚な青春ドラマでもあり、その意味でも魅力的なフイルムだ。
『グリム童話 金の鳥』(1987年)は「東映まんがまつり」の1本として公開された作品で、これも中編の劇場アニメーションだ。飄々とした登場人物、ポップなキャラデザイン、絵本の1ページのような背景美術。ドラマに関しても映像に関しても、楽しさいっぱいの作品である。
両作ともアニメーション制作は『幻魔大戦』『千年女優』『時をかける少女』等で知られるマッドハウス。同社らしく、クリエイターのこだわりが最大限に発揮された作品だ。
『ボビーに首ったけ』も『グリム童話 金の鳥』も、Blu-rayソフトどころかDVDソフトにもなっていない。傑作でありながら、現在では視聴が難しいタイトルなのだ。このレイトショーは幻の2作を映画館の大きなスクリーンで視聴できる貴重な機会なのだ。

 

 

トークコーナーのゲストは作画監督の大橋学

『グリム童話 金の鳥』©東映

今回のレイトショーでは、作品上映の後に、スタッフのトークを予定している。ゲストは『ボビーに首ったけ』『グリム童話 金の鳥』の両作で作画監督を務めた大橋学だ。
また、会場では10月刊行予定の「平田敏夫画集 あずきちゃん絵本」を先行販売する。このレイトショーで「平田敏夫画集 あずきちゃん絵本」をお買い上げの方には、イベント用小冊子「平田敏夫作品集」を差し上げる予定だ。「平田敏夫作品集」には『ボビーに首ったけ』と『グリム童話 金の鳥』の絵コンテの一部が収録されている。

 

■平田敏夫プロフィール
1938年生まれ。武蔵野美術大学卒。東映動画(現:東映アニメーション)で、アニメーションの仕事をはじめ、虫プロダクションで演出デビュー。CMを手がけた時期があり、その後は商業アニメーションで演出家として腕を振るい続けた。2014年死去。監督としての代表的な作品に『ユニコ』『グリム童話 金の鳥』『ボビーに首ったけ』『はだしのゲン2』がある。

 

 

 

©秋元康・木村千歌・講談社/NHK・NEP

■「平田敏夫画集 あずきちゃん絵本」について
TVアニメ『あずきちゃん』(1995年)の各エピソードは、主人公のあずきちゃんのモノローグでしめくくられていた。そのパートの映像で使われていたのが、アニメーション監督である故・平田敏夫のイラストである。彼が描いたエピローグイラストはポップであり、可愛らしく、さらにバラエティに富んだものであった。
「平田敏夫画集 あずきちゃん絵本」 にはTVアニメ『あずきちゃん』のために平田敏夫が描いたエピローグイラストのうち、イラストが現存する50点ほどを収録した。本画集は10月10日(火)から一般販売が始まる。販売はイベントとAmazonが中心となるが、一般書店で取り寄せることもできる。
「平田敏夫画集 あずきちゃん絵本」[Amazon]
http://amazon.jp/dp/4802130775/style0b-22/ref=nosim

■書籍概要
書名/「平田敏夫画集 あずきちゃん絵本」
著者/平田敏夫
編集/アニメスタイル編集部
サイズ・ページ数/縦200ミリ×横200ミリ・64ページ

■「平田敏夫監督の珠玉のアニメーション『ボビーに首ったけ』『グリム童話 金の鳥』」概要
日時:2017年9月29日(金) 開映/19:45 終了/22:30(予定)
場所:新文芸坐(http://www.shin-bungeiza.com/theater.html
上映作品:『ボビーに首ったけ』『グリム童話 金の鳥』
トークゲスト:大橋学、小黒祐一郎(司会)