この度、フランスの写真家、映画作家であるレイモン・ドゥパルドンの人生を辿ったドキュメンタリー映画『旅する写真家 レイモン・ドゥパルドンの愛したフランス』の本編映像が解禁となりました。

フランス写真界の巨匠にしてドキュメンタリー映画監督のレイモン・ドゥパルドン(1942-)。毎年5月に開催される第70回カンヌ映画祭でも、最新作『12 jours』(17)がスペシャル・スクリーニング部門で上映されるなど、現在も第一線で活躍し、多大な尊敬を集める存在だ。
本作は、ドゥパルドンが40年以上に渡って世界中を旅して撮りためたフィルムを、妻であり、映像作品の製作・録音を担当してきたクローディ―ヌ・ヌーガレとともに1本の映画として綴った共同監督作品。ドゥパルドンの人生のハイライト集であると同時に、「旅」を通じて、新しい自分と愛すべきものを発見するという、普遍的な「人生の旅」を描いた感動的なドキュメンタリーだ。報道写真家としてアルジェリア戦争やプラハの春などの歴史的事件の映像や、ドゥパルドンの生い立ちからロマンス、またライフワークとして現在も撮り続けるフランスの日常風景は、まるでドゥパルドンによる“ガイドブックには載らない”世界旅行記ともいえる。
公開された本編映像は、共同監督を務めたクローディーヌ・ヌーガレが、ヌーヴェルヴァーグの巨匠エリック・ロメールの元で働いていた頃の貴重映像となっている。クローディーヌは、『緑の光線』(85)の撮影現場にて、エリック・ロメールが主演のマリー・リヴィエールやキャストらと仲良く戯れている姿をスーパー8で撮影。その一方で「毎晩“緑の光線”の撮影に挑んだ」というナレーションとともに、録音技師として働くクローディーヌの姿も映し出される。そして映像はドゥパルドンが出会ったばかりのクローディーヌの姿へ移り、彼女を撮影し続けるドゥパルドンの姿にクローディーヌの笑みが溢れる様子も伺うことが出来る。
クローディーヌとの出会いについてドゥパルドンは「クローディーヌに出会うまで私は内向的な性格だった。しかし彼女と出会って性格も変わり、映画を喜びとして撮り続けることができるようになったんだ。彼女がいなければ、今でもつまらない映画を撮っていたかもしれない」と語っている。言葉がなくても伝わってくる二人の愛に、観る人の心が温まる映像となっている。

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