このたび、本年度仏セザール賞で主要4部門ノミネートを果たした映画『夜明けの祈り』が8月5日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開の運びとなりました。

『ココ・アヴァン・シャネル』『ボヴァリー夫人とパン屋』で強く美しく女性の生き様を映し出してきたアンヌ・フォンテーヌ監督が70年以上闇に埋もれていたヒロインたちを目覚めさせた。

このたび解禁されたのは、第二次世界大戦末期から戦争終結直後にかけポーランドで医療活動に従事し、本作のモデルとなった女性医師“マドレーヌ・ポーリアック”本人のポートレートだ。ポーリアックが航海日誌のようにとっていた治療の記録には、ソ連兵によるポーランド人女性への暴力や性的虐待に関する事実が克明に記されていた。さらにその手記には“いつかこの陰の天使をヒロインに…”という司祭からの手紙が添えられており、フォンテーヌ監督は、プロデューサーが持ってきたこの物語に感銘を受け、製作に取り掛かかったのだという。

フォンテーヌ監督は、「すべて実際の出来事ですがこれまで忘れ去られ、隠されてきたことです。女性への暴力や性的虐待は70年前の出来事ではなく、今なお戦時下の国々で行われていることを忘れてはいけません」とコメント。本作は悲惨な歴史を描きながらも、国境を越えた女性たちの絆の物語であり、カトリックの大本山であるヴァチカンでも上映時には、フランシスコ教皇の側近である大司教から「カトリックの修道院でも同じようなことが行われていた。物語の人物を通して悲劇に向き合うことで、教会にとってもセラピーとなるような作品だ」と絶賛を受けている。

フランス赤十字に入った彼女が終戦後のポーランド全土およびソ連の一部でチーフドクターとしてフランス軍の帰還任務に当たったことや、200件に達したポーランドでのフランス軍兵士の送還任務は、女性で構成された赤十字のボランティア部隊とともに果たすなど彼女の功績はとても大きなものである。しかし、ポーランドの人里離れた修道院に危険を冒しながらも通い続け、繰り返される性的暴力に傷ついた修道女たちの命と心までを救った実話も含め、マドレーヌ・ポーリアックの存在は長い間公になることはなかった。マチルド役のルー・ドゥ・ラージュもまた、「真の英雄はスーパーヒーローではなく、実際の歴史の中に息づくポーリアックのような人のことよ」と思いを込める。

これまで知られることのなかった衝撃の事件、そして絶望の闇の中にいた修道女たちの希望の灯火となったヒロインの姿は多くの人々に感動と平和への祈りを思い起こさせることだろう。
映画『夜明けの祈り』は、8月5日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開。

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