2013年『舟を編む』で賞を総なめにし、その後『ぼくたちの家族』『バンクーバーの朝日』など、33歳にして長編映画12本目となる石井裕也監督最新作、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』が現在新宿ピカデリー、ユーロスペース、ヒューマントラストシネマ有楽町他にて全国公開中です。

原作は、2016年に出版された、最果(さいはて)タヒの同名詩集。最果は2008年、当時女性では最年少の21歳で第13回中原中也賞を受賞するなど、各メディアから「新しい表現者」として今最も注目されている詩人である。彼女の詩は、平易な言葉で綴られ、これまで難解なイメージがあった“現代詩”という概念を覆し、静謐で透明感のある言葉の連なりで、小説では表現しきれない現代人の憂鬱や希望を浮き彫りにする。

主演は、石橋凌と原田美枝子の次女で、本作が映画初主演となる石橋静河(いしばししずか)と池松壮亮の二人。

映画の舞台となるのは2017年、現代の東京。看護師として病院に勤務する傍ら、夜はガールズバーで働き、言葉にできない不安や孤独を抱えながらも、誰かに甘えることもせず日々をやり過ごす美香(石橋静河)と、工事現場で日雇いの仕事をしながら死の気配を常に感じ、どこかに希望を見出そうとひたむきに生きる青年、慎二(池松壮亮)が排他的な東京で生きづらさを抱えながら出会い、そして、恋がはじまる瞬間を描くラブストーリー。

この度、池松演じる主人公・慎二の同僚、岩下を演じている田中哲司(51)の、新たな場面写真を解禁いたします。

年齢からくる身体の不調のため仕事を思うようにできず、慎二やフィリピンから出稼ぎに来ている同僚と少しずつ離れていく岩下。きつい肉体労働のために腕がほとんど上がらなくなり、「腕がパンパンでチャックも上がらない。もうこのままでいい」とズボンのチャックは常に全開のままだ。今回解禁した場面スチールは、岩下がチャック全開のまましょんぼり俯く姿や、体の限界から工事現場の仕事を辞めるシーン、何もすることがなく公園にただ座る姿など、どこまでも切ない岩下が写っている。恋したコンビニの若い店員にもフラれ、仕事を辞めていく岩下が慎二たちと別れる際に「死ぬまで生きるさ。ざまあみやがれ」とつぶやくシーンは、鑑賞した誰の胸にも残る名シーンである。そんな、だらしないけれどどこか憎めない、切ない中年枯れオヤジ姿を本作で披露した田中哲司は、一方で、先日最終回を迎えたテレビドラマ「CRISIS公安機動捜査隊特捜班」で、特捜班のリーダーを重厚に演じており、本作とは180度異なる魅力を発揮している。数多くの作品に出演し、多様な役を演じてきた田中の印象を「こだわりがあるタイプかと思っていたら、なんでも言ってください!というスタンス䛾役者さんで、とてもやりやすかった。」と石井監督䛿語っている。役柄によって幅広い演技力を見せつける名バイプレイヤー、田中哲司に要注目である。

<プロフィール>
田中 哲司(たなか てつし)
1966年2月18日生まれ、三重県出身。日本大学芸術学部演劇学科を卒業。数多くの映画・テレビドラマに出演する一方、長塚圭史、永井愛、栗山民也、小川絵梨子、赤堀雅秋など演出の舞台でも活躍。近年の主な出演作は、『アウトレイジ ビヨンド』(北野武監督/12)、『ストロベリーナイト』(佐藤裕市監督/13)、『そして父になる』(是枝裕和監督/13)、『愛の渦』(三浦大輔監督/14)、『映画 ビリギャル』(土井裕泰/15)などがある。

公式HP:http://www.yozora-movie.com/
(C)2017「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」製作委員会

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