圧倒的な演出スタイルと斬新な編集で今までの映画様式を塗り変え、その非情な暴力描写の中に、人間の孤独と哀しみを描き出してきたサム・ペキンパー(1925~1984)。その激しいバイオレンス描写から“血まみれのサム”の異名をもつペキンパーが、唯一残した戦争映画が『戦争のはらわた』です。
今回、公開40周年を記念し、デジタル・リマスターの鮮明な映像でスクリーンによみがえります。

この度、解禁された予告編には、ナチス・ドイツとソ連が壮絶な死闘を繰り広げた戦争シーンから始まります。戦争マニアからも絶大な支持を受ける本作は、当時はもちろんCGの技術もなく、迫真の銃撃戦を、本物の戦場さらながらの現場で、徹底的にリアルに追及したさまが、本映像からみてとれます。

そして、主演のジェームス・コバーン演じるシュタイナー軍曹が、ドイツ軍人の最高の武勇の象徴とも言える鉄十字章を付けて戦場で戦っている様子も映し出されています。軍曹の階級で、鉄十字章を授与されたことは、相当に異例なこと。正にシュタイナーが卓抜した軍人であることを裏付けていますが、その戦場にマクシミリアン・シェル演じるシュトランスキー大尉がシュタイナーの上官として赴任。鉄十字章を授与されていないシュトランスキーは、シュタイナーに対してあらわな嫉妬をむき出しにしている姿もみてとれます。しかし、シュタイナーが、まったくそれを誇りに感じておらず、むしろナチス・ドイツへの憎悪に燃えながら戦っているという複雑な心境のキャラクターであることも映像から示されています。そのシュタイナーを演じているジェームス・コバーンの熱演は、既に予告編からも伺い知ることができます。

予告編は最後に、劇中でも使用されているドイツの古い童謡「幼いハンス」を、子供が合唱している微笑ましい楽曲が流れ、劇中の戦闘シーンと鮮烈な対比を見せており、益々本作の内容に期待が膨らむところです。

『戦争のはらわた』デジタル・リマスター版は8月26日より新宿シネマカリテほか全国順次公開します。前売券も販売開始となり、劇場特典には海外のポスタービジュアル二種類をデザインしたポストカードが付属します。この機会に是非お求めください。

[本予告編]『戦争のはらわた』デジタル・リマスター版