この度、2014年本屋大賞にランクインした「ランチのアッコちゃん」をはじめ、数々のヒット作を生み出し、あらゆる世代の女性から熱い支持を受ける作家・柚木麻子が、2013年に発表し、自身初の直木三十五賞候補作となった会心の恋愛小説「伊藤くん A to E」が、待望の実写映画化を果たします。

容姿端麗だが、自意識過剰で無神経すぎる【痛男】伊藤(いとう)誠二郎(せいじろう)。彼に人生を振り回される女たち。
【A】伊藤に粗末に扱われ続ける才色兼備の高級カバン販売員
【B】伊藤からストーカーまがいの好意を持たれる、バイトに身の入らないフリーター
【C】親友が想いを寄せる伊藤を寝取る、男を切らしたことのないタルト店の店員
【D】処女は重いと伊藤にふられ自暴自棄に初体験を済ませようとする大学生
・・・そして、【E】女たちの伊藤にまつわる恋愛相談をネタに新作ドラマで再起を図る売れなくなった脚本家

そんな【毒女】たちが伊藤に抱く恋心、苛立ち、嫉妬、執着、優越感、見栄、欺瞞、欲望…、人間なら誰しもが抱える“毒”が刺激的に鮮やかに描きだされ、ラストに放つ「痛男・伊藤」の一言で、物語は一転、全く別の扉を開きます。そんな予測不能でスリリングなストーリーが話題を呼び、遂に待望の映像化が実現しました。

主人公・伊藤誠二郎を演じるのは、現在放送中の日曜劇場「小さな巨人」でもその存在感を際立たせる実力派俳優・岡田将生。今夏には伝説の大ヒットコミックを映画化した『銀魂』、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』の公開を控えるなど、その確かな演技力で変幻自在にキャラクターを演じ分け、話題作の常連。気品のある甘いルックスで圧倒的人気を誇りながら、『悪人』、『告白』でのヒール役の演技が評価され、2011年には日本アカデミー賞助演男優賞を受賞しました。そんな岡田が本作では、関わる女たちの人生を翻弄する前代未聞の【痛男】を演じます。とにかくモテるが、行き過ぎた自己愛から、関わる人すべてを不幸にする ― イケメンなのに全く共感できない新しい形のダークヒーローともいうべき難役に「演じられるのは彼しかいない」と、廣木監督が白羽の矢を立てました。

そして、「伊藤」の存在に迫っていく崖っぷちの脚本家・矢崎莉(やざきり)桜(お)には、作品ごとに異なる魅力を放ち、女優として名実ともに一気に開花した、木村文乃。洗練された美しさを持ちながらも親しみやすさを兼ね備え、高い好感度を誇る稀有な女優として、映画・ドラマに欠かせない存在となっています。本作で木村が演じるのは、プライドだけは高く、腹の奥で毒を吐きまくり、他人の不幸を利用してまで返り咲こうとする崖っぷちの【毒女】という役どころ。好感度最低の「痛男・伊藤」に立ち向かう存在として、「これまでのイメージとギャップのある、腹黒くしたたかな木村文乃が見たい」という廣木監督の願いで今回のキャスティングが実現。新たな一面をスクリーンに焼き付け、初共演となる岡田将生と、互いに“毒”を持って演技合戦に挑みます。

本作でメガホンをとるのは、近年では『ストロボ・エッジ』『PとJK』など、青春恋愛映画での活躍が目立つが、実はもう一方で『ヴァイブレーター』『さよなら歌舞伎町』など、深く人間心理をあぶり出し、海外でも高い評価を受ける実力派・廣木隆一。本作の「華やかな甘い恋愛模様に秘められた、心の奥に潜むそれぞれの毒を、廣木監督の手によって描き出してほしい」と考えた製作陣が熱烈オファー。いよいよ、廣木ワールドの真骨頂を発揮します。物語は2つの視点で展開。伊藤がクズっぷりを発揮し【A~D】の女たちを振り回していく、まるでライブアクションを観るかのようなシーンの一方、4人の女たちが「恋愛相談」で莉桜のもとに駆け込む様が描かれます。一見優しくアドバイスする莉桜が、「こんな男のどこがいいのか」と、赤裸々で無様な彼女たちの悩みを心の中では毒づき、あげく新作ドラマのネタにしようと画策します。やがて2つの視点がクロスしていき、4人を翻弄していた【痛男】が実は同一人物で、しかも莉桜が主宰するシナリオスクールに通う伊藤誠二郎だったことが明らかになります。伊藤はこれまで、莉桜にとって優越感を持ち続けるために“飼い馴らしてきた”存在。そしてそこから、【E】莉桜自身が、赤裸々に無様に伊藤と向き合うことになってしまう――

今まさに話題の本格派キャストと、実力派監督によるタッグが、どんな化学反応を見せるのか。予測を裏切られ、観れば震撼する、未だかつてない恋愛ミステリーが誕生します。撮影は、2017年7月下旬~約1ヶ月間、公開は2018年初春を予定しています。

※【痛男】「痛い男」の略。周りが引くような男 = ナルシスト、ケチ、俺様な態度、プライドが高い、といった特徴がある。
【毒女】「独身女性」を意味するネットスラング。いつまでも独身の女性でいそうな人=何か問題・毒がある人という意味も含む。

 

■岡田将生 コメント/<モンスター級【痛男(いたお)】> 伊藤(いとう)誠二郎(せいじろう) 役
原作を読んでいたので、伊藤くんをやらせてもらえるのはとても嬉しかったです。
そして、また廣木監督とやれることが幸せだなぁと思いました。
伊藤には共感などは一切できず反感しかなかったです。それでも目が離せなくなり夢中に読んでしまいました。
一言で言うとクズみたいな男ですね。
本当にモンスターだなぁと思ってます。
今まで培ってきたものを全て集約させて伊藤くんと心中する覚悟で臨みたいと思ってます。
崩壊していていく様がとても重要だと思ってるので、とことん、矢崎莉桜と対峙していこうと思ってます。
木村さんには一度もお会いしたことがないのですが、いつかご一緒したいと思っていたので嬉しいです。
撮影中はクズで終わりたいと思ってます。

■木村文乃 コメント/<崖っぷちアラサ―【毒女(どくじょ)】> 矢崎莉桜(やざきりお) 役
廣木監督とまたお仕事出来ることが楽しみです。こんなにもリアルで、痛くて、知りたくなかった「女であること」、を思い知らされる作品は他にはないと感じました。
矢崎莉桜という、右に左に揺れる女性たちの実は一番の理解者で、去る者は追わないけど来る者も拒まない、傷つけている様で傷ついている独特の立ち位置の加減を上手く作り上げていけたらと思っています。
伊藤くんは誰の中にもある、乗り越えるべきモノゴトを擬人化した姿なんだろうなと思っています。
岡田将生さんとは初共演ですが忘れられない作品になれるように日々を積み重ねて行きたいです。

■監督:廣木隆一 コメント
女性の恋愛観だけではなく友情など本音トーク的な小説に惹かれ、恋愛で成長して行く女性達を描きたいと思いました。
岡田くんは最近役の幅がどんどん広がっていくようで、どんな芝居をしてくれるのか楽しみです。
木村さんには、本音なのか演技なのか、自然に大人の女性の内面をうまく出してくれたら面白いものになると期待しています。
都会で暮らす女性の普段は口に出来ない会話のやり取りだったりで、少しでも女性の本音に迫れたらいいと思ってます。

原作者:柚木麻子 コメント
映画化のお話をうかがったとき、とても嬉しかったです。とはいえ、こんな最低男の話を誰が実写で見たがるんだろうか、という不安はあったのですが、岡田さんだったら、伊藤くんを演じても、憎々しさの中に品と説得力を持たせることができると思います。
木村さんのような完璧な女性が、だらしない矢崎をどう演じてくれるのか? ワクワクしています。最低男を通じて連帯する女の子たちを描こうとした物語です。
最高のキャストでの自作初映画化、こころから感謝します。

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