生前にわずか10篇の詩を発表したのみ、無名のまま生涯を終えた
”アメリカ文学史上の奇跡”、エミリ・ディキンスン。
熱狂的なファンを持つ女性詩人を、シンシア・ニクソン(「SATC」)が熱演!

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北米の小さな町アマストで、白いドレスを着て、美しい自然につつまれた屋敷から出ることなく、生前にわずか10篇の詩を発表したのみで無名のうちに亡くなったエミリ・ディキンスン。後に、彼女の部屋の引き出しから約1800篇の詩が発見された――。『静かなる情熱 エミリ・ディキンスン』は、アメリカを代表する女性詩人エミリ・ディキンスン(1830-1886)のベールに包まれた半生を描いた作品である。
彼女の詩は、自然や信仰、愛や死をテーマに、繊細な感性と深い思索のなかで記されたものだ。その独特のスタイルからは詩作への強い信念が感じられる。生前に評価されることはほとんどなかったが、いまや文芸にとどまらず、多くの芸術家の作品に―たとえば、武満徹、サイモン&ガーファンクル、ターシャ・テューダー、スヌーピー生みの親であるチャールズ・シュルツ、ウディ・アレンなど―ディキンスンからの影響を見て取ることができる。今年はニューヨークの美術館モルガン・ライブラリーで大規模な回顧展が開催されるなど、世界的にディキンスン再評価の機運も高まっている。

本作の撮影はアマストにあるディキンスン一家が実際に暮らした屋敷とスタジオで行われた。約20篇の彼女の詩を織り込み、彼女のかたくなまでに思いを秘めた少女時代から、詩作を心の拠りどころにした晩年から死までを、敬愛の思いをこめて描いている。人生と死、そして永遠を真正面から見つめつづる孤独な魂の運命は、リアルなまでに観る者の琴線にふれるだろう。
主人公エミリ・ディキンスンを演じるのは、ベテラン女優のシンシア・ニクソン。7年にわたって放送された人気テレビ・シリーズ「セックス・アンド・ザ・シティ」のミランダ役でエミー賞助演女優賞を受賞している。彼女自身がディキンスンの熱心な愛読者であり、難しい役柄に果敢に挑んで、大きな評価を得ている。
監督は、イギリスの名匠テレンス・デイヴィス。寡作ではあるが、その誠実な作りに支持者は多い。長編第1作『遠い声、静かな暮し』(1989)、『ネオン・バイブル』(1997)が日本でも劇場公開されている。

このたび公開されたポスタービジュアルには、部屋に引きこもりながらも、内側から世界を見つめ詩作を続けたディキンスンの窓辺に佇む姿が使われている。
また予告編は、「これは世界にあてた私の手紙です 私に一度も手紙をくれたことのない世界への――」という詩の一説から始まり、19世紀の重厚な生活様式、時代の細部までをも再現した美しい映像とともに、愛する家族や友人、ときに心を揺り動かされる男性の存在を垣間見せながら、孤独のなかで情熱的に詩作に取り組み、内面世界を豊かに生きていくディキンスンの姿が切り取られている。


公式サイト:http://www.dickinson-film.jp
7月29日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー

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