■歴史的な事件があった場所には、常に彼がいた。
フランスを代表する写真家のレイモン・ドゥパルドン(1942-)。報道写真家としてマグナム・フォトに所属。アルジェリアの戦場に始まり、ベトナム、レバノン、中央アフリカ、ヨルダン、イエメン、プラハ、ベニス、ハイチ、ビアフラ、チャド、ベルリン、南アフリカ、アマゾンと、20世紀のあらゆる変革が起きた現場には、必ず彼がいると言っていいほど、世界中を飛び回って取材を続けてきた。また、映画のスチルカメラマンとして、トリュフォーやゴダール、ロメールの撮影現場に赴き、アラン・ドロンらスターたちにも取材。時には、「プレイボーイ」「ルイ」などの雑誌の仕事も行ってきた。フランス国内でも、大統領選挙や裁判所・精神病院・警察といった国家機関の内部に迫るルポを、市民の目線から描く映像作品を制作。映画祭などで高い評価を得てきた。また、近年は、鄙びた洋品店や伝統的な町工場、海岸沿いの安ホテル、伝統的な農業を続ける家族といった、決して「ガイドブックには載らない」風景ばかりを40年以上に渡って撮影した作品を発表。フランスの真実の美を追い求め、今日も彼は愛車に機材を詰め込み、フランス中を走り回って写真を撮っている。

■今秋、シャネルでの写真展にあわせドゥパルドン本人も来日!
本作の共同監督を務めたのは、妻であり自身の映像作品の製作・録音を担当してきたクローディーヌ・ヌーガレ。倉庫に眠る膨大なアウトテイクをつないで、一本の映画にしたい」というドゥパルドンの夢を叶えるべく奔走。ドゥパルドンの人生のハイライト集であると同時に、「旅」を通じて、新しい自分と愛すべきものを発見するという、普遍的な「人生の旅」を描いた感動的なドキュメンタリーとして完成させた。本作は2012年のカンヌ映画祭で公開、同年の東京国際映画祭でも上映され、長らく公開が待たれていたが、今年9月、シャネル・ネクサス・ホールで日本初の個展の開催に併せて公開が決定。個展のテーマも「DEPARDON/TOKYO 1964-2016」と、1964年の東京オリンピックから現在までの東京がテーマとなり、ドゥパルドン本人も来日予定だ。2017年秋は、まだ日本国内ではあまり知られていないドゥパルドンの魅力を堪能できる「ドゥパルドン・イヤー」となるだろう。

9月、シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
CHANEL NEXUS HALLにてレイモン・ドゥパルドン写真展「DEPARDON/TOKYO 1964-2016」も開催(9/1〜10/1)

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