吉永小百合の120本目の出演作となる映画『北の桜守』(読み:きたのさくらもり)。本作は、戦後の貧しさと飢えに苦しみながら極寒の北海道で懸命に生き抜いた親子が、十数年の空白を経て再会し、失われた記憶をめぐる旅を描いています。

2月16日に北海道・網走でクランクインし、現在春パートを東映東京撮影所や関東近郊にて撮影を進めております。今回公開するのは、吉永演じる江蓮(えづれ)てつが、息子・修二郎(堺雅人)とその妻・真理(篠原涼子)を想い、昔作ったおにぎりを握るシーン。てつはもともと、アメリカへ渡った息子と離れて暮らしており、網走でひとり、食堂を営みながら生活していたという設定。今回のおにぎりは馴染みのある三角形ではなく、当時の母親が握るおにぎりの主流であった太鼓型のおにぎり。このシーンのため吉永は、約1か月前におにぎりの握り方を料理学校の先生に教わり、握る姿を動画に撮った映像などを見ながら、自宅で練習をしてきました。その結果、プロも顔負けの腕前を本シーンにて、初公開いたします。また、コメント出しを行ったのは、渡米し、ビジネスを学んだ修二郎が、帰国し開店した日本初のホットドックストア“ミネソタ24”の前(現在のコンビニのはしり)。ミネソタ24は70年代の北海道・札幌にある狸小路商店街に位置する設定。本作では、東映東京撮影所内に全長65mの巨大なオープンセットを作り、70年代の狸小路の雰囲気を再現いたしました。
吉永と堺・篠原が一同に会すのは今回で初解禁。春パートの撮影が開始し、2週間。キャスト、監督の現在の思いを現場からお届けいたします。


◇撮影シーン出演俳優
江蓮(えづれ)てつ 役:吉永小百合 江蓮修二郎 役:堺雅人 江蓮真理 役:篠原涼子
◇撮影シーン
S♯59 修二郎の家の裏庭で火を使い米を炊き、近所から苦情を受けるシーン
S♯60 息子夫婦におにぎりを食べてほしいと思い、炊いたお米でおにぎりを握るシーン
■狸小路オープンセット詳細
全長が約65mのオープンセット。北海道・札幌にある狸小路商店街の1970年代の様子を、約2か月かけて東映東京撮影所内に再現いたしました。

<3ショットのコメント>
○吉永さんは、120本目ということをどのように考えていますか?
吉永
よくここまで無事で、映画の仕事を続けてこられたなという思いがありますね。これからはどうなるかわからない。とにかくこの120本目の映画を大事に。なんとか完走したい。7月までかかるんですけど。これからも大変なシーンはいっぱいあります。稚内でマイナス11度の海に入ったり、、、
堺 マイナス11度じゃなくて、11度ですよ!
吉永 間違えちゃった(笑)!
堺 マイナス11度は死んでしまいますね(笑)
吉永 マイナス11度は2月に行った網走ですね。
そういう大変なシーンもたくさんあるので、しっかり母を務めて、良い作品にしたいという気持ちでいっぱいです。

○道内ロケの楽しみは?
吉永 食べ物がとてもおいしいんでよね。堺さんがとにかくウニがお好きだと言うので、今回、うにを食べることが楽しみですよね。
堺 はい。倒れるまで食べたいと思います。
吉永 私は以前に『北のカナリアたち』で、一生分のうにを食べたんですね。一生分って“一升”じゃなくて、わたしの一生ということですよ(笑)それくらい、うにを食べることができたので。篠原さんも来てくれますし、3人で食べたいですね。
篠原 そうですね。
吉永 北海道はジャガイモが今年は、台風の影響で少なくなっているっていいますけど、じゃがいももおいしいですし、また北海道の景色も大好きなので、早く春夏の北海道を感じたいです。

○一緒にお芝居をして、吉永小百合さんだな、と思ったエピソードはありますか?

僕は初めてご一緒させていただくので、どんな方だろう?と非常に楽しみにしていたのですが、今日も一緒に芝居しながら見とれるというと、ちょっとおかしいんですが、見入ってしまいました。セリフのない間がどれだけあってもお芝居が成立するので、ずっと見ていられます。まるで引き込まれるようです。本当にこの後も楽しみです。
篠原
女優さんとしても、人間としても手の届かないような方と今こうやってこの場所にご一緒できるということが、絶対に巡り合えないと思っていたのに、こういう形でお仕事させていただくというのは本当に感謝していますし、幸せだなと思っています。こんな場所でいうのも変なんですが、とてもお綺麗で・・・、そして、毛穴がないんです!どうしたらそんなにきれいなお肌でいられるんだろうと思います。また、元気でエネルギッシュで、アクティブですし。一緒にお話をしているだけで、こちらもエネルギーをいただけるようなすごくエネルギッシュな方。絶対なれないですけど、生まれ変わったらこういう方になりたいです。一日でいいからなってみたい。ってくらい毎日毎日すてきな姿を見ています。
吉永
逆!逆です!涼子さんみたいにパンツスーツでぱっぱって歩くようなそんな役もやってみたい。本当にかっこいい方で。今回、堺さんもそうですけど、ご一緒させていただけるのを、わくわく楽しみにしておりました。

○今日はちょうど高度成長期あたりの撮影で、この作品を大きく言えば、日本の戦後は何だったのかというところまで届くような映画かと思うのですが、それを今現在の日本の人に見てもらう意味があれば教えてください。
吉永
今何をしたいかわからないような若者がたくさんいると思うんですけど、戦後の大変な時期に必死で生きてきた人たちを忘れてはいけない。そういう中から立ち上がって生きてきた人がたくさんいる。これからの若者たちにも、もっといろんなことをたくましく乗り越えて生きていってほしいです。そういう願いも込めて、今回、息子の修二郎が別人格のように、子供のころから成長する。成長したあとに世間の中でしっかりと生きていく姿も描かれています。
いろんな要素がある映画なんですけど、日本の何十年かのうつろいの中で、生きてきた人たちのことをこの映画を通じて思っていただけたらという気がします。

自分の居場所がないなと感じている人間が、なんとか自分の居場所を求めて、僕はこの作品では主に母なんですが、母にくらいついていければと思います。目の前の人を幸せにするってことが、ひいては大きな問題につながると思うので、手の届く範囲の人間関係をしっかり見つめる。しっかり結ぶのが大事なのかなと個人的には思っています。

篠原
この作品を見ていただいた方々に、活力が生まれるような作品になっているのではないかなと思います。ぜひ若い方から様々な方々に見ていただきたいなと思います。

<吉永さんコメント(5月14日)>
○今日は母の日ですが?
先ほど、涼子さんと堺さんから母の日の花をいただいたんですけど、子供がいなくても、究極の母という役を演じていられる。自分は母親ではないのに、本当にこういう仕事をしていてよかったという思いがします。

○母親にしたい著名人ランキングで吉永さんが一位。どのように感じられますか。

母と暮らせば、もそうでしたが、いろいろな映画でとても素敵な母を演じさせてくださったスタッフ、山田監督をはじめ、みなさんのおかげだと思います。私は自分が母親になる自身がなくて、母親になることを止めた人間なので、虚構の世界でそういう風に選んでいただけるというのは本当にありがたいことです。

○今日のシーンはおにぎりを握るシーンで、指導の先生もみるみる上達していったと仰っていましたがやけどなどはありませんでしたか?

やけどはしていないんですけど、150個くらいは握りましたね。スタッフに毎晩食べさせて、スタッフがおにぎり中毒で嫌になるんじゃないかなって心配しています。子供のころお汁粉屋になりたいと思ったことがあるんですね。でも今は、これだけおにぎりを作ったし、作ったものをみんながおいしいって言ってくれるので、おにぎり屋もいいかなーって。引退後はそんな気がしています。楽しいです。今のおにぎりって、コンビニで売っているものとかは、手を触れてはいけないんですよね。衛生上ね。私は直にやってますから。直に握るとお塩の周り方が良くなるとか、本に書いてあったんですよね。これからも食べてくれる人がいれば握っていきたいなと思います。

○11度の海の中に入るといっていましたが、継続してやられているトレーニングについておしえてください。

今度の映画でも、すごく危険な場所を上っていくシーンがあるんです。そういうことも含めて、やっぱりもっと足腰を鍛えないといけないなって。去年は骨折もしましたし。筋トレというか、ウエイトトレーニングをやりはじめたんです。結構はまっていて。バーベルをもって、スクワットとかそういうのをやっているんですが。
―バーベルは何キロですか?
今はまだ25キロなんですが、三宅宏美さんの何十分の一ですが笑
楽しいです。

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