ぴあフィルムフェスティバル(PFF)出身の佐藤快磨(たくま)監督の、“回復期リハビリ病院”を舞台にした短編映画『嘘とホームラン(仮)』に、女優活動に専念するためにエビ中こと私立恵比寿中学を“転校”し、岩井俊二プロデュースの連続ドラマ「なぞの転校生」、 映画『罪の余白』出演を経て、『デスフォレスト 恐怖の森3』(‘15)で映画初主演を果たした宇野愛海(なるみ・19)が主人公の新人理学療法士・遥役で主演し、遥の同期・幸子役で『空(カラ)の味』主演で第10回田辺・弁慶映画祭 女優賞を受賞し、“新世代女優”として注目を浴びる堀春菜(20)、遥の彼氏・翔役でPFFアワード2016の観客賞受賞作『ヴァニタス』主演の細川岳(25)が出演することが決まった。また、ベテラン女優の佐々木すみ江(88)の出演も予定されている。

ニューシネマワークショップ出身の佐藤監督は、初の長編監督作品『ガンバレとかうるせぇ』が、若手監督の登竜門であるぴあフィルムフェスティバル(PFF)でPFFアワード2014映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)&観客賞を受賞し、アジア最大の映画祭である釜山国際映画祭のコンペティション部門に正式出品されるなど、国内外の様々な映画祭で高く評価された注目監督。『ガンバレとかうるせぇ』は、 “一緒に闘っているのに、選手と違ってスポーツ推薦はなく、勝っても褒められず、負けても責任を問われない”という独特な立場の高校のサッカー部の女性マネージャーに着目して取材を敢行し、高校サッカーの女性マネージャー(堀春菜)とキャプテン(細川岳)を描き、PFFの授賞式では、「主人公たちの微妙な心の揺らぎが目に見えるような映画でした。」「青春ものはよくある設定ですが、決してありきたりな青春ものにはなっていないこと、媚びない強さや、定石を裏切る展開に惹かれました」と絶賛された。その後、文化庁委託事業・ndjc若手映画作家育成プロジェクト2015の監督に選出され、太賀、岸井ゆきの出演の短編映画『壊れ始めてる、ヘイヘイヘイ』を監督。現在も、各映画祭に招待されている。

新作『嘘とホームラン(仮)』では、「急性期を過ぎてから、1日2~3時間の集中的なリハビリを実施して、低下した能力を引き上げる」”回復期リハビリ”について、病院のリハビリ部長の他、リーダー2人、1年目・2年目の理学療法士、作業療法士及び元患者2人に取材。疾患ごとに国から60日〜180日間とそれぞれリハビリ期間が決められてしまっていることで、 退院までの決まった時間内でベテラン療法士と同じ成果を出せず、責任・プレッシャーを感じる、回復期リハビリ担当の新人理学療法士と、彼女を取り巻く人々を描く。

本作は、本日より、一般から資金調達を募るクラウドファンディングのプラットフォーム「MotionGallery」で、映画の製作、映画祭出品、及び東京・大阪での上映(『ガンバレとかうるせぇ』との同時上映の機会も模索)のための支援を募り、キャスティングを進め、回復期リハビリ病院の全面協力の元、撮影を行う。
http://motion-gallery.net/projects/uno_narumi_project

宇野愛海のコメント「この度、宮下遥役で出演させて頂きます。
この作品のお話を頂いた時に、初めて理学療法士という職業を知りました。
実際に施設に行き見学と取材をさせていただきました。その際に涙を流しながら苦悩やエピソードをお話しして下さり、自分のできる限りのことは全てやってこの作品に挑みたいと思いました。
監督や共演者の方を信じて、特殊な職業ならではの葛藤や患者さんとの向き合い方など伝えられるように覚悟を持って遥を生きようと思います。」

堀春菜のコメント「今回、佐藤監督作品に戻ってくることが出来て本当に嬉しいです。
佐藤監督とご一緒した『ガンバレとかうるせぇ』は私にとって初めての映画出演でした。
佐藤監督に激励されながらも「この作品に懸けているから」と何度も伝えられ、プレッシャーを感じていた日々が懐かしいです。
約4年ぶりに佐藤監督作品に関わることになり、少し緊張していますが、作品作りの一員としての自覚を持ちつつ、
一人の人間を丁寧に生きられるよう頑張っていきたいです。」

細川岳のコメント「『映画撮るから出てよ』映画館のバックヤードの隅でそう言われたのが、前作『ガンバレとかうるせぇ』の始まりでした。
僕は佐藤監督の映画を見てなかったし、監督も僕の芝居を見た事がない。
そういったところからのスタートだったので不安もありましたが監督とは撮影が始まるまでの数ヶ月、何度も打ち合わせを重ね、紡いでは解いてを繰り返しながら一緒に役を深めていきました。
そこまで時間をかけてくれる監督は始めてで、とても新鮮に感じたのを覚えています。
本読み、リハーサル、撮影と時間が経つにつれ物語の推進力となる軸をよりシンプルにする為、色々な物を削ぎ落としていく監督の感覚に感心させられました。
今思い返してみても、自分の出発点となる刺激的な撮影だったと思います。
佐藤監督とこんなに早くまた一緒に出来るとは思ってなかったので、更なる可能性を共に見れるのではないかと期待しています。」

佐藤快磨監督のコメント「回復期リハビリテーション病院を舞台に映画を撮る。
このお話をいただいたとき、正直不安しかなかった。
家族もみな至って健康、リハビリの経験すらない自分が、この映画を撮る意味。
人生が一瞬で変わってしまった人たちに対して、部外者が踏み込んでいく傲慢さ。
そして感動とかそういう言葉に流され、都合のいいことばかりを並べた、
どこかで見たことのある映画を撮ってしまうこと。
それがなによりも怖かった。

それから現場に何度か伺い、セラピストの方、患者の方から話を聞き、
なんて答えのない世界なんだろうと思った。
セラピストも患者も考えて悩んで戦う日々。
それは自分が想像していたよりもずっとドライで、
ウェットさを想像していた自分がおこがましくて、恥ずかしかった。

セラピストと患者がいて、ふたりが協力しあう。
お互いの気持ちを推し量って、最高の結果を目指す。
ただ気持ちを推し量るということは気を遣いあうということでもあり。
それはセラピストと患者に限らず、家族でさえも、友人でさえも。
他人の気持ちを正確に理解することなんて一生できやしない。

気を遣ってしまったことで言えなかった言葉がある。
人生が懸かっているのに吐けなかった言葉がある。
言葉は感情だ。
人はそうして捨てた感情を忘れていくんだろう。

映画でならそうして捨てられたものたちを掬えるはずだ。
先にあげた不安はずっと消えることはない。きっと。
でもキャストスタッフ全員で話し合い、それらを真摯に誠実に拾い集めること。
それが自分にしか撮れない映画に繋がると信じている。」

クラウドファンディング プロジェクトページ: http://motion-gallery.net/projects/uno_narumi_project
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