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本年度アカデミー賞主演男優賞・脚本賞を受賞した、マット・デイモン プロデュース、ケイシー・アフレック主演、ケネス・ロナーガン監督・脚本『マンチェスター・バイ・ザ・シー』が5月 13 日よりシネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA ほかにて全国公開となります。本作は世界中で 227 部門にノミネート、107 部門受賞という快挙を成し遂げ、今年度のアカデミー賞の主演男優賞・脚本賞を受賞した珠玉の名作。マット・デイモンが「これは、人々の心に一生涯刻まれる映画だ!」と絶賛。

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の監督・脚本を務めたケネス・ロナーガンのインタビューが到着。
「映画制作で最も好きな作業は脚本作りだと思う。」と、マーティン・スコセッシを絶賛し、マット・デイモンがその才能に惚れ込んだケネスの映画作りの極意を明かす。「ユーモアは大好きで、人生にも芸術作品にも必要だと思っている。ユーモアがない人生は現実的ではない」。

ケネスが語る本作の主人公、リー・チャンドラーは「最初から心ここにあらずという感じで、何か問題を抱えた人」。笑顔もなく、言葉数も少ないリーと対照的に登場するのは、前向きで笑いのセンスもある甥のパトリック。「想像を絶する悲惨な出来事を経験した男の人生と、元気に高校生活を満喫している少年の人生。そんな 2 人の会話が面白いポイント」だと、ケネスは言う。

見事アカデミー賞主演男優賞を受賞したケイシー・アフレックについては、「とてもハンサムで、自分の仕事に献身的だ。以前に仕事をしたので、お互い理解できる。」と、彼に絶大な信頼を寄せていることもうかがえる。本作の舞台、“マンチェスター・バイ・ザ・シー”という土地に関して「人々の生活と自然の美しさが面白く混ざった町だ。」と、その土地に惚れ込み今回の舞台に選んだことも話している。最後に、観客に向けて「映画には色々な感想があるべきで、観客は映画を観て自分たちが体験した気持ちになってほしい。ジョークで笑い、心を揺さぶられ、演技に感動することを願っている」と、メッセージを送った。
信頼できる役者に、物語性溢れる土地、そしてケネス・ロナーガンの唯一無二の脚本が揃った『マンチェスター・バイ・ザ・シー』への理解が深まることの間違いない、

◇祝・脚本賞受賞!ハリウッドスターが彼との仕事を熱望!監督・脚本家ケネス・ロナーガンとは?◇
戯曲を手掛けた作品が、軒並みドラマ・デスク・アワード賞やピュリッツァー賞候補になるなど演劇の世界で成功をおさめた後、ロバート・デ・ニーロ主演で大ヒットした『アナライズ・ミー』(99)の脚本で映画界でも成功。その後も、マーティン・スコセッシに抜擢され、『ギャング・オブ・ニューヨーク』の脚本でアカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞にノミネート。自ら脚本を書き、監督した長編「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」(未/00)、「マーガレット」(未/11)も高く評価され、「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」では二度目のアカデミー賞脚本賞にノミネート。「彼には人間を理解する素晴らしい才能があるー彼は登場人物の“心”を、状況の核心を、創り上げることができる。そこには感情がある。そして並外れて知的な視点がある」と、マーティン・スコセッシがその才能を絶賛するほか、ハリウッドには彼と仕事することを切望するスターが多くいる。

創作過程

映画制作で最も好きな作業は脚本作りだと思うよ。
編集作業も、役者と関わることも、ショットを考えるのも好きだ。
場面で何が起きているのか表現するために、同じことを繰り返し撮影しないようにして
物語を壊すまいと気を配る。
自分の筆が乗り始めるときというのは、人間らしい登場人物が思い浮かぶときだ。
例えば私の知人にいそうな人物など、説明しなくても当然のことだと思うけど、私は気に入った登場人物を思い浮かべていろいろな境遇に置いてみる。
物語を書き始めるためには強烈な出来事が冒頭で必要だ。
そして物語がどうやって終わるのか。早い段階で決めないと物語を先に進められない

マンチェスター·バイ·ザ·シー

ノースショアに行ったことはあるけど、美しくてわびしい独特な場所だと思う。
面白いと思うことは、マンチェスターは裕福なボストン人の保養地なのだけど、ボートの維持や修理をして休暇で訪れる人手伝う労働者も多い。そしてグロスターなどの漁業が衰退した町に周りを囲まれている。
人々の生活と自然の美しさが面白く混ざった町だ。

リー·チャンドラーについて

主人公のリー・チャンドラーは、何か問題を抱えた人だと誰でも気がつく男だ。
最初から心ここにあらずという感じで、物語が進むにつれ彼のことが明らかになる。
彼は兄や親族と結びつきが強いので、親族のおかげでかろうじて生きている。
だから、人と密接な関わりを持つ弊害は、何か悲惨なことが起きたときに気づかされる。
大切に思う人が多いほど、失うときの怖さは何か起きてから知る。
彼の兄であるジョーは、心臓が弱くリーを必要としていた。
そして甥のパトリックもリーを必要としていた。
だからあの出来事のあとでも彼は、独りで消息を絶つことはなかった。

ケイシー·アフレックについて

ケイシーは偉大だ。長年の友人だが、初仕事は2000年だ。
彼はお気に入りの役者の1人で、今回も適役でとても楽しみにしている。
彼は役者だけど決して目立とうとしないし、自分を含め芸術界に多い。
自己愛が強いタイプでもない。そして演技に重点を置いた作品に興味を持ち、感情表現や笑いを大切にしている。
とてもハンサムで、自分の仕事に献身的だ。以前に仕事をしたので、お互い理解できる。
最も旬な役者の1人だけど、困難な役を引き受けてくれ幸運だ。

監督業について

可能な限り、リハーサルに時間とカネを費やしたいので3~4週間 リハーサルを行うことが理想だと思う。
実現は難しいが「マーガレット」では、3週間 毎日4~5時間リハーサルができた。感情に訴えるような映画を撮影するとき、実力がある役者たちは概してリハーサルを好む。
私の経験では、映画撮影の場合は特にリハーサルの時間が短い。
私がほかの2作品で費やした時間は、とても貴重なものだった。
状況を理解して撮影を始められるので、全く何も分からない状態から撮影するのとはかなり違う。

脚本について

よく分からないけど、思い付いたことを最終的に書いている。
興味があっても、書けるとは限らない。
重く深刻な作品だけに引かれているわけではないけど、結果として感情に訴える作品が多い。
だけどユーモアは大好きで、人生にも芸術作品にも必要だと思っている。
ユーモアがない人生は現実的ではない。
だからこの作品も重く暗いと思わないよ。
苦しむ人が多いけど、人生において起こりうる話だと思う。
もう1人の主人公は15歳で生活がこれ以上壊れることを望まない。
だから物語は2人の主人公の人生を対比して進む。
想像を絶する悲惨な出来事を経験した男の人生と、元気に高校生活を満喫している少年の人生だ。
少年には保護者が必要だけど、彼の叔父は不安定で世話人に適しているか分からない。
2人の会話が面白い。

パトリック·チャンドラーについて

もう1人の主人公は16歳のパトリックで、マンチェスターに住んでいる。
困難な状況でもとても前向きで 強く生きて面白い少年だと思う。
父親の過去は時々映るけど、母親は映らない。
外見では分からないけど、友人に恵まれホッケーやバンドで充実した高校生活を送っている。
2人の少女を二股にかけ楽しい毎日だ。
彼はとてもいい少年で、父親譲りの心配りができている。
父親のジョーは家族の中心で一家を支えていた。
ジョーが物語の冒頭で亡くなったときに、リーが甥であるパトリックの後見人となる。
託されたことにリーは戸惑うけど、パトリックは迷惑をかけたくない。
充実した生活を変えたくないパトリックと過去の苦しみを忘れたいリーの違いが明白だ。

執筆について

現実的な経験に基づいて物語を作り出すと時間と労力を蓄えられる。
でも、実体験でない場合は人の経験を借りたり創作したりする必要がある。
私はそこまで強烈な経験をしていない。
だけど自分で経験していないことでも、似たような経験で関連づけられる。
映画など芸術作品の目的は一時的に別人になって、他人の目を通して体験することだと思う。

観客に感じてほしいこと

観客の感想を考えるより、現実的な物語を作ることに必死だ。
だから私の願いは観客が映画を見て、自分たちが体験した気になってほしい。
いろんな感想があっていい。
表現したいことを、映画として人に見せても感じ方は千差万別だろう。
ジョークで笑い、心を揺さぶられ、演技に感動することを願う。
そして役者からの観点で映画を見てほしい。
なぜなら私の好きな映画や劇、本はすべて、違う人の目で世界を見せてくれ、啓発的ですばらしい方法だ。
文化が存続しているのは、多岐にわたる表現方法が存在したおかげだ。
人間にとってとても重要な手段であり。
私にとっても大切だ。

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