カルト的楽曲が穴掘り映画と奇跡のコラボ
◆第68回 カンヌ国際映画祭 ある視点部門 <ある才能賞> 受賞、宝探しで一獲千金を狙うおじさん3人組の姿を描いた『トレジャー オトナタチの贈り物。』。公開直前から、21世紀とは思えないアナログ式の金属探知機を使い、ひたすらお宝を求めて穴を掘って掘って掘りまくるというオフビートな独特の世界観に注目が集まっていた。そんな中、誰もが必ずツッコミたくなるのが劇中に登場する
カルト的怪曲ライバッハ「Life is Life」の存在である。

◆ライバッハの「Life is Life」はSNS上でも「あの曲にすべてを持っていかれた」、「曲がすごい。希望の歌」、「ずっとBGMが無いまま、最後にあの曲がとにかく効いてくる。凄く好み。」、「力強さは今年一番」、「曲のインパクトが強烈すぎるwww」、「今まで観た映画の中でいちばんパンチのある音楽でした」、「(淡々と穴を掘る)ストーリーとあの曲のテンションの差に笑った」などの感想が飛び交った。ひたすら取り憑かれたように穴を掘って宝探しをしていく本編との温度差の激しい、力強い曲に皆スルーできずにいられないようである。ぜひこの怪曲を劇場で確認してほしい。

◆この曲は、1980年代に日本でも人気を博したスロベニアで結成された実験音楽バンド、ライバッハの代表曲の一つ「Life is Life(オプス・デイ)」である。低く這うように歌うヴォーカルと行進曲風のアレンジが心地よく聞こえ、病み付きになる一曲。‘オプス・デイ’とは、ラテン語で「神の業(わざ)」を意味し、カトリック教会の組織のひとつを指す。このバンドは、制服を着用するなど、政治的で国粋主義的なイメージを利用することで知られているが、それをパロディとして見る者と、美化したものだとして見る者がいて様々である。北朝鮮で欧米のバンドとして初の公演を2015年8月に開催したことでも話題に。この公演に対し、北朝鮮メディアは「個性的な唱法、豊かな声量、高い演奏技術で曲の求める部分を活かし楽団の芸術的技量を見せつけた」と賞賛している。

本編映像
https://www.youtube.com/watch?v=clTHrP_SVFE

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執筆者

Yasuhiro Togawa