『ゆれる』『ディア・ドクター』『夢売るふたり』の西川美和監督が、『おくりびと』以来7年ぶりの映画主演となる本木雅弘を迎え、直木賞候補となった自らの小説を映画化する最新作『永い言い訳』(アスミック・エース配給)が10月14日(金)より公開になります。
人気作家の津村啓こと衣笠幸夫(きぬがささちお)(本木雅弘)は、妻・夏子(深津絵里)が旅先で不慮の事故に遭い、親友とともに亡くなったと知らせを受ける。まさにその時、不倫相手と密会していた幸夫は、世間に対して悲劇の主人公を装うことしかできない。そんなある日、妻の親友の遺族——トラック運転手の夫・陽一(竹原ピストル)とその子供たちに出会った幸夫は、ふとした思いつきから幼い彼らの世話を買って出る。子供を持たない幸夫は、誰かのために生きる幸せを初めて知り、虚しかった毎日が輝きだすのだが・・・
主人公の幸夫役に『日本のいちばん長い日』『天空の蜂』での演技が高い評価を得て、昨年度日本アカデミー賞最優秀助演男優賞等を受賞した本木雅弘。その他ミュージシャンの竹原ピストル、池松壮亮、黒木華、山田真歩、堀内敬子、深津絵里など、屈指の実力派俳優が脇を固め、ひとときも見逃したくない緊張感と豊かさにあふれた映画空間を創り上げます。

この度、9月8日に開幕する第41回トロント国際映画祭のスペシャル・プレゼンテーション部門に出品(現地での上映は17日(土)と18日(日)予定)、さらに第21回釜山国際映画祭「A Window of Asian Cinema」部門に招待されることが決定した本作。『ゆれる』『ディア・ドクター』『夢売るふたり』など、常にオリジナル作品に挑み、その唯一無二のストーリーテリングと人物描写で高い評価を得てきた監督・西川美和の最新作として、さらに、昨年度の賞レースを総ナメにした俳優・本木雅弘の実に7年ぶりの主演作として注目度が急上昇する中、各界から本作を絶賛するコメントが続々到着しています! 

※以下、順不同・敬称略。

●役所広司(俳優)
類型的な登場人物に、ありきたりな設定を与え、ありきたりな感情を説明的に語らせる、そんな映画の真逆をいく西川監督作品。今作も先が読めない、人間の本性にカメラを向け、夫婦、親子、大人、子供たちについて深く考えさせられました。それにしても、子供の声音、澄んだ瞳に映画の力を感じました。

●香川照之(俳優)
死が、残った生にもたらすものとは何か。西川美和は、最果ての状況下での人間のエゴを、渇いたキャンバスに次々と投げつけていく。ここにまた1つ、彼女の心の闇が陰鬱に炙り出された傑作が産み落とされた

●松たか子(女優)
妻の残像が、夫の生活を包み込んでいるように見えたり、
それが薄まって見えてきたり、何とも言えない緊張感でした。
そして終盤、夫が「コトバ」に向かうときの姿が、
西川さんに見えてしまいました。何故?今度、教えてください。

●広末涼子(女優)
心に刺さる映画でした。
光も音も美しい映画でした。
胸を締めつけられる…愛する人を抱きしめたくなる映画です。

●大久保佳代子(オアシズ)(タレント)
「強い人はちゃんと泣くの」という言葉にホッとした。私も泣けないほうだから。後悔はしたくないから、泣いても泣かなくても人と向き合う事に怠けちゃダメだと思った。

●西加奈子(作家)
誰だって、どんな人間だって、ひたむきに生きるチャンスがあるのだ!

●佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト)
私たちは夫婦関係にも親しい人の死にも、完ぺきを求めすぎなのかもしれない。
見終わってそう思った。リアルな生を取り戻せる、そんな希望を感じさせる傑作。

●久米宏
数カット出演の深津絵里の鋏さばきが、
最後まで脳裏から離れない。
西川美和監督の映画さばきが全編を束ねている。
画面からレトルトカレーの香りが漂ってくる不思議。

●箭内道彦(クリエイティブディレクター)
自分の弱さを知らされる映画に出逢うのは辛い。
でもこの作品が愛おしいのは、
作り手が自らの弱さを隠そうとしないからだろう。
俳優も、監督も。
幸せな夫という名の主人公。

ひとを愛することの「素晴らしさと歯がゆさ」を描ききった。
観る者すべての感情をかきみだす、かつてないラブストーリー。

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執筆者

Yasuhiro Togawa