この度、第68回カンヌ国際映画祭特別招待作品として上映され、高い評価を受けた『アスファルト』が9月3日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開致します。この度、場面写真を解禁致します

本作の舞台は、何の変哲もない、かなりくたびれたフランス郊外の団地。ほんのささいな偶然が重なり、3組6人の男女の人生が交差し、小さな奇跡を起こしていく。この度、解禁された場面写真は、NASAの宇宙飛行士の宇宙船でのトレーニング姿と、不時着した団地で出逢ったマダム・ハミダとの2ショット。

数か月の宇宙滞在の任務を終えた、NASAの宇宙飛行士ジョン・マッケンジーは、帰還の際なぜか団地の屋上に不時着してしまう。とにかく現在地を知ろうと最上階の部屋を訪ね、アルジェリア系移民のマダム・ハミダと出会う。言葉の通じないハミダになんとか状況を説明し、NASAに連絡し助けを乞うジョンだったが、なんとNASAは「我々が迎えに行くまで彼を“内緒で”預かってほしい」とマダム・ハミダに依頼する。この常人には思いつかない超展開、ジョンとマダム・ハミダの噛み合わない会話、なんとも癖になりそうなシュールさ故に、ベンシェトリ監督の作風はフィンランドの巨匠“カウリスマキ”的とも評されている。

しかし、実はこの「NASA」にまつわる挿話は、あながち「作り話」とも言い難い。過去にNASAで使われていた入社テストでは、「搭乗中の機体が不時着した時の対応力」を図る問題がある。ここで重要なのは、「NASAの捜索隊が探しに行くまで墜落現場を離れない」という判断ができるか否か——。やみくもに助けを呼びに行ったり、自力で現場からの脱出をはかるという行動は、「宇宙飛行士の指針」には程遠いのだ。
つまりジョン・マッケンジーは、やはりマダム・ハミダにかくまってもらうより他に選択肢がなかったということだ。そう考えてみると、この奇妙な出逢いの物語も不思議な真実味を帯びてくる。運命を受け入れ、見ず知らずの老女の人生に寄り添うことになった宇宙飛行士。この二人がどのように心を通わせていくのか、必見だ!

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執筆者

Yasuhiro Togawa