現地時間8月23日に、今年で19年目を迎えるアジア最大の映画プロジェクトマーケットの最終選考結果が発表され、映画『64』等の大ヒットがめざましい瀬々敬久監督の最新作企画映画『菊とギロチン-女相撲とアナキスト-』が正式選考されたことが発表になりました。

本作は、第一次世界大戦時の大戦景気を経た後の世界恐慌、そして関東大震災が起こる混沌の大正時代が舞台。当時、農村を中心に活況を呈していた、「女相撲興行」の力士たちと、格差のない理想世界を夢見る若きアナキストたちの出会いを軸に、ロマンスあり、活劇あり、社会風刺ありで描く骨太エンターテインメント。

瀬々監督が長年あたためてきた企画であったが、この度の選考に際して、釜山映画祭の作品選定プログラマー、キム・ジソク氏曰く「実は、想像以上に日本からの応募が少なく、近年ではフィリピンはじめ東南アジアの映画人が積極的にこのような企画マーケットに参加している中、瀬々監督のようなベテランの映画人がこのような形で出資や賛同者を募って映画を作り上げているバイタリティを、心から尊敬しています。」なお、今年はアジア61ヶ国からの応募がありました。

このアジアン・プロジェクト・マーケット(APM)は1998年に立ち上がった、現在アジア最大の映画プロジェクトマーケットであり、過去には河瀬直美監督や行定勲監督らも日本から正式選考され、参加しています。資金調達が完了していない長編フィクション映画企画をアジアから27作品を厳選考し、開催期間中には映画関係者や出資者と個別ミーティングをこなし、最終的には賞金授与やポスプロ支援等、様々なサポートを提供しています。なお今年は10月9日〜11日まで韓国・釜山で開催。

この『菊とギロチン-女相撲とアナキスト-』は、このAPMで国内外からの出資者や配給会社、映画祭関係者とのマッチングをすると同時に、今年の10月中旬には京都、滋賀を中心に撮影を開始する予定にしています。是非、この機会に本ニュースを取りあげて頂けますよう、よろしくお願いします。

【瀬々敬久監督:プロフィール】 1960年生れ。大分県出身。京都大学卒業後、「獅子プロダクション」に所属。1989年、ピンク映画『課外授業 暴行』で監督デビュー。以後、歴史の裏面や現代的な実際の事件を巧みにドラマに盛り込む手法は、いつしか映画ファンや関係者の間で評判になり、同世代の佐藤寿保監督、佐野和宏監督、佐野和宏監督、サトウトシキ監督と共にピンク四天王と称され、当時、衰退していたピンク映画界に一大ムーブメントを巻き起こす。以後、一般映画、ピンク映画、テレビドキュメンタリーなど、ジャンルを問わず縦横無尽に活躍。数々の商業作品を作り続ける一方で、4時間38分の超長編映画『ヘヴンズ ストーリー』(2010)は、インディーズ体制で製作。ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞するなどした。

現在、横山秀夫原作、佐藤浩市主演『64-ロクヨン- 前編/後編』が公開中。

アジアン・プロジェクト・マーケット(APM):http://apm.asianfilmmarket.org/
『菊とギロチン-女相撲とアナキスト-』http://kiku-guillo.com/

執筆者

Yasuhiro TogawaYasuhiro Togawa