今、世界中で注目を浴びているリワイルディング(再野生化)。
人が手放した土地が、いかに野生を回復していくのか。生態系復元のプロセスや動植物の生き生きとしたあり方を美しい映像で描いた本作は、自然の素晴らしさを教えてくれるだけでなく、自然と敵対しない持続可能な社会の未来を想像させます。本作が、自然と人間の関係性を考えるきっかけになれば幸甚です。生き生きとした動物たちの姿も見どころです。

『あたらしい野生の地—リワイルディング』
【映画概要】
世界でもっとも人口密度の高い国オランダ、その首都アムステルダムから北東50キロの海沿いに位置する6000ヘクタール程の小さな自然保護区「オーストファールテルスプラッセン」。もともとは1968年に行われた干拓事業の失敗で放置された人工の地だった。しかし、人に忘れられたその土地に、わずか45年で自然はあたらしい命を育み、野生の楽園を築きあげていた!都市近郊に広がる命の宝庫のような、この土地で生を謳歌し死と対峙する生き物たちの一年を、美しい映像で綴っていく。

なかでも、目を引くのがリワイルディング、再野生化に成功したコニック(馬)の一群だ。一度自然界では絶滅した種が、この地で繁殖し数千頭が群れをなして雄大な草原を駆け抜けるシーンは圧巻。人が手放した場所で紡がれる生きもの達の見えない相関図は、いかにして大地が回復していくのか、そのプロセスを明らかにしていく。このあたらしい「野生」のあり方は、年々深刻化していく地球の環境問題に希望をもたらす力強いメッセージといえるだろう。オランダで大ヒットを記録した生き物図鑑ドキュメンタリーついに公開!

監督:ルーベン・スミット、マルク・フェルケルク
出演:コニック、キツネ、アカシカ、カワセミ、鵜、サンカノゴイ、ビーバー他多数
(2013年/オランダ語/97分/カラー/シネスコ/オランダ/提供:チームRewilding/配給・宣伝:メジロフィルムズ)

■リワイルディング(再野生化)とは?
一度自然界で絶滅した動物種を、ふたたびその土地に放ち、失われた生態系を取り戻そうとする試み。他には、オランダやポーランドでヨーロッパバイソン、アメリカのイエローストーン国立公園でオオカミの再野生化が成功したと報告されている。

■提供のチームRewildingについて
提供のチームRewildingはこの映画の配給のために結成されたチームです。メンバーは管啓次郎(詩人、翻訳家)、赤阪友昭(写真家)、古木洋平(映像作家)ほか、有志の人々とメジロフィルムズです。全国上映に向けてのクラウドファンディングも実施中です。 https://motion-gallery.net/projects/rewilding

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執筆者

Yasuhiro Togawa