構想15年、製作費20億円。押井守監督・最新作『ガルム・ウォーズ』の日本版の公開が5月20日(金)に決定致しました。

 独特の世界観と映像美で世界を魅了し続ける鬼才・押井守。95年発表『攻殻機動隊 / GHOST IN THE SHELL』は、全米ビルボード1位(※)を獲得し、ジェームス・キャメロン、クエンティン・タランティーノ、ウォシャウスキー姉弟をはじめとした、数多くの世界的クリエイターに影響を与えました。同作は、2017年、ハリウッドで実写版がスカーレット・ヨハンソンを主演に迎えて公開されます。2004年発表『イノセンス』はアニメ作品で初めてカンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、2014年にはモントリオールファンタジア国際映画祭から生涯功労賞が授与されるなど、数々の栄誉を獲得。世界へ通用するジャパンアニメーションの土台を築き上げてきた人物といっても過言ではありません。  

押井守、監督デビューから30余年。彼が構想15年をかけて異国の地・カナダで全身全霊を捧げて撮影
した『ガルム・ウォーズ』。かねてより「実写とアニメーションは融合して区別がつかなくなる」と提唱してきた押井は、『イノセンス』『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』など数々の作品を共にしてきた世界的アニメーション製作会社Production I.Gと共にオール北米ロケを敢行。言葉も通じぬ異国の地で、日本人は監督含めスタッフ7人。外国人俳優を起用して撮影に挑み、アニメーションと実写の境界線を越えた新しい映像を作り上げました。

 更に今回、日本語版プロデューサーとしてスタジオジブリ鈴木敏夫の参加が決定。名だたる名匠と数々の名作を生み出し、ヒットに導いてきた彼が、盟友・押井を支えるため、『イノセンス』(‘04)以来12年ぶりにタッグを組むこととなります。この強力タッグが仕掛ける新しい映像の未来は全世界の注目を集めることでしょう。

【コメント】
押井守との出会いは、30年以上前に遡ります。
当時から彼は、日本の映画を変えたいという夢に燃えていました。
たがいに別な道を歩んできたけれど、こうしてたまに、交錯する事があります。

押井守が日本で果たすことが叶わず、海外で撮った、15年越しの「夢」。
その日本語版をどうやって作るのか?
英語版を2度3度と見ながら、
台詞の内容を一切変えずに、作品の印象を一変させてみたいと考えました。
それがこの仕事を引き受けた大きな理由です。

そのために必要なのは、日本的情緒を表現できる声優さんと、
それを演出出来るディレクターさんでした。
幸いなことに、朴璐美さんという名優と、演出の打越領一さんとの出会いがあり、
その目論見が実現出来ました。

押井さんの大ファンである名脚本家・虚淵玄さんの協力も得て、今作品と向き合っています。
この日本語版を押井守が見てどう思うのか。
押井さんが悔しがるのが楽しみです。笑。

日本語版プロデューサー スタジオジブリ 鈴木敏夫

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執筆者

Yasuhiro Togawa