このたび、イタリアの巨匠エルマンノ・オルミ監督作『木靴の樹』を2016年3月26日(土)より、岩波ホールほか順次全国にて公開する運びとなりました。
キービジュアルと予告編が完成いたしました

1978年、カンヌ国際映画祭の公式上映では、2,000名を超える観客がスタンディングオベーションを送り、審査員全員一致でパルム・ドールに決定。
その後も、伊・ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞作品賞や、米・ニューヨーク批評家協会外国語映画賞、仏・セザール賞外国映画賞など各国の映画賞を総なめし、日本でも大きな反響を呼んだエルマンノ・オルミ監督のイタリア映画『木靴の樹』が、2016年3月26日より、東京・岩波ホールほか順次全国にて、四半世紀ぶりにスクリーンに戻ってきます。

世界の巨匠エルマンノ・オルミ監督の長き映画人生における金字塔。
名もなき人々に向けるやさしく深い眼差し。社会の不条理への静かな告発。

本作によって世界の注目を集め、『聖なる酔っぱらいの伝説』(ベネチア映画祭金獅子賞)、『ポー川のひかり』、『楽園からの旅人』、80歳を過ぎて万感の思いをこめた最新作『緑はよみがえる』等、オルミ監督は、時代が激しく変化するなかで、人間への信頼と愛情に満ちた多くの名作を発表してきました。
『木靴の樹』は、世界の映画ファンから尊敬されるオルミの揺るぎない視線を示した代表作です。

本作は、19世紀末 北イタリアのベルガモを舞台に、
厳しい大地主のもとにありながら、肩を寄せ合うようにして暮す
四軒の農家の貧しくつましい日々が描かれています。
このたび完成した予告編では、大切な木靴が割れてしまったバティスティ家のミネク少年と、
村から遠く離れた学校に通う息子のために、
ポプラの樹を伐り新しい木靴を作ろうとする父親のエピソードを軸に、
共に暮らす農家の家族たちの暮らしが、秋から冬、そして春へと、
大地の四季のめぐりとともに映し出されています。
オール・ロケーション、さらに、人工的な照明を排し、
ほとんど自然光だけでの撮影にもかかわらず、画面には美しい色彩が溢れています。
また、本作の出演者はすべて、実際にベルガモ近郊に暮らす素人の農民たちを起用しており、
オルミ監督の徹底したリアリズムが突き抜かれています。

厳しい農作業、祭、結婚、出産、喜びと悲しみ──
現代の文明社会とは対極にある人々の暮らしは、初公開から37年の年月を経た今、
一層の切実さをもって私たちの心に迫ってくることでしょう。

予告編::https://www.youtube.com/watch?v=0LgZ0L0wXI0

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執筆者

Yasuhiro Togawa