今年のロカルノ国際映画祭で演技未経験者4名が最優秀女優賞を受賞したことで大きな注目を集めた濱口竜介監督の新作『ハッピーアワー』が、現在開催中の第37回ナント三大陸映画祭のオフィシャル・コンペディションに正式招待され、準グランプリに当たる「『銀の気球』賞」そして「観客賞」をダブル受賞致しました。(日本時間午前5時)

同映画祭はフランス有数の文化都市・ナントで1979年から開催され、アジア・アフリカ・ラテンアメリカの三大陸からの作品に特化する映画祭です。
商業映画からアート映画、ドキュメンタリー映画まで幅広く紹介するナント三大陸映画祭のオフィシャル・コンペティションは、今は世界的な巨匠として知られるホウ・シャオシェンやアッバス・キアロスタミ、ジャ・ジャンクーらをヨーロッパで初めて紹介したことで知られており、国際的に重要な映画祭と位置付けられています。

『ハッピーアワー』の主な出演者はまったくの演技未経験者も含む「KIITOアーティスト・イン・レジデンス2013『濱口竜介 即興演技ワークショップ in Kobe』」の参加者たち。濱口監督が生活拠点を移した神戸市内を主なロケ地とし、2014年5月から12月まで撮影がおこなわれ、総尺5時間17分の作品として完成しました。

30代後半の女性たちを主人公に、4人それぞれの家庭や仕事、人間関係を丁寧に描きながら、どこにでもいる“普通”の女性たちが抱える不安や悩みを、緊張感あふれるドラマとして見事に表現しました。今の私は本当になりたかった自分なのか?本当に伝えたいことを言葉にできているのか?ゆっくりと、迷いながら発せられる彼女たちの一言一言が、観ている者にスリリングな感動を届けてくれる作品です。

12月12日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開、
12月5日(土)より、神戸元町映画館にて特別先行上映となります。

関連作品

http://data.cinematopics.com/?p=54130

執筆者

Yasuhiro Togawa