世界初の長編フルCGアニメーション『トイ・ストーリー』以来、世界的な大ヒット作を生み続けてきたディズニー/ピクサーの最新作『アーロと少年』(3月12日公開)。“もしも隕石が地球に衝突せず恐竜が絶滅していなかったら?そこは恐竜だけが言葉を話す世界——”という地球を舞台に、弱虫でひとりぼっちの恐竜アーロが、家族と離れ離れになり、家族の元に帰るため大冒険を繰り広げる感動のアドベンチャー・ファンタジー『アーロと少年』の本編映像が解禁となった。

本編映像とともに今回新たに明かされた情報は「アーロの父の死」だ。弱虫な恐竜アーロは兄姉に比べて体が小さく、何をやってもうまくできない。しかし、優しい両親はアーロに深い愛情を注ぎ、どんな時もアーロの味方だった。そんなある日、アーロはある“失敗”によって父を怒らせてしまい、父はアーロに強くなってほしい一心で山の中へ連れて行く。激しい嵐に怯えるアーロに気遣わしげな視線を父が向けたその時、アーロに危険が迫り、父は自らの命を賭け、アーロを救う。目の前で命を落とした最愛の父親を思い、アーロは寂しさと孤独を深めていく。

アーロの父の悲劇的な死は、『ライオン・キング』における父子の別れと共通点がある。それは“愛する子供を守るための死”だ。『ライオン・キング』では、渓谷に入り込んだ幼いシンバを助けるため父ムファサが駆けつけ、危機一髪でシンバを救出。しかし弟スカーの手で渓谷に落とされたムファサは、ムーの大群に巻き込まれて死んでしまう。本作でも、アーロの父は幼い息子を助けるため、悲しい死を迎える。どちらも子供を愛するがゆえの行動であり、アーロの父の死は『ライオン・キング』のムファサの死以来の最も切なく悲しい死だとの呼び声も高い。

今回解禁された本編映像は、父が悲劇的な死を迎える前の、アーロと最愛の父の温かく強い絆を象徴する大切なシーン。怖がりで弱虫なアーロを心配した父は、家族が寝ている間に二人だけの“秘密の場所”にアーロを連れ出す。アーロは自分よりはるかに小さな一匹の虫すらも怖がるが、父親が息を吹きかけると、虫は幻想的な光を放ち飛び立つ。実はこの秘密の場所は「ホタルが棲む草原」だったのだ。怖くて仕方がなかった暗闇も、小さな虫も、ひとたび見え方が変わればそこには美しい世界が広がっていた。「怖さを乗り越えることで初めて見ることのできる世界がある」と、全てを怖がるアーロに父は教えてくれたのだった。怖さを忘れて父親と走り回るアーロにとって、ホタルは特別なものとなり、父と子の絆が深まる感動的なシーンとなっている。製作総指揮を務めたジョン・ラセターが、「ピクサーが今まで作ってきた中でも最も感動的なシーンだ」と語るほどの名シーンが誕生した。

本作で初めて長編アニメーション初監督を務めたピーター・ソーンは、父のセリフに込めた思いを「本作には恐れを乗り越えるというシンプルなアイデアがあったんだ。僕の人生ではいつも何かを恐れていた。それをどう乗り越えるのかと考えた時に答えは“愛”だったんだよ」と明かす。怖がりなアーロはひとりぼっちになったことで恐怖と向き合うことになり、ホタルの棲む草原で父が残した言葉を胸に、家族の元へ戻るため冒険に出るのだ。

ピクサー史上最も“弱虫”な主人公の恐竜アーロは、家族と離れ離れになり、ひとりぼっちで家族の元に戻る冒険に出る。その途中で、まだ言葉を持たない少年スポットと出会うのだが、アーロは無事に家族の元へ帰れるのか。ディズニー/ピクサー最新作の感動の物語『アーロと少年』は2016年3月12日全国公開。

・★『アーロと少年』本編映像解
https://youtu.be/SF9VRxFOGz8

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執筆者

Yasuhiro Togawa