徳田秋聲、泉鏡花と並び、金沢三文豪の一人である室生犀星が、晩年の1959年に発表した小説「蜜のあはれ」が、映画化される運びとなりました。室生犀星とは、大正期の詩壇を牽引、昭和期には「幼年時代」「あにいもうと」「杏っ子」などの名作小説を発表しつつも、随筆、童話、俳句と多岐のジャンルに渡って作品を発表した、近代文学史作家のひとり。そして、本作の監督には、『狂い咲サンダーロード』『爆裂都市 Burst City』『逆噴射家族』などジャンルを超越した強烈な世界観で熱狂的な支持を受け、『生きてるものはいないのか』『シャニダールの花』、『ソレダケ/that’s it』と精力的に作品を創りつづけている石井岳龍。室生犀星の地元である石川県金沢市・加賀市を中心に富山県でもロケが行われ、原作小説に流れる耽美な世界観が見事に表現されました。

今回、先日発表した出演キャストの二階堂ふみさん、大杉漣さん、真木よう子さんに加え、高良健吾さんが出演することが解禁となりました。高良健吾さんは今回大正時代を代表する小説家のひとり・芥川龍之介役(劇中の役名はアクタガワ役)に挑戦。高良健吾さん、石井岳龍監督からコメントが届いております。

【高良健吾さんからのコメント】
10代の頃監督の作品に頭を撃ち抜かれた記憶があります。
監督は現場でも、とてもかっこよかった。紳士だった。ロックだった。
僕は芥川龍之介の幽霊の役です。幽霊役も来るようになったかと不思議な喜びも感じました。
石井岳龍監督の世界に参加できた喜びを感じています。
是非。蜜のあわれ。お楽しみに。

【石井岳龍監督からのコメント】
アクタガワの役は、最初から彼しか考えられなくて、どうしてもとプロデューサーに無理強いしました。努力家でじっくり役を掴んでいくタイプですね。久々にキレた方向の役だと思いますが、国民的作家の元祖が、あの世から蘇り、鋭くすべてを射抜くような眼力で 狂的な熱を発し微笑む姿を、静かに熱演してくれてます。圧巻です。

2016年全国ロードショー

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執筆者

Yasuhiro Togawa