このたび、グルジアを代表する画家・ピロスマニの半生を描き、グルジア映画を代表する名作「ピロスマニ」が『放浪の画家ピロスマニ』と邦題と決定し、デジタルリマスター・グルジア語オリジナル版にて、37年ぶりに11月21日より岩波ホールほか全国で順次公開する運びとなりました。

【Story】
19 世紀後半のグルジアのチフリス(現・トビリシ)。幼くして両親を亡くしたピロスマニは長年世話になった一家を離れ、流浪の生活をはじめる。友人と乳製品の店をひらき繁盛するが、間もなく仲違いをして破綻、故郷の姉がもってきた縁談もこわしてしまう。やがてピロスマニは店の看板や壁に飾る絵を描きながら、放浪の日々を送るようになる。庶民はそんな彼に一目置いていた。しかし酒場で見初めた踊り子マルガリータへの報われない愛は、ピロスマニを孤独な生活へと追い込んでいく。第一次世界大戦、そしてロシア革命前夜のチフリスを、彼は一杯の酒を得るために、画材をかかえ居酒屋を渡り歩くのだった。ある日、彼の絵がこの地を訪れた芸術家の眼にとまり、一躍、中央の画壇に注目されるようになる…。
本作は、グルジア(現・ジョージア)の独学の天才画家ニコ・ピロスマニ(1862-1918)の半生を描いており、近年、彼は貧しい絵描きと女優の哀しい恋を歌った『百万本のバラ』のモデルとしても知られている。名匠ギオルギ・シェンゲラヤ監督は、名も知れず清冽に生きたピロスマニの魂を、憧れにも似た情熱で描くとともに、グルジアの風土や民族の心を見事に映像化した。1969年に製作された当時、ピロスマニの絵に似て静謐で美しく、国際的に高い評価を受け、1978年の日本公開時には多くの観客を魅了し、その感動は今でも語られることが多い。そして、日本公開時ロシア語吹き替え版の上映のものが、今回デジタルリマスター・グルジア語オリジナル版による待望の37年振りの日本再上映となる。

—「私の絵はグルジアには必要ない。なぜならピロスマニがいるからだ」パブロ・ピカソー

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執筆者

Yasuhiro Togawa